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豊田章男会長、世界ラリー選手権の東北開催について「まずはラリージャパンを成功させること。笑顔を増やし、応援してくれる人を増やすこと」と可能性を語る

スーパー耐久第4戦オートポリスに液体水素カローラで参戦した、モリゾウ選手ことトヨタ自動車株式会社 代表取締役会長 豊田章男氏

世界ラリー選手権の東北開催についての可能性を語る

 11月16日~19日の4日間にわたって、WRC(世界ラリー選手権)の最終戦となるラリージャパン2023が開催される。2022年に12年ぶりの再開となったラリージャパンは、愛知県の岡崎市、豊田市、新城市、設楽町、岐阜県の中津川市、恵那市を舞台として開催。2004年から2010年までは北海道で開催されていたが、中京地区を舞台とした新生ラリージャパンとなって、2度目の開催になる。

 このWRCの東北招致を掲げたのが利府町長 熊谷大氏。熊谷 利府町長は7月23日のTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ第6戦利府開催時に、2022年にラリチャレに参加したモリゾウ選手こと豊田章男 トヨタ自動車会長(当時は社長)の「いつか東北地方でWRCを開きたい」という言葉を紹介し、「ラリー大会の素晴らしさを近隣市町村と共有をさせていただき、WRC開催の一歩を踏み出してまいりたい」とWRC東北開催への思いを語った。

WRC東北開催へ向けての課題を聞いてみた

 今回、スーパー耐久第4戦オートポリスに参戦していた豊田章男会長に、WRC東北開催への可能性を聞くことができた。豊田章男会長は熊谷 利府町長のあいさつをすべて映像で見ていたようで、「町長のあいさつは素晴らしかった」とその感動を語り、記者の「WRC東北開催に必要なことは?」という質問に答えてくれた。

 豊田章男会長の答えは迷いなく、「今年のラリージャパンを成功させること」だという。「毎年ちゃんと日本でやる。去年のラリージャパンは久しぶりということもあっていろいろありました。だけど、日本はこうやってカイゼンしていくのだと。こうやってみんなが努力するんだと。そういう姿を見せて、毎年毎年努力する。すると(観客や参加者の)笑顔が増える。応援者が増える」と語る。

「そのような世界を作っていけば、日本のいろいろな場所を世界にプロモートするチャンスは訪れると思います。そのときに絶対に東北はいれてほしい」と語り、「笑顔を増やすこと、応援者を増やすこと、ありがとうの数を増やすこと」と、ラリーを多くの人に知ってもらい、日本にラリーの文化を根付かせることが大切だと語り、「そうしてつながれていく」と答えてくれた。

 豊田章男会長の答えは、企業の経営者であるだけに明確だ。まずは目の前のイベントをカイゼンして成功と言えるものにし、多くの人の賛同を得る形で規模の拡大が必要だという。そしてその際には、感謝の気持ち、つまり人々の共感が大切だと語る。

 共感が人々に広がれば自ずと日本の各所でWRCは開催できるようになり、WRC東北開催につながっていくとのビジョンを示した。

 そして、この質問の終わり際、豊田章男会長は「利府に行ってリフレッシュしました」と発言。これは熊谷 利府町長があいさつで最後に述べた「最後になりますが、今日は利府の夏を一杯楽しんで、リフレッシュして、美しい走りで町内を走ってください」に呼応したもの。モリゾウ選手は利府には参戦しなかったが、モリゾウ選手の愛車であるモリゾウ号はアップデートなどを行なって参戦しており、「利府でクルマがリフレッシュした」ことは伝えてほしいとのことだった。

モリゾウ選手はビジネスマンだけに、ルーキーレーシングのスポンサー露出も忘れない。今回、地元大分の企業である山田水産がスポンサーについたため、鰻師の蒲焼をアピール
Tシャツも山田水産。地元企業や伝統を大切にする豊田章男氏らしい配慮