ニュース

NR500(OX)片山敬済やNSR250(2001)加藤大治郎など、45台のホンダ世界GPマシンを一気に見られるホンダコレクションホール

ホンダコレクションホールで「二輪世界グランプリ ガレージコレクション」に展示されたNR500(OX)(1979) 片山 敬済。このマシンを間近に見られるという貴重なイベント

 9月29日~10月1日までモビリティリゾートもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)においてMotoGP日本グランプリが開催される。伝統ある西の鈴鹿8時間耐久レースと対比されるまでになった、2輪における東のビッグイベント。関東を中心に多くのライダーが訪れることで知られている。

 モビリティリゾートもてぎでは、その日本グランプリに合わせるように、施設内にあるホンダコレクションホールで「二輪世界グランプリ ガレージコレクション」を7月22日~10月1日に開催。ホンダコレクションホールの2階、3階中央エリアを使って、45台の世界グランプリマシンを展示している。

モノコックシャシーに表面ラジエータ。挑戦するホンダの思いにあふれている
一時期のホンダ車に採用されたコムスターの原型。いわゆる表コムスターになっている
楕円ピストンの収まるエンジン。片バンク2気筒、でもプラグは4本

 先日、スーパー耐久第5戦でもてぎを訪れた際に、気になっていたこの展示を見ることができたので、ここにお届けする。

冷静には見られない貴重なマシンの数々

ホンダのグランプリマシンがたくさん
こちらはNR500が並ぶ

 ホンダコレクションホールの2階へ上がっていくと、すぐに目に入ってくるのが圧倒的なグランプリマシンの数々。それぞれのグランプリマシンを知らなくても、世界を戦ってきたマシンだけにどのマシンにも独特の圧力を感じる。

 そして階段を上がって、すぐ左にある異様なマシン群からは、圧倒的なオーラが出ていた。そのオーラの源はNR500(OX)(1979)片山敬済、NR500-4(1982)木山賢悟、NR500(1983)といった一連のNR500マシン群。ホンダが世界グランプリ復帰にあたり、主流だった2ストロークエンジンではなく、4ストロークエンジンを選択。普通に設計すると馬力的に不利になるので、多気筒で高回転設計をしたかったものの、気筒数制限(4気筒)を乗り越えるために楕円ピストンV型4気筒としたマシンだ。1つのピストンに吸気4バルブ、排気4バルブ、コンロッド2本と、実質V型8気筒マシンを4気筒としていた。

 これにより最大馬力を発生する回転数は2万rpm超えと言われており、そのかん高い排気音は、サーキットを異様な雰囲気に包んでいたと言われている。

 さらに初期のNR500ではフレームもモノコックとなっており、エンジンもシャシーもチャレンジ。その後、ホンダの定番ホイールとなったコムスターホイールも装着されている。

少し大人になったNR500。フレームがアルミのダブルクレードルになった木山賢悟選手のマシン。NR500唯一の全日本勝利を記録した
Vバンク90度がよく分かる。ホンダデザインの乾式多板クラッチカバーに心揺さぶられる
さらに進化したNR500(1983)
カーボンモノコックシャシーへの挑戦。エンジンを構造部材として使う、F1マシンのような設計

 45台も見られると書いたものの、個人的にはこの1台だけでも訪れた価値はあった。しかも、そのNRの変遷を見ることができ、NRがあったがゆえに存在したNS、NSRとホンダマシンの系譜を一堂に見られる。

 変わり種では片持ちフロントスイングアームのHONDA ELF 2(1986)やHONDA ELF 5(1988)R.ハスラムなど、マンガ「ふたり鷹」で一気に有名になったマシンも置かれている。

HONDA ELF 2(1986)やHONDA ELF 5(1988)R.ハスラム
不意に目に入ってきたNSR250(2001) 加藤 大治郎。ただただ、ひたすらに泣ける

展示車両

NR500(OX)(1979) 片山 敬済
NR500-4(1982) 木山 賢悟
NS500(1982) F.スペンサー
NR500(1983)
NS500(1984) F.スペンサー
NSR500(1984) F.スペンサー
HONDA ELF 2(1986)
HONDA ELF 5(1988)R.ハスラム
NSR500(1990) W.ガードナー
NSR250(1991) L.CADALORA
NSR500(1991) M.ドゥーハン
NSR250(1993) 宇川 徹
NSR250(1994) L.カピロッシ
NSR250(1994) 岡田 忠之
NSR500(1994) M.ドゥーハン
NSR250(1995) 宇川 徹
NSR250(1996) R.ウォルドマン
NSR250(1996) 宇川 徹
NSR250(1997) M.ビアッジ
NSR250(1999) 宇川 徹
NSR500V(1999)
NSR500(1999) A.クリビレ
NSR500(2000) A.クリビレ
NSR500(2001) V.ロッシ
RC211V PROTOTYPE(2001)
NSR250(2001) 加藤 大治郎
NSR500(2002) 加藤 大治郎
RC211V(2002) V.ロッシ
RC211V(2003) V.ロッシ
RS125RW(2003) D.ペドロサ
RC211V(2004) N.ヘイデン
RC211V(2004) 玉田 誠
RS250RW(2004) 青山 博一
RC211V(2005) N.ヘイデン
RC211V(2005) 玉田 誠
RS125R(2005) T.ルティー
RC211V(2006) M.メランドリー
RC212V(2007) 中野 真矢
RS250RW(2007) A.ドヴィツィオーゾ
RS250RW(2009) 青山 博一
RC212V(2011) C.ストーナー
RC213V(2014) M.マルケス
RC213V(2015) M.マルケス
RC213V(2017) D.ペドロサ
RC213V(2018) M.マルケス
RC213V(2019) M.マルケス

 MotoGP日本グランプリの期間も見ることができるが、9月24日には「蘇るホンダサウンドHonda SOUND 75th ANNIVERSARY」も開催。ホンダコレクションホールの中庭ミニコースを4輪や2輪車が走行する。

走行車両

A型(1947年)
DREAM 2E(1952年)
Super Cub C100(1958年)
BENLY CB92(1959年)
RC213V-S(2015年)
T360(1963年)
S500(1963年)
N360(1967年)
CIVIC RS(1974年)
NSX Type S(2022年)

エンジン始動マシン

RC213V(2022年)

 なお、ホンダコレクションホールを運営するホンダモビリティランドによると、ホンダコレクションホールは来年春にリニューアル予定。現在の形で見られるのは、今シーズンが最後になるであろうとのことだった。

 実車を見られる貴重な機会であるのは間違いないので、心に響くマシンが1台でもあるならば、ホンダコレクションホールに訪れていただきたい。

ホンダの歴史はここから始まった。「人を喜ばせたい」