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アストンマーティンのF1日本グランプリツアーに参加してみた

2023年9月22日~24日 開催

ホームストレートのコース上で、アストンマーティン「ヴァンテージ」に乗り込んで大観衆の前を1周するホットラップなどを体験

日本のホームレースであることがひしひしと伝わってきた

 三重県・鈴鹿サーキットで開催された「FIA F1世界選手権 第17戦 2023 Lenovo F1日本グランプリ」。9月24日の決勝はマックス・フェルスタッペン選手の優勝とレッドブル・ホンダのコンストラクターズチャンピオンという結果で幕を閉じたのだが、その前日の予選日にアストンマーティンのメディアツアーに参加し、同チームの「パドッククラブ」からレースを見るという体験ができたのでその模様を報告する。

 今回体験したパドッククラブはF1参加チームのVIPや関係者が招待される場所。観客席からメインストレートを挟んだ反対側にあるチームピットの2階にあるエアコンが効いた広いエリアには、チームごとに工夫を凝らした食事や飲み物が常に提供されていて、フリー走行や予選が始まれば、テラスに出ることでピットレーンを出ていったり本コース上を全開で駆け抜けていったりするマシンを間近で見ることができる。

土曜の予選日とはいえ、グランドスタンドは大観衆で埋まっていた。パドッククラブはその反対側のピット上にある

 テラスに出てしまえばチームごとの仕切りがないので、好きな選手がいるチームやマシンの真上に陣取って観戦ができる。そして2023年はやっぱりレッドブル・ホンダチームのスペースが一番混雑していた。予選で唯一の1分28秒台を叩き出したフェルスタッペン選手の動きや、ピットに戻ってきた時のクルーの働きが素早く、さらに全体的に落ち着きや余裕が感じられたのは、目の前で見ているからこそ分かるポイントだ。

さすがの走りを見せてくれたレッドブルのフェルスタッペン選手

 そして元世界チャンピオンで現役最年長であるアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ選手と、アルファタウリの角田裕穀選手のタイム争いも、見ていてワクワクした。そして予選では角田選手がアロンソ選手より1つ上のポジション(9位)を獲得して大きなニュースに。一方、決勝ではアロンソ選手が、車体に日本語で書かれていた「サムライ魂」を発揮して角田選手(12位に終わった)をパスして8位入賞を果たしている。角田選手がホームストレッチを通過する際にはメインスタンドから大きな拍手と歓声が上がるので、その真向かいにいるわれわれにダイレクトに伝わってきて、日本のホームレースであることがひしひしと伝わってきた。

角田選手とアロンソ選手の予選順位争いは見ていて楽しかった。予選終了後はピット裏で報道陣に囲まれ、うれしそうな表情を見せていた角田選手
ドライバーズシート両側に日本語で「サムライ魂」の文字が刻まれたアロンソ選手のF1カー。着用した特別仕様のヘルメットには、日の丸をイメージした赤い丸やサムライ、仏塔が描かれている

大観衆の前でホットラップを体験

 それぞれのパドッククラブ参加者には、チームによってさまざまなサービスが提供され、その内容ごとに数々のIDカードが配布される。それを携行していないと、各ポイントに行くための多くのゲートを通過することができないのだ。アストンマーティンでは、ピットのすぐ奥にあるスペースで、フリー走行に出ていく直前のマシンを調整するクルーの作業を見たり、走行から戻ってきたばかりのアロンソ選手とクルーの会話をインカムを通じてリアルタイムで聞いたりすることができた。

各ポイントに行くためには専用のIDカードを準備し、厳重なセキュリティをキープするそれぞれのゲートを通過する必要がある
日本語で「サムライ魂」の文字が書かれたアストンマーティンチームのピット入り口。中ではクルーのヘルメットが整然とディスプレイされていた。ピットに戻ったアロンソ選手とクルーの会話は、備え付けのインカムを通じて聞くことができた

 また、セーフティカーやメディカルカーとしてアストン車が採用されているチームらしく、それぞれの専属ドライバーがドライブする車両に同乗し、フルコースを全開で1周する「ホットラップ」にも参加できた。ラッキーなことに筆者が同乗したのは、F1のセーフティカーを20年以上ドライブし続けてきているベルント・マイランダー氏がステアリングを握るアストンマーティン「ヴァンテージ」の助手席だった。

 レース中にはそれほど速く見えないセーフティカーだが、今回のホットラップでは縁石まで乗り上げながら豪快なコーナリングを見せてくれ、さらに裏のストレートでは250km/hあたりまで加速してくれた。正確なブレーキングとフル加速を繰り返すマイランダー氏のメリハリの利いた走りは素晴らしく、さらに大観衆が注目する中で本コースを走るというこの上ない快感を味わわせてくれたのだ。

F1セーフティカーのドライバーを務めるマイランダー氏が自ら説明してくれたヴァンテージのセーフティカーと、DBX707のメディカルカー

 終了後にマイランダー氏はわれわれをピットに招いてくれ、実際にレースで使用する車両そのものを解説してくれたのも貴重な体験だった。ヴァンテージのセーフティカーは助手席に大きなモニターやGPS、大型リアカメラを取り付けた特別仕様になっていて、ラゲッジにはレースディレクターからの情報や指示を正確に受信するための無線機やコンピュータが所狭しと装備されていた。またメディカルカーのDBX707には、6点式ハーネスを備えた4座のフルバケットシートと消化器を装備した太いタワーバー、さらにラゲッジにはAEDやさまざまな医療バッグなどが満載されていた。パドックのすぐ外側にはドクターヘリが待機していて、迅速な治療が施されるような体制が築かれているのだ。

セーフティカーとメディカルカーのピットのすぐ外側に待機するドクターヘリ

「どのポイントでアクシデントが起こり、適切な情報を適切なタイミングで得ながらコースに出ていく。そしてセーフティカーを入れるというのはレースを続けるという強い意志の表れでもある。同じ状況は1つもないので、集中力と正確な対応が必要なんだ」とマイランダー氏は教えてくれた。

 好天だったこの日は、F1パイロットではなく本物のエースパイロットたちが搭乗する航空自衛隊のブルーインパルスが飛来し、見事な演技を披露。やっぱりF1って素晴らしい、と思えた1日だった。

アストンマーティンのパドッククラブの様子
パドックでは日本をアピールする数々のアトラクションが行なわれていた
VIPたちは渋滞を避けてヘリコプターでやってくる?
ブルーインパルスが飛来し、華麗な演技でレースに花を添えてくれた