ニュース

いすゞ、「D-MAX」大幅改良モデルをタイで発表 バッテリEVピックアップトラックの導入予告も

2023年10月6日(現地時間)発表

D-MAX V-CROSS(タイ仕様)

 いすゞ自動車は10月6日(現地時間)、大幅改良した1t積みピックアップトラック「D-MAX」をタイで発表した。10月12日よりタイで販売を開始し、順次グローバルに展開していく。

 3代目にあたるD-MAXは2019年10月にデビュー。今回の大幅改良では内外装デザインに磨きをかけ、幅広いニーズに対応することで市場により適したピックアップトラックを目指したという。

 D-MAXはいすゞのグローバル戦略車として、アジア、欧州、中東、アフリカ、中南米、オセアニアなど100か国以上の国と地域で販売。2022年度のグローバル販売台数は約34万台で、特に1t積みピックアップトラックの最大市場であるタイでは約18万台(シェア45%)を販売した。1974年にマザー工場である泰国いすゞ自動車(IMCT)でタイ国内向けピックアップトラックの生産を開始し、IMCTでのピックアップトラック累計生産台数は500万台(2023年9月末時点。D-MAXの前身であるKB型・TF型およびOEM車を含む)を達成した。

 ピックアップトラックはタフで悪路走破性が高く、デザイン性も優れていることなどから、商用・乗用の兼用で使われており、2022年には約216万台とコロナ直前(2019年)の水準まで回復。D-MAXとしては今回の大幅改良によって各国の市場でさらなるシェア拡大を目指すとしている。

 今回の発表について、いすゞの社長COOである南真介氏は「いすゞは、カーボンニュートラル社会実現に向けて積極的に取り組んでいます。今後、タイにてバッテリーEVピックアップトラックの生産を計画しており、まずは欧州から導入し、タイを含め市場のニーズに応じて順次投入を検討していく予定です。いすゞのピックアップトラックにとって最大市場であるタイへの期待は、将来に向けても揺らぐことはありません。これからもタイの皆さまに貢献できるよう、共に『運ぶ』を創造し、末永く愛される企業であり続けたいと考えています」と述べている。

D-MAXの主な商品改良点

 エクステリアでは主に前後デザインを一新し、新モデルのコンセプトである「剛」(STRONG&AGGRESSIVE)、「駆」(SPORTY)、「進」(FUTURISTIC & DIGITAL)を表現。フロントではエンジンフードのセンターにパワーバルジ形状を追加し、フロントグリルをより高く幅広くすることで力強さを強調した。ヘッドライトはDRL(DAYTIME RUNNING LIGHT)を上部に配し、3つのキャラクターランプを追加することで新しさとスポーティさを演出した。リアはテールランプのデザインをLEDライトチューブによる3段L字型モチーフで強調し、翼を広げているような印象と車両のワイド感を表現。また、フロントバンパー左右にエアカーテンを新設し、テールゲート上部のスポイラー形状を大型化することで空力性能を向上させている。

 タイ向けV-CROSS(ダブルキャブ 4×4 6速AT)のボディサイズは5305×1880×1810mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは3125mm。4JJ3型エンジンの排気量は3.0リッターで、最高出力140kW/3600rpm、最大トルク450Nm/1600-2600rpmを発生する。

D-MAXのデザインスケッチ

 インテリアのコンセプトは「靭」(STRONG & SUPPLE)、「麗」(HIGH-CLASS & SOPHISTICATED)とし、インパネのセンタークラスターには新しいU字シェイプを採用し、力強さとインフォテイメントディスプレイの一体感を強調した。インフォテイメントディスプレイはダイヤル式スイッチを追加することで操作性が向上。インパネガーニッシュとドアインサート、シート素材にはミウラ折りパターンをモチーフにしたデザインを取り入れたほか、7インチに拡大したメーター内のTFTディスプレイとインフォテイメントディスプレイにはいすゞユニークのGUI(Graphical User Interface)を採用し、タッチスクリーンの使いやすさと視認性を向上させた。

 また、新世代ステレオカメラを新たに採用し、先進安全装置の機能を追加。主な新機能としては交差点進入時、カメラが横断歩行者(対向)を検知し、危険な状況と判断した場合に自動ブレーキが作動。さらに前向き駐車からの後退時でも、後側方から接近する車両を検知し、危険時には自動ブレーキが作動する。また、カメラレンズの周囲に電熱線を追加し、外気温が低いときには自動で温め、カメラレンズ周辺のフロントガラスの曇りによる先進安全装置の未作動リスクを回避する。さらに渋滞時の前車追従走行をアシストする機能やMTモデルへのアダプティブクルーズコントロール対応など、利便性を大幅に向上させたという。

D-MAXのインパネまわり
インフォテイメントディスプレイ&メーターパネル

 一方、走行面ではリアデフロック作動時のトラクションコントロール領域を広げることで、片輪が浮いて駆動力が抜けてしまう場合でも浮いているタイヤのブレーキ制御を行ない、もう一方のタイヤに駆動力を伝達することによって悪路での脱出性を向上させた。さらにラフテレインモードを新たに追加し、悪路走行に最適なブレーキ、エンジン制御が可能になった。車両が最適なタイヤ回転数になるよう、エンジン出力やブレーキを制御し、アクセル操作だけで悪路での発進・加速時のトラクションを確保し、高い走破性を実現したとのこと。

主なラインアップ。上からシングルキャブ/Regular Cab、エクステンドキャブ/Space Cab、ダブルキャブ/Crew Cab