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SUPER GT最終戦もてぎ、大逆転に向け3号車 Niterra MOTUL Zがポール獲得 GT300は2号車 muta Racing GR86 GTがポールで王者決定は決勝に持ち越し
2023年11月4日 16:37
シリーズ最終戦となるSUPER GT 第8戦もてぎが、モビリティリゾートもてぎにおいて11月4日~5日の2日間にわたって開催されている。4日には予選が行なわれ、5日の決勝レースに向けたグリッド順が決定した。
GT500のポールポジションを獲得したのは、シリーズランキング2位につけている3号車 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)。予選3位になったシリーズリーダーの36号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)との差を1点縮め、6点差で明日のレースを迎える。
GT300のポールポジションは、こちらもシリーズランキング2位の2号車 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)。ここでポールを獲得して1点をえなければランキングトップの52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)のシリーズ王者が決定するという重圧の中で、見事ポールポジションを獲得して、シリーズタイトルの決定を決勝レースに持ち越した。
GT500:シリーズランキング2位の3号車 Niterra MOTUL Zがポール、リーダーの36号車 au TOM'S GR Supraが2位
GT500は前戦の第7戦オートポリスで優勝した36号車 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)がランキングトップに立ち、2位の3号車 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)に7点差、3位の16号車 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)に16点差をつけており、3台がシリーズチャンピオンの可能性を残している。
36号車は優勝ないしは2位で自力チャンピオンと優位な状況で最終戦を迎えており、2位の3号車、3位の16号車にとっては、この予選で1点でも差を詰めておきたいところ。午前中に行なわれた公式練習では3号車がトップタイム、36号車が3位、16号車が5位といずれも上位で終えており、予選での激しい争いが予想されていた。
予選1回目(Q1)は、3号車がトップタイム、36号車は5番手で予選2回目(Q2)に進んだ。8位だった16号車は最後の最後に64号車 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/太田格之進)が8位に滑り込み、Q1落ちになってしまった。抜きにくいとされるもてぎの特性を考えると、予選9位は16号車にとって、逆転チャンピオン獲得が難しい状況になってしまった。
Q2でも3号車 Niterra MOTUL Zの勢いは続き、1分35秒539のトップタイムをマークして見事ポールポジションを獲得した。これで、36号車とのポイント差を6点に縮めて決勝レースを迎えることになる。
36号車は、2位の17号車 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)を挟んで3位になった。なお、このままの順で日曜日の決勝レースをゴールすると、3号車がチャンピオンとなる。その意味では、36号車が前の17号車を抜けるかということに注目が集まる。
4位は24号車 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平)、5位は23号車 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)、6位は100号車 STANLEY NSX-GT(牧野任祐/木村偉織)。
SUPER GT第8戦もてぎ GT500予選結果(編集部調べ)
順位 | カーナンバー | マシン | ドライバー | タイヤ |
---|---|---|---|---|
1 | 3 | Niterra MOTUL Z | 千代勝正/高星明誠 | MI |
2 | 17 | Astemo NSX-GT | 塚越広大/松下信治 | BS |
3 | 36 | au TOM'S GR Supra | 坪井翔/宮田莉朋 | BS |
4 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 佐々木大樹/平手晃平 | YH |
5 | 23 | MOTUL AUTECH Z | 松田次生/ロニー・クインタレッリ | MI |
6 | 100 | STANLEY NSX-GT | 牧野任祐/木村偉織 | BS |
7 | 64 | Modulo NSX-GT | 伊沢拓也/太田格之進 | DL |
8 | 14 | ENEOS X PRIME GR Supra | 大嶋和也/山下健太 | BS |
9 | 16 | ARTA MUGEN NSX-GT | 福住仁嶺/大津弘樹 | BS |
10 | 1 | MARELLI IMPUL Z | 平峰一貴/ベルトラン・バゲット | BS |
11 | 8 | ARTA MUGEN NSX-GT | 野尻智紀/大湯都史樹 | BS |
12 | 38 | ZENT CERUMO GR Supra | 立川祐路/石浦宏明 | BS |
13 | 37 | Deloitte TOM'S GR Supra | 笹原右京/ジュリアーノ・アレジ | BS |
14 | 19 | WedsSport ADVAN GR Supra | 国本雄資/阪口晴南 | YH |
15 | 39 | DENSO KOBELCO SARD GR Supra | 関口雄飛/中山雄一 | BS |
GT300:2号車 muta Racing GR86 GTがポールを獲得し、52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTの王者決定を阻止する
GT300は、シリーズリーダーの52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)が2連勝して、シリーズ2位の2号車 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)を20点リードしており、優勝回数(2号車は今シーズン優勝がない)の関係で20点差だと52号車のシリーズチャンピオンが決定する。
このため、予選で2号車がポールを獲得して1点を取らない限り、シリーズチャンピオンが予選で決まってしまうという状況。午前中の公式練習では2号車がトップタイムをマークしており、予選での戦いに注目が集まっていた。
午後から始まった予選では、常にシリーズで上位を走ってきた56号車 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/名取鉄平)が予選1回目(Q1)で落ちるなどの波乱が起きたが、それ以外は上位勢が順当に予選2回目(Q2)に進んだ。
Q2では2号車 muta Racing GR86 GTが1分45秒633というベストタイムをマークして、ポールポジションを獲得。1点を獲得して、トップとの差は19点差に変わり、日曜日の決勝レースを迎えることになった。
ランキングトップの52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTは7位。10位/1点でもポイントを獲得すれば、チャンピオン獲得となるため、引き続き52号車が優位であることに変化はない。
2位は88号車 JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)、3位は65号車 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)、4位は61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)、5位は18号車 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)、6位31号車 apr LC500h GT(小高一斗/根本悠生)。
SUPER GT第8戦もてぎ GT300予選結果(編集部調べ)
順位 | カーナンバー | マシン | ドライバー | タイヤ |
---|---|---|---|---|
1 | 2 | muta Racing GR86 GT | 堤優威/平良響 | BS |
2 | 88 | JLOC ランボルギーニ GT3 | 小暮卓史/元嶋佑弥 | YH |
3 | 65 | LEON PYRAMID AMG | 蒲生尚弥/篠原拓朗 | BS |
4 | 61 | SUBARU BRZ R&D SPORT | 井口卓人/山内英輝 | DL |
5 | 18 | UPGARAGE NSX GT3 | 小林崇志/小出峻 | YH |
6 | 31 | apr LC500h GT | 小高一斗/根本悠生 | BS |
7 | 52 | 埼玉トヨペットGB GR Supra GT | 吉田広樹/川合孝汰 | BS |
8 | 7 | Studie BMW M4 | 荒聖治/ブルーノ・スペングラー | MI |
9 | 96 | K-tunes RC F GT3 | 新田守男/高木真一 | DL |
10 | 4 | グッドスマイル 初音ミク AMG | 谷口信輝/片岡龍也 | YH |
11 | 87 | Bamboo Airways ランボルギーニ GT3 | 松浦孝亮/坂口夏月 | YH |
12 | 60 | Syntium LMcorsa GR Supra GT | 吉本大樹/河野駿佑 | DL |
13 | 6 | DOBOT Audi R8 LMS | 片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン | YH |
14 | 11 | GAINER TANAX GT-R | 富田竜一郎/石川京侍 | DL |
15 | 50 | ANEST IWATA Racing RC F GT3 | イゴール・オオムラ・フラガ/古谷悠河 | YH |
16 | 20 | シェイドレーシング GR86 GT | 平中克幸/清水英志郎 | DL |
ポールポジション記者会見:両クラスともランキング2位がポールを獲得、チャンピオンのことは考えずにとにかく勝ちを狙っていくと両チーム
予選終了後には、それぞれのクラスのポールポジションを獲得したチームのドライバーによるポールポジション会見が行なわれた。以下はその模様になる。
──それでは本日の予選でのそれぞれの担当についての感想などを教えてほしい。
平良響選手(2号車Q1担当):絶体絶命的ポイントの中で、まずQ1を通らないといけないので、Q1を大事に通っていこうという予選だったけど、バランスもよくてQ1は問題なく通った(筆者注:実際にはQ1 B組のトップタイム)。堤選手がポールを取ってくれると確信したタイミングから、明日のレースが楽しみになった。
堤優威選手(2号車Q2担当):予選でポールと取れてうれしい。今日はポールを取ることだけを目指して、セッティングを煮詰めてきた。チーム全体で取れたポールだと思う。
高星明誠選手(3号車Q1担当):ポールの会見に来たことなかったので、来ることができてうれしい(笑)。公式練習から調子よくて、速さを見せることができている状況だった。そのまま走ればポールを取れると思っていた。予選に向けてはアジャスト程度で、Q1でも公式練習とフィーリング変わることなく走れた。
千代勝正選手(3号車Q2担当):自分もここに初めて来ることができた(千代選手はGT500で初ポール獲得)。チームも高星選手も的確に情報をくれるなどみんなで取れたポールだ。ただ、Q2のタイムを見れば分かるように、公式練習よりも2秒以上速くて、一発勝負的なところもあってプレッシャーを楽しませてもらった。今回はミシュランタイヤでアタックできる最後の予選で、2016年にミシュランでデビューしたときもミシュランでよいタイムを出すことができていたので、そんなことを思い出しながらミシュランのエンジニアに「ひと仕事やってきます」と言って出ていった。その彼らの作った素晴らしいタイヤで、素晴らしいタイムを刻むことができたのは、素晴らしい結果だと思う。
──千代選手は予選後の公式会見で感極まっていたけど、その心は?
千代勝正選手:ポールを取ったと聞いたときには本当にうれしかった。ポールは今までなかったので、取りたいという気持ちが強かった。また、今はチームやチームメイトに恵まれていて、高い次元で仕事ができている。その中でミシュランとの最後の仕事になるのでそれをかみしめて走れていたからだ。
──300も500も点差は縮めたが、依然として自力でシリーズタイトルを取ることはできないという状況には変化がない。シリーズタイトル獲得に向けて、少しは縮まったと感じているか?
平良響選手:こっちが優勝しても、向こうが0点にならない限りは取れないので、見守るだけだが、取りに行きたいとは思っている。
堤優威選手:最低条件を1つだけクリアした状況。少し近づいた感じはあるが、シリーズを追いかける意識はあまりない。今シーズンは速いけど、優勝できないレースが続いていたので、明日は優勝を取りにいって、相手がノーポイントならラッキー程度に考えている。明日は明日の結果を追いかけるだけだ。
千代勝正選手:自分たちが勝つことだけに集中したい。相手の順位はコントロールできないので、最後まで一生懸命走るだけ。
高星明誠選手:7点差から6点差にはなったけど、今の予選順位を考えると、1点縮まっても状況には変化はないと感じている。
──最後に明日レースに向けた意気込みを
平良響選手:これまで勝てそうで勝てなかったレースが3回も続いたので、優勝して終わりたいと思う。
堤優威選手:悔しいレースが続いていたので、明日はやるべきことをやって優勝を勝ち取って、その結果チャンピオンがとれたらいいと思う。
千代勝正選手:明日はたくさんのお客さまにお越しいただくとのことなので、よい形で締めくくりたい。ベストを尽くして、日産、ニスモ、ミシュランの総力をあげて戦いたい。
高星明誠選手:前戦のオートポリスのレースで36号車に抜かれてしまったのは本当に残念だったので、明日の決勝レースでは彼らの前で勝ちきりたい。今日の予選で速さはアピールできたので、明日は強さをアピールしたい。そしてレースではミシュランの強さを見せつけたい。