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SUPER GT第7戦オートポリス、坂東代表定例会見 「再車検で失格にならないようにチームのレベルを上げてほしいとお願いしている」

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

 SUPER GT第7戦オートポリスが10月14日~15日の2日間にわたってオートポリスインターナショナルレーシングコースにおいて開催されている。10月15日には13時30分から決勝レースが行なわれているが、それに先だつ午前中にSUPER GTのプロモーターであるGTアソシエイションの定例会見が行なわれた。

 GTA 代表取締役 坂東正明氏は「再車検で失格にならないようにチームにはレベルを上げてほしいとお願いしている」と述べ、再車検で表彰台に立ったチームが失格になる事態に対し、チーム側にお願いしていると述べた。

SUPER GTは、速度の違うGT500とGT300が混走するのが基本的な枠組みだと坂東代表

GTA司会:それでは坂東代表より冒頭のあいさつを。

坂東正明代表:昨日のように霧がかかっていると不安になるが、本日はよい天気になってよいレースが期待できると思っている。ここで継続してレースをすることが、九州のファンや西日本のファンのためであり、同時にモータースポーツ、SUPER GTの発展に資すると考えている。

 このレースの前には大分県庁を訪問させていただきお話しをさせていただいた。ここは福岡県と熊本県に挟まれた場所にあり、地元にどんな経済効果があるのかをお話しさせていただいた。来ていただいたお客さまに大分側に降りてきていただくような連携ができないかを地元の方と連携してやっていきたい。

──菅生で大きなアクシデントがあった。昨年の第2戦、本年の第3戦、前戦と大きなアクシデントが続いている。500と300が絡んでいることが大きな原因なのでは?続いている現状があるが、抜本的な対策が必要なのではないか?

坂東正明代表:抜本的な対策というのはどういう意味なのだろうか? SUPER GTは、GT500とGT300という車速の違う2つのクラスが同時に走っている、異種格闘技とわれわれが表現しているレースだ。それを極めて、お客さまにレースとして見せることをみんなが目指しているのがこのレースなのだ。それをGT500やGT300だけのレースにする、スプリントにするというのは、別のレースであってわれわれのレースではないし、SUPER GTのレースではない。もしそれを変えないで抜本的に変える方法というのがあるのであれば、われわれ自身が知りたいぐらいだ。

 われわれができることはそのクオリティを高めていくことだ。もちろん車両のコーナリングスピードが高いことは議論しており、それは落とそうとしている。それをどう実現しないといけないかは今後議論していく必要がある。また、ドライバーの技量に問題があるのであれば、ステップアップしてくる段階で何かを考えないといけない。

 参加台数が多いのではという議論も同じで、今は45台をマックスとしている。コースの幅とかさまざまな制約なかで、自分たちで決めてその台数にしている。では例えば、台数を減らしてから事故はなくなるかと言えば自分はそうではないと思っている。そこはみんなのクオリティを上げていくしかないのだ。

 今後はそうしたクオリティを高めることをやっていく、その中でさまざまな議論をして技術を開発し、コーナリングスピードを抑制していく。そしてこういう時代なので、カーボンニュートラルも目指しながら2030年にも音が出せるレースを作っていく努力をしたい。

──台数の見直しなどはあるか?

坂東正明代表:コースが許すなら、もっと走らせたいというのがわれわれの考え方だ。10台とか15台でやれば当たらないなどの議論もわかるが、それはレベルを下げろということにほかならないのではないか? 抜きつ抜かれつもなく、ただサーキットをグルグル回っているだけのレース、そんなものをお客さまが望まれているのだろうか? そうではなく、どのラップでも抜きつ抜かれつがあって、オーバーテイクのときには見ていてワクワクドキドキするのを見せられる、それがプロのレースではないだろうか。

 走りたいというチームがあるなら、できるだけ出てもらいたい、それがわれわれの気持ちだ。確かにスポーツランドSUGOのようなレースでは45台を走らせるのが難しいので、最大で42台になっているが、サーキットの施設さえ許すならもっと出走させたいのだ。

 お客さまにとって魅力あるレースというのは台数を減らす形ではないと自分は考えている。もちろん、そうして台数を走らせる以上、事故が起きないようにとさまざまな対策をしたり、設備を充実させたりという努力は絶え間なく続けて行くべきだ。

──事故はウィンカーを出していなかったというのが最大の理由ということだが、ウィンカーを出すというのは昨年の事故で周囲に徹底できればという話だったと思う。その点の対策は?

坂東正明代表:車両によってはウィンカーを出しにくいという車両があるのも事実だ。例えば、GT500ではウィンカーはドライバーから遠くに設置されているし、GT3に関してはFIA GT3の規定で勝手に改造できないため、ウィンカーが出しにくい場所にある車両もある。将来的にはそれを安全のために出しやすい場所に移設するということも必要ではないかと考えている。ただし、そのためにはFIA GT3との整合性を取る必要がある。

 また、昨日の公式練習や予選でも、ウィンカーを出してほしいシーン(例えば予選のアタックが終わってスロー走行するときなど)でも、出していない車両がいくつかあって、それに対してオフィシャルから情報が上がってきている。現状ではそれをすべて検証することは事実上不可能なので、ペナルティを出すというのはすぐには難しいし、なんでもかんでもペナルティを出せばよいという訳ではないと思う。

 コースの構造も含めてまだまだクオリティを高める余地があると考えているため、スポーツランドSUGOにもコースの改修(筆者注:ピットイン時のホワイトラインをより最終コーナーまで伸ばすこと)などをお願いしている。

GTA司会:練習走行でもレースディレクターから(ウィンカーを出していなかった当該チームには)連絡しているなど、チームやドライバーの意識を上げようという取り組みを行なっている。今後も取り組みを続けて行くので、その都度お話しできるようにしたい。

──病院搬送後のフォローアップについてはGTAとしては何を行なっているのか?

坂東正明代表:各サーキットに医療設備があって、ヘリや救急車で緊急搬送するという、サーキットに出てからの医療体制に関しては基本的にはプロの医療機関にお願いしており、自分たち素人が口を挟むべきではないと考えている。

 唯一GTAの判断で行なっていることは、FRO(First Rescue Operation、レース進行中であっても事故現場にいち早く駆けつけるGTAのドクターが乗っている緊急車両のこと、レースの世界ではこうした緊急車両は赤旗にならなければ導入できないので、世界的に見ても類を見ないユニークな取り組み)を導入していることだ。ものすごく厳密に言えば、FIAの規定では赤旗になるまで何もしなくてよいというのがルールなので、グレーな存在なのかもしれないが必要だと考えて導入している。

 鈴鹿サーキットのドクターからは移動式なCT/MRIトラックがあれば災害時にも使えるしいいのではないか?という提案もあったが、数億円というコストは一私企業が導入するのはほぼ無理なレベル。それこそ、政府とかと一緒になってやらないと行けないレベルで簡単ではない。

再車検後失格が続発している問題はチームのレベルアップが必要と坂東代表、チーム側の意識も変わりつつある

──前戦では、GT500、GT300ともに再車検後に不合格となり失格になっている。実際、今シーズンは6戦中4戦で、表彰台の顔ぶれが変わってしまっている。見に来ているお客さまにとっても良いことではないと思うが……。

坂東正明代表:それはチームのレベルの問題だと考えている。エントラント協会の方にも話をしているが、勝ちたい気持ちは分かるが、レギュレーションはレギュレーションであり、それを破ったら失格になる、それは当たり前の話だ。

 そうした数字は規則で厳密に決められており、再車検の結果においての数字は数字だ。しかし、おっしゃるとおり、誰にとってもこうした状況がいいとは思っていないので、金曜日の車検を充実させるようにしている。ただ、金曜日の昼から車検を始めて、40台を検査していくと、1台あたり10分~15分だとしても、夜まで時間がかかっている現状だ。そこをしっかりとやってもらって、チェック機能を上げてほしいということを関係各所にお願いしている状況だ。

 例えば、車高の問題一つとっても、FIA GT3では計測する決められた場所を計測するのだが、車両によってその位置も違う。そういう状況の中で限られた人数でやっているのはわかるが、もう少し車検で容易にチェックできないのかという話をしている。

 結果は結果として出てくるので、数字をオーバーしているものがあれば、失格にするしかない。失格という言葉はやや強めだし、自分としても嫌だなぁとは思っているが、ルールはルールだ。

GTA司会:予選後に上位3台を確認したところ、いずれも新品に近いスキッドブロックを使っていた。あくまで昨日の予選での話だが、ファンの方に残念な思いをさせないようにエントラント側の意識も変わってきている。

坂東正明代表:この会見終了後、今回のレースに来場されるブリヂストンの石橋氏(ブリヂストン株式会社 代表執行役CEO 石橋秀一氏)とお話しをする予定だが、そのときにはよりワイドレンジのタイヤ作りをお願いしたい。来年は持ち込みの本数も減るし、再生由来の材料を40%にするなどの取り組みができればと思う。タイヤメーカーの現場からはワイドレンジのタイヤで本数を制限すればコーナリングスピードが落ちるだろうという意見が出てきており、来期に向けてそうした方向でも対策を考えている。

GTA司会:では最後の坂東代表から締めの言葉を。

坂東正明代表:さまざまな課題はあるが、今後も継続してGT500も、GT300もクオリティを上げていくことが大事だ。みんながクオリティを上げていくことで、よいレースをお客さまに見せていき、より多くのお客さまにサーキットにいらしていただけるようにすることが大事だ。そしてカーボンニュートラルの取り組みも継続して、2030年に以降にも音が出させるレースを続けていきたい。

大分県の特産物を利用したお弁当の進呈式や、サーキットで行なわれたピンクリボン運動の取り組みなどが説明される

400個のお弁当が10個ずつチームに進呈された

 会見終了後にはオートポリスインターナショナルレーシングコースの運営会社である株式会社オートポリスが、大分の特産物を利用しているお弁当を、エントリー1台あたり10個をチームに進呈するセレモニーが行なわれ、坂東代表にパネルと実際のお弁当が贈呈された。

進呈されたお弁当

 また、オートポリス 代表取締役社長 三好理文氏、大分県 福祉保健部 健康づくり支援課 課長 阿部剛氏、認定NPO法人 ハッピーマンマ 理事 古川雄一氏の3名が参加して、今回のSUPER GT第7戦で行なわれた「ピンクリボン運動」について説明が行なわれた。

 ピンクリボン運動はよく知られているとおり、米国において乳がんなどで家族を亡くされた方が早期発見、早期治療を啓発するために始めた運動。日本ではまだまだ浸透度が低いということだが、さまざまな要因で日本でも8人に1人という割合で乳がんにかかる割合が欧米並みになってきているとオートポリスの三好社長は説明し、そうした社会貢献の一つとして今回の取り組みに取り組んだと説明した。

 会見には大分県の阿部氏、ピンクリボン運動に取り組んでいるNPO法人ハッピーマンマの古川氏などが参加して、ピンクリボン運動への取り組みをアピールした。

左から認定NPO法人 ハッピーマンマ 理事 古川雄一氏、株式会社オートポリス 代表取締役社長 三好理文氏、大分県 福祉保健部 健康づくり支援課 課長 阿部剛氏