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ステランティス ジャパン、ジープ初BEV「アベンジャー」やアルファ ロメオのコードネーム「Kid」、フィアット「600e」など2024年導入モデルを打越社長が明かす

Stellantisジャパンの打越晋社長が記者会見を行なった

クルマを買うという消費者行動は、しっかり続いている

 Stellantis(ステランティス)ジャパンは11月30日、打越晋社長による2023年の総括と2024年への展望についての記者発表を行なった。

 打越社長によると、「2023年は半導体や部品供給の問題はすでに解消され、コロナ前からの回復力としては、国産車のほうが若干早くて2018年比で9割以上、輸入車は少し遅れて8割ちょっとというところ」と解説。また、「為替の影響があるとはいえ、ステランティスとしてはそこをカバーするのが1つの課題と考えている」という。

 続けて打越社長は、「ただし、全体としてユーザーがクルマを買わなくなったとか、市場全体が落ち込んだり冷え込んだりといった状況ではなく、むしろユーザーへの提案がきちんと届けば、輸入車、そしてステランティスのクルマは来年にはコロナ前と同じかそれを超えるレベルになる可能性がある」と期待を語り、クルマを買うという消費者行動は、しっかり続いているという見立てだ。会見の詳細は以下の通り。

2023年の振り返りと2024年の展望を語る打越社長

ブランド価値を高めるオーナーズイベントを開催

 2023年は7つあるステランティスブランドの多様性と価値を高めるためのイベント活動を数多く行なった効果が出て、DSは40%、シトロエンとジープは10%以上もの伸びを示したという。例えば9月に岐阜県高山で開催したシトロエンのオーナーズイベント「Citroënist Rendez-vous OWNERS’ FESTIVAL – 2023」をはじめ、ジープならではといえる「Camp Jeep」と富士ヶ嶺で開催したオフロード走行を基礎から学ぶドライビングスクール「ジープ アドベンチャー アカデミー」、今年で14回目となる浜松での「フィアット ピクニック」、アバルトの「アバルト デイ」など、大きなパフォーマンスを発揮したという。

「Citroënist Rendez-vous OWNERS’ FESTIVAL – 2023」をはじめ、コロナが明けた2023年は、さまざまなイベントを実施してきたという

 また、品質面で「今までご迷惑をおかけしていた」(打越社長)とする、アルファ ロメオ車については、急激な改善が見られ、顧客満足度を示すJ.D.パワーでもプレミアムモデルで1位、全体としても3位を獲得したという。ブランドでは来年、ハイパフォーマンスモデル「クアドリフォリオ」のオーナーによるサーキットイベントを開催予定という。

ジュリア クアドリフォリオ(左)、ステルヴィオ クアドリフォリオ(右)、クアドリフォリオは四つ葉のクローバーのこと

EV化のリーダーを目指す

 現在日本で一番多く販売されたバッテリEV(電気自動車)は軽自動車ベースで、航続距離は200km程度でもしっかり売れている。バッテリEVを販売する際に最初から電欠や航続距離のネガな点を話してもかえって不安をあおるばかりだったという反省があり、「ニーズをしっかりと見据えた提案が行なえれば、もっと売れると思っている」と打越社長。とはいえ、安価なシティコミューターのようなものでは、輸入車ブランドとしてそれぞれが持つ“らしさ”は発揮できるわけではなく、入れる意味がないと考えているという。

 ステランティスは、10月の「アバルト500e」の導入によって、7つの乗用車ブランドすべてで19車種という電動化ラインアップ(BEV、PHEV、MHV)がそろったことになる。これに合わせて行なっているブランド横断型キャンペーンが「エブリバディEV」だ。

アバルト500e

 エブリバディEVキャンペーンでは、12月29日までの期間中の購入者を対象に、購入した電動車に乗ってでかける「オーダーメイドジャーニー」(1泊2日、2名)を、JTBの専任コンシェルジュが顧客1人ひとりに提案してプレゼントするというもので、道中の充電スポットや観光スポットが行程に含まれており、安心のドライブ旅行ができるという内容で、「びっくりするほど想定外のオーダーがあった」と打越社長はいう。この結果、クルマを輸入して販売するだけでなく、購入後の楽しみを提供するのも1つの仕事であることを実感できたという。

バッテリEVモデル普及のため7ブランド横断型キャンペーン「エブリバディEV」を実施

 また、販売店に設置する充電機はENEOSと連携したもので、来年にはジープがBEVモデル(後述)を導入することで、350店舗のすべての店舗に配備される予定という。さらにEVモデルのイベントを開催することで、EV化のリーダーを目指すとした。

「ステランティス ブランドハウス」とは?

 店舗展開については、「ステランティス ブランドハウス」という構想を計画中とのこと。それぞれのブランドを1つの建屋に入れた店舗には、個々のサイズ(面積)は小さくなるものの、ジープがある、フィアットがある、アルファロメオもある、といったもので、ステランティスとしてはグローバルな展開を行なう予定という。

 イタリアにはそのモデルに似た店舗がすでにあり、「8月には投資家やディーラー社長さんと共に視察旅行に訪れた」と打越社長は明かした。現地では担当者との面談も行なわれたとのことで、終了後のバスの中では「いつからやるの? 早くやりたいので資料をください」という声がものすごかったという。

ステランティスジャパンが扱うブランドすべてを扱う店舗も計画中という

 このコンセプトは経営する側にとってもいろんなブランドが扱えるというリスク分散にもつながり、メリットが大きいと映ったようだ。当然、店舗を訪れる購入希望者にとっても一度に多くのクルマを比べることができるので、メリット大の話だろう。

2024年の新たな導入モデルは何?

 ステランティス ジャパンが2024年に新たに導入するモデルもこの場で紹介された。ジープでは4月ごろの「ラングラー」のマイチェンモデルと、ブランド初のバッテリEV「アベンジャー」。ジープの中でバッテリEVをどうやって訴求し売っていくか、非常にチャレンジングで打越社長も楽しみにしているという。プジョーでは新型「3008」(バッテリEVモデルもあり)、シトロエンでは今やエース格となっている「ベルランゴ」のマイチェンモデル。そして兄弟車のプジョー「リフター」とフィアット「ドブロ」も同様だ。

ジープブランド初となるバッテリEV「アベンジャー」も導入予定という

 また、フィアットでは時期未定だがバッテリEVの「600e」が間違いなく入ってくる(ただし2025年の可能性もある)。そして、アルファ ロメオは最初のバッテリEVで次期BセグSUVのコードネーム「Kid(キッド)」が控えているという。

 ステランティスでは、2024年にこれら多くのバッテリEVがラインアップに加わることが原動力となり、打越社長は「販売台数はコロナ前レベルに戻るはずだ」と締めくくった

バッテリEVモデルなど多くの電動化モデル導入で、2024年の販売台数増を期待しているという打越社長