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世界最大の後席液晶ディスプレイ、レクサス「LM」搭載の48インチ後席ディスプレイについてパナソニックが詳説

レクサス「LM」に搭載されたパナソニック製後席液晶ディスプレイ。ピラーtoピラーで48インチの世界最大サイズ

レクサス「LM」に搭載された世界最大となるパナソニック製後席48インチディスプレイ

 パナソニック オートモーティブシステムズは12月13日、レクサス「LM」に搭載される48インチディスプレイシステムに関する説明会を開催した。この48インチディスプレイは後席に搭載されるもので、同社調べによると世界最大の後席ディスプレイになるという。

 48インチディスプレイは、パナソニック オートモーティブシステムズ HMIシステムズ事業部が担当。従来型ディスプレイ2枚分となる、32:9の縦横比となっている。つまり、16:9のフルHDディスプレイを横に2枚つなげた形になっている。

レクサスLM

 LMではこの大きさを活かして、1画面によるパノラマモード、中央1画面表示モードのほか、横に2画面並ぶ2画面モードを用意。そのためHDMI入力も2つ備えている。

2画面モード
フルスクリーンモード
スマホのミラーリングモード

 HMIシステムズ事業部 ディスプレイビジネスユニット 第一商品部 部長 神戸祐一氏によると、同社の後席ディスプレイ事業は1997年のトヨタ「グランビア」に採用されたものが初になるという。今回の採用については、車載搭載技術と大画面液晶技術が評価されたものであるとし、このような車載大画面需要、MaaSなどの表示需要に応えていきたいと事業について紹介した。

パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社 HMIシステムズ事業部 ディスプレイビジネスユニット 第一商品部 部長 神戸祐一氏(中央)、同 PM課 課長 長島一将氏(右)、同 商品開発三課 課長 柳沼正宣氏(左)
パナソニックの組織体制
HMIシステムズ事業部の目指す提供価値
人とクルマがつながる商品を展開
後席空間ソリューション事業への挑戦

車載ディスプレイとして安全に配慮

LMに搭載された48インチディスプレイ

 HMIシステムズ事業部 ディスプレイビジネスユニット 第一商品部 PM課 課長 長島一将氏は、実際の開発について説明。この車載ディスプレイはトヨタ車体とともに開発しており、26インチから48インチにするなど仕様変更もあったことから、CCPM(Critical Chain Project Management)という開発手法を採用。機能実装+評価期間を14.5か月から12か月に2.5か月(18%)短縮できたという。

 ディスプレイにおいては、ピラーtoピラーの最大サイズを追求。16:9のソース表示を主眼に置いていることから、26インチフルHDディスプレイを2枚横につなげた48インチ32:9のシステムになっている。もちろん液晶パネル製造においても、フルHDを使うのが望ましく、そうした面からも決まってきたサイズだと思われる。

展示された48インチディスプレイユニット
ディスプレイ取り付け部のダイカスト製部品
ディスプレイ背面の分割構造。いざというときは中央から手前に曲がるように作られている

 車載において、最大の画面サイズとしたいところから、額縁サイズを42%削減。具体的には、バックライトベゼルをダイカストのような強度のある部品に変更するなどしており、72mmぐらいから42mmぐらいに削減することに成功した。

 また、この48インチディスプレイは車載ディスプレイのため、振動対応、側面衝突対応が図られている。振動対応は振動解析を行なって、その振動に対応する保持を実施。側面衝突対応は、側面方向から入力があった場合に前方に折れるような構造となっており、後席に座るゲストへの安全配慮がなされているとのことだ。

 実際ディスプレイ背面を見てみると、ダイキャスト製フレームに分割線があるのを見てとれる。側面衝突の際は、ここからV字型に前方に折れ曲がり、液晶などの突起物が後席側に突出しにくい構造になっている。

 背面を見ると、ダイキャストになった取り付け部も分かり、ユニット全体の重さは約15kgとのことだ。

後席48インチディスプレイシステムについて
後席48インチディスプレイシステムの特長
画面分割モードについて
CCPMの導入による短期開発の実現
トヨタ車体とパナソニックの共創
車載品質

 長島氏によると開発のきっかけは、レクサス側から世界最大の液晶ディスプレイを後席に搭載したいという要望があったとのこと。その要望に応える形で26インチ×2となる48インチディスプレイを2021年に受注。開発を行ない、2023年の正式発表となった。