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タイ10時間レースに投入される新型プリウスは、WECモードのバッテリコントロールと出力アップでレーシングハイブリッドを追求

タイのイベントで展示されたPrius 24h Le Mans Centennial GR Edition。10時間レースは、このクルマとは別に開発された新型プリウスが参加する

タイ10時間レースに新型プリウスが参戦

 TOYOTA GAZOO Racingは12月19日、タイの首都バンコクでTOYOTA GAZOO Racing Festivalを開催。モリゾウ選手ことトヨタ自動車 豊田章男会長、大嶋和也選手、佐々木雅弘選手らがデモランを行なったほか、多数のレーシングマシンを展示した。

 さらにTOYOTA GAZOO Racingは、12月22日~23日にタイのブリラムで行なわれる10時間耐久レースに新型プリウスをベースとしたレーシングカーを投入。シーピールーキーレーシング(CP ROOKIE Racing)の「CP ROOKIE PRIUS CNF-HEV GR concept」として参戦するこの新型プリウスは、名前からも分かるとおりカーボンニュートラル燃料を使用。ハイブリッドパワーユニットによる、カーボンニュートラルレーシングの取り組みを行なう。

GAZOO Racing Company プレジデント 高橋智也氏

 この新型プリウスでは、レーシングハイブリッドとして各所をチューンアップしていると、GAZOO Racing Company プレジデント 高橋智也氏はいう。まず、使用燃料はスーパー耐久SUGO戦以降に投入された改良型P1 Fuels製カーボンニュートラル燃料。単にこの燃料に変更したのみだと、燃料の持つ熱エネルギーの問題で出力は下がる方向に行くが、燃料噴射などが調整されて出力を結構上げてあるとのこと。

 そして、バッテリについても通常のハイブリッドプリウスよりも多くのものを搭載。エネルギーの蓄積量を上げているとのことだ。さらに、バッテリマネジメントには、WEC(世界耐久選手権)に参戦するハイパーカー「GR010」で開発された「WECモード」を転用。バッテリをいたわる方向での充放電プログラムが行なわれているという。

タイのイベントに展示されたWECマシン「GR010」。このハイブリッドマシンの制御が、WECモードとして採り入れられているという

 つまり、エンジン出力を上げ、バッテリ搭載量を増やしと、熱が大量に発生する方向でのチューニングを実施。熱的に厳しい状況に追い込んで、10時間レースで新型プリウスによるレーシングハイブリッドを追求していくとのことだ。

 日本は冬だが、タイは11月から乾期に入っており、今は連日30℃を越す日々が続いている。電池を利用する新型プリウスにとって厳しい状況であるのは間違いないだけに、レーシングハイブリッドの成立に向けて10時間耐久レースに挑んでいく。