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WRC開幕戦ラリー・モンテカルロ、豊田章男TGR-WRT会長コメント 「85回の喜びや悔しさが、今回も“お客様の乗るクルマ”に結びついた」

トヨタ自動車株式会社 代表取締役会長 豊田章男氏。TOYOTA GAZOO Racing WRTの会長も兼任する

 1月28日、WRC開幕戦ラリー・モンテカルロの最終日デイ4が行なわれた。TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、 17号車 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 HYBRID)が総合2位、33号車 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が総合3位、18号車 勝田貴元/アーロン・ジョンストン組が総合7位で終えた。

 優勝はヒョンデのティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ組で、ドライバー選手権ではヌービル/ヴィーデガ組がトップに立ったが、マニュファクチャラー選手権ではTGR-WRTが46ポイント、ヒョンデが45ポイントと、TR-WRTがトップに立った。

 第1戦を終え、TGR-WRT会長の豊田章男氏はコメントを発表した。

TGR-WRT会長 豊田章男氏コメント

WRC開幕戦ラリー・モンテカルロで世界初披露された進化型GRヤリス特別仕様車「セバスチャン・オジェEdition」と「カッレ・ロバンペラEdition」

 8回目のシーズンスタートはTOYOTA GAZOO Racing WRTにとって新たな一歩となりました。

 9年前、私は皆さまの前でWRC再参戦を宣言しました。そのときの言葉は「お客様が“日常使う道”を舞台に“日常使う市販車”をベースとしたクルマで争われるラリーは、ヒトとクルマを鍛え上げるためには最適な舞台。もっといいクルマをつくるため、多くの方々に笑顔になっていただくため、WRCの道に再び戻らせていただきたい。」

 今回、7シーズンを経て、“お客様に笑顔になっていただくクルマ”を、さらに2つ提供させていただくことができました。

 ひとつはチャンピオンエディションの2台、「セバスチャン・オジェEdition」と「カッレ・ロバンペラEdition」です。単なる記念モデルではありません。二人のチャンピオンが開発に入り込み、彼らの求める味を実現したモデルです。

 カッレのクルマは私も大好きなドーナツ味も楽しめるとのこと。私も一度、試食してみたいと思っています。セブのクルマには、なぜか“MORIZOモード”がついています。開発中にセブが行き着いた味付けが、私の味付けと同じだったので、セブの計らいでチャンピオンのクルマに私の名前も乗せてもらえることとなりました。セブありがとう。

 もうひとつは「Rally2」です。初の実戦となるモンテカルロで、4組のお客様が乗ってくださいました。実力が示されていない未知数のクルマで、さっそく挑戦いただいた4組のチームの皆さまに心から感謝いたします。

 日本の第1号車の納車先は“普通のクルマ好きおじさん”です。まだ納車はされておりませんが、モリゾウも先ず乗ってみて、改善点がないかなど試してみたいと思います。その後、そのクルマは、国内のカスタマーに貸し出して全日本ラリーに参戦してもらう予定です。Rally2をWRCや全日本ラリー間に合わせるため、フィンランドのメンバー達は大変な努力をしてくれていると聞いています。まずはデビュー戦モンテカルロで4台すべてが完走できて安心しました。クルマそのものも、サポート体制も、これから改善させ続けていかなければ、お客様に選ばれるクルマにはなっていきません。今回がスタートです。チームの皆さん、よろしくお願いします。

 TOYOTA GAZOO Racingにとって、WRCはただ勝てばいいというものではありません。「もっといいクルマをつくるため、多くの方々に笑顔になっていただくため」の参戦です。これまでの85回の喜びや悔しさが、今回も“お客様の乗るクルマ”に結びつきました。本当に大きな一歩です。その一歩を優勝で飾ることはできませんでしたが、3台のRally1と4台のRally2の走りを、確実に次のラリーに繋げ、2024シーズンも最高の1年にできるよう、チーム全員で努力を続けていきましょう。ヤリ-マティ、今年もよろしく頼みます!

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team会長
豊田 章男