ニュース

トヨタ、WRC第1戦ラリー・モンテカルロで進化型GRヤリスWRCドライバーエディションを世界初披露 オジエ選手とロバンペラ選手がアンベール

ラリー・モンテカルロで世界初公開されたTOYOTA GAZOO RacingのWRCドライバー監修特別仕様車「GRヤリス RZ“High performance・Sébastien Ogier Edition」(右)と、「GRヤリス RZ“High performance・Kalle Rovanperä Edition」(左)

ラリー・モンテカルロで世界初公開された進化型GRヤリスWRCドライバーエディション

 モナコ公国などを舞台にWRC(世界ラリー選手権)第1戦ラリー・モンテカルロが1月25日に開幕した。この開幕日に世界初公開されたのが、TOYOTA GAZOO RacingのWRCドライバー監修特別仕様車「GRヤリス RZ“High performance・Sébastien Ogier Edition(以下、オジエEdition)」と、「GRヤリス RZ“High performance・Kalle Rovanperä Edition(以下、ロバンペラEdition)」。

 いずれもTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamに所属するセバスチャン・オジエ選手とカッレ・ロバンペラ選手がそれぞれ開発に協力したクルマであり、オートサロンで発表になったばかりの進化型GRヤリスの100台限定特別仕様車になる。

ラリー・モンテカルロでの世界初公開イベント。左から齋藤チーフエンジニア、ロバンペラ選手、オジエ選手、ラトバラ代表
アンベール前に公式インタビューなど実施

 TGR-WRTは、この特別なクルマをラリー・モンテカルロのセレモニアルスタートが行なわれるカジノホテル前においてアンベール式典を開催。セバスチャン・オジエ選手とカッレ・ロバンペラ選手に加え、ヤリ-マティ・ラトバラ代表、GRヤリスの開発担当である齋藤尚彦チーフエンジニアも出席し、世界へ向けて華やかにお披露目された。

 この2台のクルマは、TGR-WRTのオーナーであり自身がジェントルマンドライバーとしても知られるモリゾウ選手ことトヨタ自動車 代表取締役会長 豊田章男氏の「ラリーの現場でクルマを鍛え、成長させてくれるドライバー、その機会を与えてくださるすべてのチーム、主催者を含む関係者の皆様、そして、ファンの皆様へ敬意と感謝を伝えたい」という思いのもとに、世界チャンピオンである2人の名前を冠して開発されている。

進化型GRヤリスWRCドライバーエディションについて、ロバンペラ選手とオジエ選手が語る

ロバンペラ選手

 ロバンペラ選手はラリー・モンテカルロについて聞かれ、「新しいシーズンが始まることをよろこんでいるし、今回自分は出場しないけど、チームが戦うことを応援したい」とコメント。

 ロバンペラEditionについては、「自分のエディションはセブのクルマに比べて派手な見た目だが、このプロジェクトはビッグな取り組みで、モリゾウさんがこのモデルの開発のきっかけを与えてくださり、日本の開発陣のみなさんと4WDのシステムを変更し、内装と外観のデザインはフィンランドの自分の友人も参加して開発を進めてきた。なので、見た目もカッコいいしよく走るしみなさんもよろこんでくれると思う。少なくとも自分で運転席に座って思い切り運転するのがとても楽しみで仕方ない。数年前にモリゾウさんがドーナツ(ターン)を一緒にやろうと誘われた。それ以来、2人でドーナツを何度も一緒にやって、2人ともドーナツ好き。だからこのエディションにはドーナツモードがある。みなさんに気に入ってもらえると思う。そしてモリゾウさんもこのクルマを楽しんでくれると思う」と、開発に込めた思いを紹介した。

 オジエ選手はラリーついて「回数を重ねたからと言って、モンテカルロで勝つのは決して簡単ではない。アルプスをハイスピードで走るのは複雑で簡単じゃない。今回は暖かいので氷も解けていたり道のポリューション(汚れ)も激しい。なので今回も全力で挑戦するつもり」と語る。

オジエ選手

 オジエEditionについては、「カッレと同じようにモリゾウさんにこのような信じられない機会を与えていただいて深く感謝している。自分のモデルを作ってもらえるなんて選手としてとても名誉なこと。そもそもベースの(進化型)GRヤリスがいいクルマで、スポーツカーファンにもとても人気があるモデル。今回のエディションは残念ながら台数限定のスペシャルエディションになってしまうが、自分がスペシャルなタッチを加えて個性を出したモデル。たとえば、自分がとても拘って外装の色を選んだ。また、トリコロールを入れてフランス出身の印を刻んだことも誇らしい。また、カッレと同じようにいろいろな4WDモード(オジエモードなど)を開発陣と相談して作ってきた」と語った。

 世界初公開に参加した齋藤チーフエンジニアは、「モリゾウさんに代わりましてすべてのラリー関係者やラリーファンのみなさまに感謝をお伝えしたいです。ご存知かもしれませんが豊田会長がGRブランドを作り、WRCへの復帰を決めました。彼はGRヤリスのような市販車をもっといいクルマにするためにモータースポーツから学び、モータースポーツ起点のもっといいクルマづくりを始めました。その後、GRヤリスを発売した後も限界に挑戦し続け、開発陣にレースで鍛えた内容を反映しクルマをよくするように指示しました。モリゾウさんのそうした指示があったので、私たちは失敗することも許され、レース現場でプロドライバーたちと一緒に挑戦し続けることができました。そして開発技術もクルマをさらによくするために限界への挑戦を続けました。ドライバーのほんの少しの違和感や、少しでも改善の余地があるならば、限界までその違和感の解消や改善のために挑戦を続けました」と、モリゾウさんのラリーに対する感謝の思いが開発の背景にあることを紹介。ラリーを通じて「もっといいクルマづくり」を続けていくことを世界に発信した。

フォトセッションのために2人をあんないする齋藤チーフエンジニア(左)

GRヤリス ラリー2への期待を語ったラトバラ代表

 ラトバラ代表はラリーについて、「 2人のワールドチャンピオンが同じチームにいるなんてたしかに特殊な状況だけど、だからといって簡単に勝てるわけではない。勝つためにはいつも限界まで挑戦しないといけない。よい結果を出す、勝利をつかむためにはクルマの準備なども含めてトップドライバーを最高の状態にしないといけない。勝利をもたらしてくれるこんなよいドライバーがチームにいることは幸運なこと。だからこのようなスペシャルエディションができた。そしてそのクルマとラリー1から開発されたのがラリー2。今回のモンテカルロで初めてGRヤリスベースのラリー2が出場する歴史的な瞬間。このような機会を作ってくれ、もっといいクルマづくりをチームに続けさせてくれているモリゾウさんに感謝。今回のラリー2出場で未来を作っていく」と、このラリー・モンテカルロが特別なものであるという。

 開幕戦で「セバスチャン(オジエ選手)は勝てるのか?」という問いに対しては、「セブはモンテカルロが得意だけど、ラリーの状況は毎回様子が違うので、簡単には勝てないし油断はできない。でもセブはこれまでの豊富な経験があるし訓練を積んできている。ドライブモードに入った彼を誰もとめる事はできない。だから自分は彼をプッシュしたい」と、オジエ選手への期待を述べた。

齋藤チーフエンジニアの仕事着は全日本ラリー仕様。全日本のTOYOTA GAZOO Racingを世界へアピール