イベントレポート 東京オートサロン 2024

「LBX MORIZO RR CONCEPT」「進化型GRヤリス」など注目モデルが初公開されるトヨタブース

2024年1月12日 公開

 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)とレクサスは、幕張メッセで開催中の「東京オートサロン2024」にブース(東8ホール)を出展、ワールドプレミアとなるモデルをはじめ、多くのクルマを展示している。今回の展示はカスタマイズやモータースポーツと例年通りのテーマに加え、モリゾウことトヨタ自動車 代表取締役会長 豊田章男氏の“愛車”など、ひとひねり加えられたものとなっている。

LBX MORIZO RR CONCEPT

 モリゾウの愛車として展示されているのが、昨年11月に発売されたばかりのレクサスのコンパクトモデル「LBX」をベースにしたコンセプトモデル。ベースモデルは1.5リッターエンジンを核としたハイブリッドシステムを採用しているが、こちらには直列3気筒1.6リッターインタークーラーターボエンジン「G16-GTS」型を搭載。最高出力224kW(304PS)/6500rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/3250-4600rpm(数値はともに目標値)を発生する心臓には、フルタイム4WDが組み合わされるとともに、パッケージはもちろんボディ、サスペンション、タイヤ、4WD制御、Direct Shift 8ATと幅広く専用開発が行なわれている。

 エクステリアはバンパー形状をリファイン。同社が協力するエアレースで培った技術をもとに空力性能を高めるとともに、走りを感じさせるデザインとしている。また内外装には“モリゾウの愛車”としてのカスタマイズも施されており、随所にモリゾウのシグネチャーカラーであるイエローを採用。カジュアルなイメージが付加されている。

ボディカラーはソニッククロム&ブラック。ボディサイズは4190×1845×1535mm(全長×全幅×全高)
エンジンは1.6リッターインタークーラーターボを搭載。8速AT、フルタイム4WDとの組み合わせでトルクフルな走りが楽しめる
タイヤはコンチネンタル「SportContact 7」の235/45R19を装着。アルミホイールは鍛造。ブレーキキャリパーはイエローとなる
内装色はオーカー
ステアリングにはパドルシフトが備わる
室内は上質かつカジュアルな雰囲気
イエローカラーを採用したシートベルトにはモリゾウの文字が入る

進化型GRヤリス RZ “High performance”

 2020年9月に発売されたGRヤリス。TGRが掲げる「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」から生まれた同ブランドの象徴的なモデルとなっている。

 今回展示されているのは、その進化型で、直列3気筒1.6リッターターボエンジンと4輪駆動のコンビネーションはそのままに、トランスミッションには新開発の8速AT「GR-DAT(GAZOO Racing Direct Automatic Transmission)」が組み合わされているのが最大のポイント。同ミッションはTGR World Rally Teamがフィンランドなどで走り込みを行なったほか、国内でも全日本ラリー、スーパー耐久シリーズなどにおいて「壊しては直す」を実行することで、速さと信頼性を獲得した。制御ソフトウエアはブレーキの踏み込み方や抜き方、アクセル操作などを細かく感知することで、「ドライバーの意思をくみ取るギヤ選択」を行なうなどスポーツ走行用に最適化されている。

進化型GRヤリス RZ “High performance”。ボディサイズは3995×1805×1455mm(全長×全幅×全高)

 エンジンにも手が加えられており、最高出力は200kWから224kW(304PS)へ、最大トルクは370Nmから400Nmへと向上。6速MTよりワイドかつクロスレシオ化された8速ATとの組み合わせにより、より走りが楽しめる仕様へと進化している。

 コクピットも大きく進化を遂げた。スーパー耐久シリーズ参戦車および全日本ラリー参戦車をモチーフに操作パネルとディスプレイをドライバー側へ15度傾けて設置することで視認性と操作性を改善。そのほかにも、ドライビングポジションを25mmダウン、インナーミラー取付位置を上部に移動、センタークラスターの上端を50mmダウンすることで前方視界を改善、現行のCVTモデルである「GRヤリスRS」からシフトレバーを75mm上昇してMT車と同等の位置に配置するなど、多岐にわたる改善が実施されている。

 エクステリアにおいても、ロアグリルの開口部を大型化して冷却性能を確保するとともに、サイド部には分割構造を採用。走行時の破損による修復を容易かつ低コスト化。シャシーにおいてもスポット溶接の打点数を約13%増加するとともに、構造用接着剤の塗布部位も約24%拡大。ボディとショックアブソーバーを締結するボルトも1本から3本に変更してアライメント変化を抑制。操縦安定性と乗り心地を高めている。

 今回の進化型では GRヤリス RZ、GRヤリス RZ “High-performance”、GRヤリス RCの各モデルの発売が予定されており、それぞれでGR-DATの選択が可能になるという。

フロントバンパーはロアグリル形状を変更するとともに分割構造を採用
テールランプは中央部まで一文字につながる一体感のあるもの
直列3気筒1.6リッターインタークーラーターボエンジンも改良。最高出力224kW(304PS)/6500rpm、最大トルク400Nm(40.8kgfm)/3250-4600rpmとなった
GR-DATのカットモデルも展示されている
タイヤはミシュラン「パイロット スポーツ 4S」、サイズは225/40R18。アルミホイールはBBS製の鍛造タイプ
ボディとショックアブソーバーを締結するボルトを3本に変更
大きく変わったコクピットまわり
シフトレバーをMT車と同等の位置に変更することで操作性を向上
手引き式のサイドブレーキ
新たにオプション設定されるクーリングパッケージには、インタークーラースプレーをはじめサブラジエーター、クールエアインテークがセットになる
ホールド性に優れたスポーツシートを装着

RZ450e“F SPORT Performance”

 レクサス初のバッテリEV専用モデル「RZ」をベースに走る楽しさを追求。昨年開催された東京オートサロン2023に展示されていた「RZ SPORT CONCEPT」をもとに、エアレース・パイロットの室谷義秀選手、レーシングドライバーの佐々木雅弘選手らと空力と走りをブラッシュアップしている。

 空力面では航空機に用いられている空力技術を応用した17点もの専用エアロパーツを採用。カーボンウイングやカーボンターニングベインなどによりダウンフォースをアップさせるなど、より高い空力性能を実現。足回りではコイルスプリング&ショックアブソーバーを専用チューニングしたほか、21インチのタイヤ&アルミホイールを装着。下山テストコースを走りこむことで走行性能を鍛え上げた。

 販売は100台限定となっており、価格は1180万円。抽選申込期間は2024年1月12日~2月19日まで。発売は3月下旬の予定。

ボディカラーは専用のブラック×HAKUGIN(白銀)。ボディサイズは4860×1965×1625mm(全長×全幅×全高)
オーバーフェンダーによって全幅は70mmワイドに。下部にはカーボン製のターニングベインが装着される。タイヤサイズはフロントが255/40R21、リアが295/35R21。アルミホイールはENKEI製でマットブラック塗装が施される
リアセクションには2段になったスポイラーを装着

 そのほかにもブースにはモリゾウこと豊田章男会長の愛車たちやレース車両も並べられている。

モリゾウの愛車たち
SUPER GTなどレース参戦車両も展示される
WECのトロフィーも展示
安田 剛

デジモノ好きのいわゆるカメライター。初めてカーナビを購入したのは学生時代で、まだ経路探索など影もカタチもなかった時代。その後、自動車専門誌での下積みを経てフリーランスに。以降、雑誌やカーナビ専門誌の編集や撮影を手がける。一方でカーナビはノートPC+外付けGPS、携帯ゲーム機、スマホ、怪しいAndroid機など、数多くのプラットフォームを渡り歩きつつ理想のモデルを探索中。