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ミシュランとIFPEN、アクセンス、フランスにバイオエタノールからブタジエンを生成する初の工業規模試作設備を開設

2024年1月19日(現地時間) 発表

 ミシュランとIFP Energies nouvelles、アクセンスの3社は1月19日(現地時間)、ボルドー近郊のバッサンスにあるミシュランの工場で、フランス初のバイオマス(植物)由来のブタジエンを生産する工業規模の試作設備を開設したと発表した。

 試作設備の開設により、パートナー3社はフランスにおけるバイオ由来の合成エラストマーセクターの発展を促進し、より持続可能な産業に積極的に取り組み、新しい産業を創造することを目指していく。

 今回開設された設備は、石油由来のブタジエンに代わる材料としてバイオ由来のエタノールからブタジエンを製造することを目指し、ADEME(フランス環境エネルギー管理庁)の支援を受け、3社が参加するバイオバタフライ・プロジェクトの枠組みの中で建設された。これにより、バイオバタフライ・プロジェクトは、バイオベースの合成エラストマー産業を創出する上で、重要な一歩を踏み出すことになるとしている。

 ブタジエンはC4ジオレフィンであり、多くのポリマーの製造において重要な中間体となる物質。ブタジエンの40%はタイヤ市場向けのエラストマー生産に使用され、残りの60%は主にワニス、樹脂、ABS樹脂、自動車用ナイロン、織物、建築資材の製造に使用されており、こうした広範な用途は、バイオ由来のブタジエンに新たな市場を提供するとした。

 2023年7月に開始された工業規模の試作設備では、バイオ由来ブタジエンの製造工程における各段階を検証する必要があったといい、こうしたプロセスを経て、技術的かつ経済的な実現性が証明され、年間の生産能力が20tから30tに向上。迅速な発展が可能となった。

 この試作段階は、新しいプロセスをグローバルに商業化するための道筋を提供するとともに、化石資源に依存しない革新的な合成ゴムの製造を可能にし、新しいバイオ由来のブタジエン市場をさらなる発展へと導くとしており、アクセンスによるこの技術の商業化は、再生可能なブタジエンを大量に確保するための重要なステップとなるとしている。

 ミシュラン 経営評議会 執行副社長 研究開発部門運営ディレクター エリック・ヴィネス氏は「ミシュランは合成ゴムの製造に石油由来のブタジエンを使用しています。この技術は、2050年までに当社のタイヤで天然由来材料・リサイクル素材を100%使用するという目標を達成するための素晴らしい機会です。また、当グループは、循環型素材や再生材料・リサイクル素材の使用というミシュランの中核目標に沿い、再生可能なブタジエン製造部門の発展を支援したいと考えています」とコメント。

 IFPEN アシスタント・ジェネラル・マネージャー カトリーヌ・リヴィエール氏は「10年以上にわたるパートナーとの研究・技術革新を経て、この試作設備はバイオ由来ブタジエンの製造過程の産業化において重要な節目となります。バイオバタフライ・プロジェクトに対するコミットメントは、バイオ由来化学の分野においてメーカーや社会の期待に応えたいという当社の熱意を示しています」とコメント。

 アクセンス会長兼CEO ジャン・サンテナック氏は「アクセンスはこのパートナーシップと試作設備により、バイオ由来ソリューションを求めるメーカーに向けて自らのコミットメントを表明しています。当社のチームおよびパートナーの素質と専門知識により、バイオ由来ブタジエンの使用は、再生可能な材料を求める多くの産業にとって現実のものとなるでしょう。こうした材料の使用は、リサイクルと並んで将来的に大きな課題の1つであり、私たちは、バイオバタフライ・プロジェクトのような革新的で信頼性の高い技術的ソリューションの普及・統合を通じて、貢献しています」とコメントしている。

 ミシュランはパートナーと連携して新しいエコシステムを構築し、バリューチェーンに関わるさまざまなプレーヤーとのシナジーを発展させ、再生可能なブタジエンの製造を進めており、将来的にこれらのエコシステムは持続可能でバイオ由来の製品への需要の高まりに対応するため、世界中に工場を建設予定とのこと。