ニュース

ミシュラン、2050年までにタイヤを100%持続可能にする取り組みを開始

2021年2月23日(現地時間)発表

2017年 Movin’Onグローバルサミットで発表されたVISIONコンセプト イメージ

イノベーションのスピードと品質の向上を図る

 ミシュランは2月23日(現地時間)、エアレス、コネクテッド、3Dプリンティングの活用など、2017年に発表した「VISIONコンセプト」の実現に向けた活動も含め、2050年までにタイヤを100%持続可能にする取り組みを進めると発表した。

 現在ミシュランタイヤは、主原料の天然ゴムに加え、合成ゴム、金属、繊維、強化剤(カーボンブラック、シリカ)、可塑剤(樹脂)、加硫用の硫黄など、200種以上の素材で製造していて、使用している素材は相互作用し、最先端技術によって安全性、快適性、環境負荷低減に優れた性能を実現しているという。

 2020年度の実績ではミシュランタイヤの原材料の28%は、既に天然素材かリサイクル素材といった持続可能な原材料となっていて、研究開発の7拠点で6000人以上のエンジニア、研究者、化学者、開発者が、350の専門分野で2050年までにタイヤを100%持続可能にするという目標達成に取り組んでいる。

 また、ミシュランには過去に培った経験と1万件以上のタイヤ設計・製造に関する特許出願があり、革新的なテクノロジーパートナーや異業種の先駆者を積極的にまとめ、イノベーションのスピードと品質の向上を図っているという。

20201216 MICHL MAT DURABLES JP 210208 ver4(2分58秒)

持続可能な未来に向けたミシュランの取り組み例

・2019年からバイオバタフライ・プロジェクトを主導するアクセンスとIFPENと共に、石油由来のタイヤの製造に使用される合成ゴムの成分の1つブタジエンに代わる「バイオマスブタジエン」の製造に着手。この技術で、木材、籾殻、葉、トウモロコシ茎葉などを原料に、年間420万トンの木材チップがミシュランタイヤへリサイクルされる可能性が見込まれている。

・2020年11月にはパイロウェーブと提携し、廃ポリスチレン(ヨーグルトポット、食品容器、プラスチック包装など)からリサイクルスチレンを製造。スチレンは、ポリスチレンだけでなく、タイヤその他消費財の合成ゴム製造に使用され、最終的に年間数万トンのポリスチレン廃棄物を、元の製品やミシュランタイヤにリサイクルすることを目指している。

・フランスの新興企業キャルビオが開発したプロセスで、酵素を使用してペットボトルを元の純粋なモノマーに分解。使用済みペットボトルを回収して新しいペットボトルとして繰り返し再利用することを可能とした。リサイクルされる素材には、タイヤ製造に使用するポリエステルが含まれ、年間約40億本のペットボトルがミシュランタイヤにリサイクルされる可能性が見込まれるという。

・2021年2月、エンバイロと共にミシュラン初のタイヤリサイクルプラントの建設着工を発表。カーボンブラック、熱分解油、スチール、ガス、など高品質の再生材料を使用済みタイヤから回収する特許技術を開発。この技術により、タイヤを100%リサイクルすることを可能とした。

・ブラックサイクル欧州共同企業体へ参加し、サーキュラーエコノミー(循環型経済)もサポート。プロジェクトに資金提供し、13の公的および民間のパートナーが、使用済みタイヤから新しいタイヤを製造するプロセスを設計している。