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三菱自動車工業とMCリテールエナジー、Kaluza、三菱商事の4社で国内初のスマート充電サービスの商用化に向けた実証事業

2024年2月15日 発表

実証事業のイメージ

電動車のコネクティッド技術を活用し、充電を自動で最適化するサービスを提供

 三菱自動車工業とMCリテールエナジー、Kaluza、三菱商事の4社は2月15日、電動車のコネクティッド技術を活用した国内初となるスマート充電サービスの商用化に向けた実証事業を開始すると発表した。

 スマート充電サービスとは、社会全体のエネルギーコスト低減と電動車ユーザーにとって魅力的な充電環境の提供を目的としたサービスで、この実証事業で得られる成果は、本サービス開発に活用していくという。

 実証事業は、三菱自動車が販売する「アウトランダー」(PHEVモデル)を保有し、東京電力パワーグリッドまたは中部電力パワーグリッドの電力供給区域に居住しており、三菱自動車が提供するコネクティッドサービス「MITSUBISHI CONNECT」に登録していて、自宅に普通充電器を設置している人が対象。三菱商事の出資先であるOVOグループのKaluzaが提供するEV充電制御プラットフォームを通じて、通常の家庭充電において、利用者がスマートフォンのアプリ上で指定した時間までに電力市場価格などが安い時間帯に充電が自動で最適化されるサービスを提供する。利用者は実証期間中、MCリテールエナジーがサービスのために開発する実証専用の電力プランに加入することで、充電制御の結果に応じて充電コストを節約することができるとしている。

 また、このサービスではKaluzaのプラットフォームから三菱自動車のコネクティッドシステムを通じて、車両に直接の充電制御が可能となるため、通信機能が付いた充電設備(スマート充電設備)などが不要になるとのこと。

 これまで、三菱自動車とKaluzaは、2023年2月からスマート充電サービスの開発に向けた協業を開始し、電動車のコネクティッド技術を活用した充電制御のシステム開発を進めてきた。

 MCリテールエナジーは、経済産業省公募のEVダイナミックプライシング実証事業を主導し、自動車/エネルギー/通信系企業とともにEV充電に関する知見を蓄積し、夜間のEV充電を実質無料とするプランや、EV充電の昼間シフトを促進するプランなど、EV向け電力プランの実績を先駆的に積み重ねてきた。

 Kaluzaは、2023年3月から英国電力小売事業者OVO Energyとともに、すでに類似のスマート充電サービスを提供しており、利用者にこれまで460万ポンド以上相当の電気代削減効果を還元しているという。加えて、同サービスを通じて146tもの二酸化炭素排出量削減効果を創出しており、カーボンニュートラル社会実現への貢献にも寄与してきたとしている。

 三菱商事は、2022年にKaluzaおよび中部電力ミライズと、モビリティ分野における脱炭素の取り組みを推進させるEVのスマート充電実証事業に取り組み、日本市場における有用性や技術検証を実施。三菱自動車や、MCリテールエナジー、英国OVO/Kaluzaの出資者として、各社の取り組みを側面支援してきた。

 三菱自動車 執行役員 モビリティビジネス本部長 岩本和明氏は「三菱自動車は、“モビリティビジネス”を車両販売、金融(リース)、アフターセールスという既存のビジネスに続く第4の収益の柱と位置づけ、“With Partners”の方針のもと、コネクティッド機能による車両データを活用した新しいビジネス開発などに取り組んでいます。電動車を活用したエネルギーマネジメントには、世界初の量産EV、PHEVの発売を開始した当初から取り組み、これまで車両側に必要な機能検証などを実施してきました。本実証事業を通じて、お客さまの充電コストとCO2排出量の低減、そしてカーボンニュートラル社会の実現に貢献すべく、電動車の充電を最適化するスマート充電サービスの開発に取り組んでまいります」とコメント。

 MCリテールエナジー 代表取締役社長 田中浩平氏は「本取り組みにおいて当社は、経済産業省公募の『ダイナミックプライシングによる電動車の充電シフト実証事業』を3年にわたり主幹事として実行した知見および、他社に先駆けたEV向けメニューの開発力を活かし、これまでにない充電技術を活用してお手軽に電気料金を低減する新たな充電体験、太陽光発電増加に伴い発生する昼間時間帯の自然由来の余剰電力を有効活用することを通じて、新しい価値を提供してまいります。三菱自動車、Kaluza、三菱商事と協働して行なう本邦初となる本取り組みや、新電力初となる需給調整市場への参入といった業界のパイオニアの実績を活かし、今後もEV向けサービスを初めとする、次世代エネルギーソリューションの提供に努めてまいります」とコメント。

 Kaluza CEO スコット・ニューマン氏は、「三菱自動車、MCリテールエナジー、三菱商事のような革新的なパートナーと協業し、日本における先駆者としてEVスマート充電のサービスを展開できることをうれしく思います。EVの普及が進むにつれて、“スマート充電”は一層重要性を増し、社会全体の電力の需給バランスを支え、また、EVユーザーがより手間なく便益を得るために必要なものとなります。Kaluzaは日本のパートナーと協力し、既存および将来のお客さまに魅力的なEVサービスを提供し、ひいては、日本のネットゼロ社会の実現に貢献いたします」とコメント。

 三菱商事 電力ソリューショングループ ユーティリティーリテイル本部長 小濱雅典氏は「当社は電力事業において、カーボンニュートラル社会の実現に向け、再エネを起点とした発電と販売を一体とする電力バリューチェーンの構築を図っております。再エネの導入が進む中で、電力需給バランスの安定化に向けた1つの取り組みとして、Kaluzaのシステムを日本に導入・活用し、EV/PHEVの充電時間の最適化を図ることが有効であると考えております。本実証において、Kaluzaの技術を用いて、三菱自動車およびMCリテールエナジーの技術・サービスを掛け合わせる仕組みを作り、EV/PHEVのオーナー向けに利便性・環境性・経済性を備えた顧客体験の創造を図ります。本実証を牽引・推進し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献できるよう努めてまいります」とコメントしている。