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ブリヂストン、月面探査車用タイヤの新コンセプトモデル より厳しい走破性と耐久性に対応するため新骨格構造を適用
2024年3月29日 15:45
- 2024年3月29日 発表
ブリヂストンは3月29日、月面探査車用タイヤの研究開発において新たなタイヤを開発したと発表した。そのコンセプトモデルを、2024年4月8日~11日(現地時間)まで米国コロラドスプリングス市で開催される米国最大の宇宙関連シンポジウム「第39回 Space Symposium」のJAXAが運営する日本パビリオンJapan's Space Industryの同社ブース内で初展示を行なう。
ブリヂストンは「タイヤは生命を乗せている」の大原則に沿って、2019年より月面探査車用タイヤの研究開発に取り組んでいる。ブリヂストンの技術イノベーションは、これまでモータースポーツなどの「極限」の環境において磨かれてきており、今回のプロジェクトを通じて月面という人類が活動する新たな「極限」の環境に挑戦することで、モビリティの未来になくてはならない存在となることを目指すという。
同社の月面探査車用タイヤとしては、第1世代において砂漠で荷物を悠々と運ぶラクダのふっくらとした足裏から着想を得て、金属製の柔らかいフエルトをタイヤのトレッド部にあたる接地面に配置することで月面を覆うレゴリスと呼ばれるきめ細かい砂との間の摩擦力を高めより優れた走破性を実現する、独自の技術を採用した。
この技術を進化させつつ、今回開発した第2世代となる新タイヤでは、これまでの研究開発を通じて分かってきた月面を走るモビリティに求められるより厳しい走破性と耐久性に対応するため新たな骨格構造を適用。新構造では、空気充填が要らない次世代タイヤ「エアフリー」で培ってきた技術を活かして新たに薄い金属製スポークを採用し、トレッド部を回転方向に分割した。これにより、岩や砂に覆われ真空状態で激しい温度変化や放射線にさらされる極限の月面環境下においても、走破性と耐久性の高次元での両立を目指すという。
また、リアルとデジタル技術の進化により金属製スポークの形状や厚みを構造シミュレーションで最適化し、しなやかに変形しながらも金属製スポークの局所的なひずみを最小化して耐久性を高めつつ、分割したトレッド部により接地面積を大きくしてタイヤを沈み込みにくくすることで、走破性もさらに高めているとのこと。