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スズキ、型式指定申請で2014年の不正事案1件が発覚

2024年6月3日 発表

アルト(貨物仕様)の制動装置における試験で停止距離を短く記載

 スズキ6月3日、国土交通省からの型式指定申請における不正行為の有無に係る実態調査指示を受け、調査の結果、2014年の不正事案が1件発見されたと発表。調査結果を国土交通省に報告した。

 不正の内容は、2014年9月のアルト(貨物仕様/ABSなし)の型式申請の際に提出した「トラック及びバスの制動装置の試験記録及び成績(TRIAS 12-J010-01-付表)」で、ブレーキをくり返しかけてブレーキが高温となった状態での停止距離を測定する「フェード試験」での停止距離を、実際の試験で測定した停止距離より短く記載していたというもの。

 不正の原因は、社内認証試験において、ブレーキの踏力が規定値を大きく下まわる弱い力だったことで、停止距離が法規要件に対して余裕がない結果だったものの、試験成績書の提出期限に対して再試験を行なう時間がなかったため、試験に関与した者がブレーキを規定値近くまで踏み込んだ場合を想定した停止距離に書き換えても問題ないと考え、意図的に書き換えたものと推測しているとのこと。

 性能確認再試験として2024年5月18日に法規認証部門の立ち合いのもと、当該試験をやり直した結果、フェード試験の法規要件を十分に満たすことを確認。

 他型式への影響については、2014年以降のすべての開発機種の試験結果と成績書を照合し確認した結果、同じ不正があったのはアルトの貨物仕様のみであることを確認したとしている。

 なお、試験に関しては現在は社内認証試験に設計開発部門から独立した組織である法規認証部門が立ち合ったうえで試験結果と成績書の確認を行なうプロセスとなっており、不正を発生させない仕組みとなっているとした。

対象車種

車名および型式:スズキ HBD-HA36V
型式指定番号:17956
通称名:アルト
型式指定年月日:2014年11月12日

量産/販売開始:2014年12月
量産/販売終了:2017年12月
累計生産:2万6023台
販売台数:2万5999台

 スズキは、「2016年の燃費・排出ガス試験にかかる不正行為の発覚以降、不正を発生させない社内の仕組みを作り実行するとともに、社長による職場対話を含むさまざまな対策や、品質優先、風通しのよい組織の醸成、法令順守に対する意識を高く保ち続ける活動『リメンバー5.18活動』を継続しており、現在ではこのような不正は起きないと考えております。引き続きコンプライアンス強化に全社で努めてまいります」としている。