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ホンダモビリティランドが「F1日本グランプリビジネスカンファレンス」を初開催 日本企業にF1のビジネス活用を提案
2025年3月7日 20:10
- 2025年3月4日 開催
F1とのタッチポイント拡大を目指すビジネスカンファレンス開催
鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランドは、4月4日に日本国内企業向けに初めて「F1日本グランプリビジネスカンファレンス」をF1日本グランプリ期間中の鈴鹿サーキットにおいて開催する。
F1日本グランプリビジネスカンファレンスの参加対象は、日本国内企業の新規事業、スポーツマーケティング関連部門。参加定員は75名で、参加費無料。
当日の13時〜18時は第1部 アクティビティパートとして、ピットレーンウォーク、VIP SUITEでのF1 フリープラクティス2観戦、パドックツアー&トラックツアーといったプログラムを展開。
18時〜20時は第2部 ビジネスカンファレンスパートとして、F1による「F1の価値とグローバルインパクト」、 鈴鹿サーキットによる「スポンサーシップのビジネスインパクト」と題したカンファレンスをF1 PADDOCK CLUBで開催。その後、ディナー、パネルディスカッション、ネットワーキングが予定されている。
カンファレンスでは、ビジネス視点でF1の魅力や活用事例を紹介することで、F1日本グランプリをビジネスフィールドとして捉えてもらう働きかけを行なっていくという。
鈴鹿サーキットで開催するF1日本グランプリの存在感を示す新たな取り組みが必要
F1日本グランプリビジネスカンファレンスの開催は、3月4日に開催されたF1開幕前説明会で明らかにされたもので、こうした日本のF1ファン拡大・F1ビジネス拡大に向けてホンダが取り組む狙いついて、ホンダモビリティランド代表取締役社長の斎藤毅氏が説明会後のラウンドテーブルに参加して、記者団からの質問に答えた。
ラウンドテーブルには斎藤社長のほか、同ホンダモビリティランド ビジネスマーケティング部 部長の上甲哲洋氏に加えて、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 特任講師の富田欣和氏を交えながら、ビジネスとして成長する近年のF1についてを解説。鈴鹿サーキットのF1日本グランプリにおけるB2Bの取り組みなどついても紹介された。
F1日本グランプリは、鈴鹿サーキットでは1987年に初開催。これまでの累計観客動員は880万人に上り、4月6日に決勝を迎える2025年で35回目の開催となる。2024年2月に、ホンダモビリティランドとFormula 1は鈴鹿サーキットにおける2025年~2029年のF1日本グランプリレースの開催契約を締結している。
ラウンドテーブルの中で斎藤社長は、鈴鹿サーキットにおけるF1日本グランプリの今後について、2025年~2029年の契約期間後も鈴鹿サーキットで開催を継続するためには、これまでの伝統と新たな革新的な取り組みを両立させる必要性を示した。
ラウンドテーブルに参加した富田氏によると、世界でF1開催の誘致合戦が進んでいて、2025年以降の新規開催・復帰として正式に招致を表明している都市・国は、ルワンダ (キガリ)、南アフリカ (ヨハネスブルグ/ケープタウン)、スペイン (マドリード)、コロンビア (バランキージャ)、韓国 (仁川)、インドネシア(ジャカルタ/ビンタン)、日本(大阪)、アルゼンチン (ブエノスアイレス)。また、報道レベルで候補に挙がっている都市・国として、フランス(ニース)、マレーシア(セパン)、タイ(バンコク)、イギリス (ロンドン)、メキシコ(カンクン)、ドイツ(ニュルブルクリンク/ホッケンハイム)があるという。
日本グランプリの来場者は1980年代後半から1990年代初頭のF1ブームを体験した世代が中心となっており、国内来場者の平均年齢は48歳という。
一方、F1シリーズ全体のグランプリ来場者の平均年齢については37歳で、海外でのF1の注目度の高まりもあり、F1日本グランプリの海外からの来場者についても、2019年では全来場者の9%にあたる1万500人であったものが、2024年は全来場者数22万9000人の22%にあたる5万人となった。
近年のF1ブームは北米で特に人気の高まりがあり、2025年は全24戦中5戦が北米で開催される予定。また、2023年のF1の総収入は、前年比25%増加の32億USドルに達し、巨大なスポーツビジネスへと成長しているという。
こうした成長の背景としては、2016年に米国企業のリバティメディアがF1の興行権を買収し、Netflixのドキュメンタリー番組が制作されたことや、選手によるSNSの発信など、特に若年層ファンの拡大が顕著なことがあるという。2022年シーズンには25歳以下の観戦者数が前年に対して21%増加。2023年にはF1公式ソーシャルメディアのフォロワー数は7000万人超となり、2018年の1850万人から大幅に増加した。
それらを踏まえ、ホンダのホームである日本の鈴鹿サーキットが将来にわたってF1グランプリを継続して開催していくためには、ホンダグループとして、レースファン、これからファンになる人、さらには一緒に日本でのF1を盛り上げる企業とF1の魅力や価値を最大化させ、次世代につながる取り組みが必要という。
斎藤社長は「われわれ鈴鹿サーキットの日本グランプリの契約というのが、今年の2025年から2029年までの5年間ということになります。実は世界の中でもF1の人気というのは高騰しておりまして、いろいろな国が国を挙げてというと言い過ぎかもしれませんが、国のステータスをかけてF1を誘致しているという状況でございまして、2030年以降も日本グランプリを鈴鹿で継続していくためには、やはり今まで伝統サーキットとして大事にしてきたことを継承しつつ、それだけではなくて、新しい領域にもいろいろチャレンジしていくことで、F1というものを日本の中で1つのエンターテインメントとして、ビジネスとして成立させていく。これが重要になってきているのではないかというふうに思っています」との思いを述べた。
また、4月4日に開催されるF1日本グランプリビジネスカンファレンスでは、BtoBの観点において、鈴鹿サーキット・F1日本グランプリのカーボンニュートラル実現のために行なっている、太陽光オンサイト型PPAによる再生可能エネルギーの導入や、脱使い捨てプラスチックの取り組みなど、サステナビリティー分野で他社との協業を拡大する狙いもあるとした。