「フォルクスワーゲン ポロTSI」長期レビュー
第3回:最新ポロにふさわしいカーナビを選ぶ


この角度から見ると、ノーズが長くボディーが細長く見え、また違ったポロの表情を感じることができる

 ポロが我が家にやってき2カ月が過ぎた。納車前から悩んでいたカーナビがやっと決まり、ポロの装備も完成に近づきつつある。自分のポロは不良品?と悩んだ時期もあった燃費も改善の傾向が見えてきた。

しばらく使っていたソニーの「NV-U2」。性能に不満はないが2007年発売だけに地図の古さが気になってしまう

ポロのカーナビを選ぶ
 ポロはほぼ素の状態で購入したため、カーナビは絶対に欲しい。渋滞情報が得られないと困る体質になっているので、ひとまず手持ちのソニー「NV-U2」を置いていたが、すでに登場から3年近く経過した製品のため、地図情報の古さもあり、最新の物を備えたくなった。

 カーナビの選択肢はいくつかあるが、自分がポロを購入した際は、フォルクスワーゲンのメーカー装着純正品である「RNS510」は選択できず、ディーラーオプション品や後付品しかなく、クルマの機能と融合した製品を選ぶことができなかった。

 とはいえ、最初からRNS510が選択できたとしても、200万円弱という価格のクルマに30万円近いカーナビは、自分にとって不釣合いに思えた。ケチな自分には10万円以下というのが心情的にもバランスが取れている。

 そして、カーナビを選ぶ条件として、渋滞情報のVICSは必須で、ビーコンも欲しい。となると2DINタイプならクラリオン、パナソニックのメモリータイプ。PND(Portable Navigation Device)ならソニーのNAV-U。または、渋滞情報を通信で得る通信ナビということになる。通信ナビに関してはカロッツェリアのものがあるが、2DINタイプでは通信費の予測がつかないのと、接続の手間があること、PNDタイプでも月額2000円近くかかるなどで選外とした。

 また、最先端と思って買うクルマに、従来型のカーナビは合わないのではないかという考えもあった。最近注目されているスマートフォンを使ったカーナビなら、ただ地図を表示するだけでなく、さまざまな最新情報も取得できる。渋滞情報だけでなく、駐車場の満空情報などは本当にありがたい。

 そこで、スマートフォンやケータイで済まそうかという考えもよぎったが、やはりPNDを含めた専用カーナビには、専用機のよさがある。バックカメラへの対応、使いやすさや内装との収まりでも有利な2DINタイプを購入する一歩手前まで行ったが、ちょうど新製品前の時期でもあり、最新地図にこだわりたい点には不向き。どれにするにも決断をする決め手がない状況で、ナビの購入が遅れていたのだ。

選び抜いた末の「CAR NAVITIME」

結局、フル通信ナビの「CAR NAVITIME」をポロに搭載
 結局、落ち着いたのが、検討を重ねている期間にカーナビ業界に斬り込んできたナビタイムジャパンの、通信ナビ「CAR NAVITIME」。カーナビは運転に直結するだけに、実績あるメーカーを選びたいと思っていたのだが、月額525円という通信費と、渋滞情報にとどまらず、駐車場の満空情報やガソリンスタンドの価格情報も表示できるといった、最新システムの魅力に負けてしまった。

 CAR NAVITIMEの詳しい話は他に委ねるとして、ポロとの相性はよくも悪くないというところ。PNDは形状によって、装着すると画面の位置が高くなってしまうものがある。CAR NAVITIMEの上下は大きめで、ポロのダッシュボード高は低いほうではないため、視界の遮りは小さくない。座高の低い人だと視界に影響が出てくる可能性もあり、設置場所を十分考えたほうがよい高さだと思う。試しにCAR NAVITIMEを、ダッシュボードの高い別のクルマに装着してみると、視界の遮りはさらに大きかった。

 一方、CAR NAVITIMEは、ソニーのNAV-Uやパナソニックのストラーダポケットとは異なり、ゲル状の吸盤を直接ダッシュボードに貼り付けるため、吸盤の跡が残ることがある。ポロの場合は跡が残り、濡れ雑巾で何度かこすらないと消えなかった。クルマによっては跡が全くつかない材質のものもあるため、ポロの素材との相性はよくないのかもしれない。

 また、CAR NAVITIMEはシガーライターソケットから電源を取るが、ポロのシガーライターソケットはイグニッションONに連動するため、オーディオと同じ連動(アクセサリー電源)とはならないのを事前に知っておく必要がある。

 前回(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20100816_386300.html)、仮設のPND用にアクセサリー電源と連動するアダプタを装着したので、これをCAR NAVITIMEにも使えるようにしようと準備を進めている。もっとも、CAR NAVITIMEはバッテリーを内蔵していて、クルマのキーの位置にかかわらず動作させることができるので、あまり大きな問題ではないかもしれない。

CAR NAVITIMEは従来型のPNDに比べて情報量が多く、VICSの情報だけでなく細かなコインパーキングの満空情報は特に役立つ気になる点はスタンドの高さがあり、視界の遮りが大きいこと
液晶画面の裏には「NAVITIME」の文字が。CAR NAVITIMEがメジャーになったら盗難の標的になるか?ポロのシガライターソケットはイグニッションONと連動するため、カーオーディオとはON/OFFのタイミングが異なる写真で分かりにくいがうっすらと跡がつく。長時間設置したままだと、跡付きが心配だ
2DINスペースへの設置を検討中。簡易的な金具で場所を固定してみたが、ハザードスイッチが隠れてしまうのはやむを得ないところだろうかCAR NAVITIMEの利点、駐車場の満空情報やガソリンスタンドの価格が画面に表示される車種登録は、現時点ではケータイやPCから行う
PC上でネットを介して車種登録などができる。ポロの「TSIコンフォートライン」もしっかりと設定があった。ちなみにPCでルート検索した情報もすべてCAR NAVITIMEから参照できるので非常に便利

今回もポロは元気で優等生
 納車から2カ月が過ぎ、走行などに大きな問題は発生していない。DSGの挙動にもだいぶ慣れて、変速タイミングの癖も覚え、うまく活用して活発に走れるようになってきた。

 走りは本当に優等生的。乗り心地も良好で、良好な路面なら速度を上げた場合の安定感も十分だ。気になるのは左右の後輪に別々の路面の凸凹が加わった場合に、後ろの接地感が抜けてくること。リアがトーションビームゆえの追随性の悪さが顔を出す瞬間だが、ある程度の速度にならなければ気にならず、ポロのクルマの性格からしても、それが大きなマイナスになるとは思えない。

 ただ、1.2リッターターボのTSIエンジンは、このクラスのクルマにはかなり強力。低中回転のトルクは山盛りで、想像以上に速い。

 また、前回も触れたがリアの高い収納力が重宝している。スペアタイヤのスペースに、クルマに常備しておきたい小物を収納できるため、荷物スペースをフルに使える。以前は車載工具に加えて持っておきたい工具類は別のケースに入れて荷室内に置いていたが、ポロはスペアタイヤスペースに完全に収まった。さらに荷室のアンダートレイを下の位置にセットしておけば、収納力もアップする。

 そのほか、ポロのよし悪しではないが、前回、導入したCAN BUSアダプターの調子が悪い。キーをひねってもアクセサリー電源がONにならないことがある。

 回避するには、パネルを分解してCAN-BUSアダプターを取り外し、電源供給を1度カットしなければ復帰しないようで、CAN-BUSアダプターが不良品なのか、ポロとの対応が問題なのかはわからない。並行輸入で安くすませたため、アフターサポートが期待できないので、新たにCAN-BUSアダプターを購入するなら国内で検証された製品を買うことをおすすめしたい。

納車からすでに2カ月以上。あまり洗車してないので薄汚れてはいるが、色つやはまだまだ新車の雰囲気エンジンルーム内は全体的にはきれいな状態だ。ターボチャージャーの上に焼けのようなシミができているタイヤもまだ“減り”は見られない。スチールホイールのためかブレーキダストは目立たない
ラゲッジルームのアンダートレイ下のスペースは広大。備えておきたい物はすべて収納できたふだんはラゲッジルームには何も置いてない状態にしている。アンダートレイも下側にセットすれば上下高さもあり、収納力は高いCAN-BUSアダプターに不具合が生じれば、パネルを外してカーオーディオ全体を引き出さなくてはならない

平均燃費は悪化するものの、改善傾向も見える燃費
 燃費の点では最初に言い訳をしておくが、満タン法による燃費はいっこうに向上していないものの、低燃費車の片鱗が見えてきている。特に直近の燃費は10.54km/Lとなっているが、これは長距離走行がなく激しい渋滞や、混雑したショッピングセンターの駐車場待ちなどが多かったため。実際、好条件が重なった場合では、18km/Lという燃費を何度も計測している。

給油日付走行距離(km)給油量(L)燃費(km/L)
2010年8月5日37532.811.43
2010年8月21日47139.811.83
2010年9月9日36634.710.54

 低燃費を出すコツは、やはりアクセルを踏みすぎないこと。特にTSIエンジンのポロの場合は加速がよいだけに、調子にのって強めの加速をすればするだけ燃費が悪化する。そこをぎりぎりまで抑えるだけで、燃費の改善効果は著しい。要はターボを効かせないような走りをすることが重要だろう。

 加速を緩くするためには、信号待ちでも赤から青に変わる瞬間などに注意し、周囲の状況をよく見て走り始めを遅らせない工夫が必要。経済速度を維持するためにも、必要に応じた車線変更で“追い越させ”の励行なども重要だ。やはり真のエコな運転は、周囲へ注意を払うことが必要と感じる。

 そして、9月に入り、いよいよクーラーを使わなくても過ごせる時期になってきた。10月までにはクーラー未使用時における影響が数字にも現れてくると思われる。慣れてきた省燃費運転ともに今後の燃費に注目だ。

先日記録した18.1km/Lの区間燃費。街中メインだが、渋滞がなく約15kmという短距離でもこの燃費となった高速道路+一般道で約100kmほど走った数値。エアコン使用+男2名+機材という組み合わせだったが、この燃費を記録高速道路だけの走行では、このような燃費も出せる

(正田拓也)
2010年 9月 17日