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BMW、日本専用限定車「X7 BLACK-α」公開 ドイツのクラフトマンシップと日本の伝統工芸が融合

2025年5月8日 開催
X7 xDrive40d BLACK-α:1625万円
X7 M60i xDrive BLACK-α:2140万円
「X7 BLACK-α」についてのトークショー形式の製品説明会を開催

 ビー・エム・ダブリューは5月8日、同日に発売した「X7」をベースにした日本専用限定車「X7 BLACK-α(エックスセブン・ブラック・アルファ)」を報道陣に公開するとともに、購入検討者も招いてトークショー形式の製品説明会を実施した。

 BMWでは「BMWと日本の名匠プロジェクト」と題した特別限定車の開発を2020年より開始しており、これまで「8シリーズ グラン クーペ京都エディション」(2020年8月発売の3台限定モデル)、「7シリーズ ピュア・メタル・エディション」(2021年1月発売の2台限定モデル)、「X7西陣エディション」(2021年9月発売の3台限定モデル)を発売。直近では2月にコンセプトモデル「X7 錦ラウンジ」の発表も行なうなど、ドイツのクラフトマンシップと日本の伝統工芸を融合させたモデルを精力的にリリースしている。

会場となった麻布台ヒルズの「FREUDE by BMW」には、X7 BLACK-α(右)とともにコンセプトモデル「X7 錦ラウンジ」(左)も展示された

 今回のX7 BLACK-αでは「X7 xDrive40d BLACK-α」(限定90台)と「X7 M60i xDrive BLACK-α」(限定10台。うち1台は「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」の優勝副賞として優勝者に贈呈)の2モデルを設定する。

 ともにBMW Individual Special Paintとなるマット仕様の「フローズン・ブラック・メタリック」をボディカラーに採用するとともに、宝石のような無限の輝きを放つというクリスタルが印象的な上下2分割のツイン・サーキュラー&ダブル・ライト、暗闇で光を放ち存在感を増すアイコニック・グローのブラック・キドニー・グリル、1万5000個もの青白い星の輝きに似たパノラマ・スカイルーフなどを装備。ホイールはX7 40dベースが22インチMライト・アロイ・ホイールVスポーク・スタイリング755M(ジェット・ブラック)、X7 M60iベースが23インチBMW Individualライト・アロイ・ホイールVスポーク・スタイリング 914l バイカラー(ジェット・ブラック)を採用した。

 さらに昭和25年に折井着色所として創業以来、伝統技術を受け継ぎ、仏像、梵鐘、茶道具などのさまざまな鋳造品の着色を手掛けてきた「モメンタムファクトリー・Orii」の職人の手によって作られた専用バッチ、ひと筆の線で描いた「α」が輝く姿を表現したドアプロジェクターなども装備する。

会場内外に展示された2台のX7 BLACK-αはともにガソリンエンジン+48V MHEV仕様のMパフォーマンスモデル「X7 M60i xDrive BLACK-α」
力強い漆黒カラーが印象的なX7 BLACK-α。X7 M60iベースでは23インチBMW Individualライト・アロイ・ホイールVスポーク・スタイリング 914l バイカラー(ジェット・ブラック)をセット
ひと筆の線で描いた「α」が輝く姿を表現したドアプロジェクター

 これに加え、X7 M60iベースでは前席まわりとセンターコンソールに漆芸家/蒔絵師である服部一齋氏作の漆蒔絵/螺鈿装飾トリムを採用。縁起のよいタイミングで吹く追い風「時つ風」をコンセプトに、深淵の中で時つ風が吹くことで光り輝くひと筋の光を銀で表現し、白蝶貝の輝きをアクセントに、繊細に塗られた漆と銀によって上質かつしっとりとした蒔絵らしい光を纏い、さらに直線的で力強いデザインによってBMWの「駆けぬける歓び」をイメージしたという。

 また、X7 錦ラウンジでも用いられた川島織物セルコンが仕上げたフロアマットもX7 M60iベースでは装備した。川島織物セルコンは2024年に開催されたミラノデザインウィークに出展し、その際のテーマ「百の黒-A Hundred Black」に材料や織り方、パターンの変化により100種類の異なる黒の織物を作り出すという高度な技術力を世界に示した。その知見を生かして専用染色糸を用い、同社の職人による手作業で製作されたフロアマットを採用している。日本の伝統である「深い黒」にこだわるとともに、フロアマットとしては異例となるウール素材を色鮮やかで上質な風合いに保ち、卓越した品質に仕上げられた。

X7 M60iベースでは前席まわりとセンターコンソールに漆蒔絵/螺鈿装飾トリムを採用
川島織物セルコンが仕上げたフロアマット

 トークショー形式の製品説明会には、漆蒔絵/螺鈿装飾トリムを担った漆芸家/蒔絵師の服部一齋氏、フロアマットを担当した川島織物セルコン 商品本部 商品開発部 チーフ・プロジェクト・マネジャーの磯卓氏、演出家の宮本亜門氏、ビー・エム・ダブリュー ブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マーケティング プロダクト・マネジャーの御舘康成氏が参加し、それぞれの立場からX7 BLACK-αの魅力や制作時の苦労点、そして黒に対する思いなどについて語られ、宮本亜門氏は「私はクルマのデザインをしたわけではなく部外者ですが、日本の伝統、そして本質とは何ぞやと追求することが好きなので、今日お呼びいただいてうれしく思います。すばらしいクルマが発表されました」などと評価した。

漆蒔絵/螺鈿装飾トリムを担った漆芸家/蒔絵師の服部一齋氏
株式会社川島織物セルコン 商品本部 商品開発部 チーフ・プロジェクト・マネジャーの磯卓氏
演出家の宮本亜門氏
ビー・エム・ダブリュー株式会社 ブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マーケティング プロダクト・マネジャーの御舘康成氏

 今回のX7 BLACK-αでは「BMWと日本の名匠プロジェクト」の名は掲げられていないが、とくにX7 M60iベースでは日本の伝統工芸を存分に感じられる仕様となっている。芸術品ともいえるX7 BLACK-αの価格は「X7 xDrive40d BLACK-α」が1625万円、「X7 M60i xDrive BLACK-α」が2140万円。

実質9台限定の「X7 M60i xDrive BLACK-α」