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マクラーレン東京でジェンソン・バトン選手と“レジェンド”葛西紀明選手がトークイベント
F1日本GPについて「簡単ではないが、この週末は素晴らしいレースを見せたい」とバトン選手
(2014/10/2 00:00)
- 2014年10月1日開催
エクソン・モービル製品を国内で取り扱うEMGマーケティングは10月1日、10月3日~5日に鈴鹿サーキットで開催されるF1日本GP参戦のため来日したマクラーレン・メルセデスのドライバー、ジェンソン・バトン選手と、ソチ五輪のスキージャンプで2個のメダルを獲得した葛西紀明選手らを招き、トークイベントを開催した。
エクソン・モービルの合成油による高性能エンジンオイル「MOBIL 1」のプロモーションの一環で、エンジンオイルが“クルマにとって大切なエンジンを守る”ものであることから、トークイベントも「大切なものを守る」というテーマを中心に話が盛り上がった。
黄色いマクラーレン 650Sに乗りたい葛西選手、乗ってるバトン選手
開催場所は東京 赤坂にあるマクラーレン東京。マクラーレンの実車が展示されるその場所で、ジェンソン・バトン選手とモデレーターの葛西紀明選手、そして進行補佐役として元フジテレビアナウンサーの内田恭子さんがトークを繰り広げた。
葛西選手は、F1ドライバーの中でバトン選手が一番好きだと告白。ソチ五輪で獲得した個人ラージヒルの銀メダルと、団体の銅メダルを披露し、バトン選手はそのメダルを見て「スゴイネ、オメデトウ」と日本語で一言。続けて英語で「オリンピックでメダルを1つ取るだけでも夢のようなものなのに、2個も取ったというのは驚くべきこと、ファンタスティックだ」と絶賛した。
3人が並んで座った背後には黄色の「マクラーレン 650S」が展示されており、これを見た葛西選手は「僕は特に黄色が好きなんです」と、黄色の650Sにべた惚れの様子。ただ、車両価格が4000万円ほどと聞かされ、「次のオリンピックで金メダルを取って……」と濁すのが精一杯だった。
バトン選手は「まさにこれと同じものに(モナコで)乗ってる」と申し訳なさそうに答えながら、マクラーレンのクルマについて「カラーのテイストは素晴らしいし、クルマ自体もすごい。650Sは速いし、マクラーレンはマシンに最高のメカニカルグリップをもたらすように作っているのだと思う。P1というフラグシップカーや650S GT3はさらにメカニカルグリップがあるけれど、650Sのようにプロダクションカーとしてこれほどのクルマを作っているマクラーレンは本当に素晴らしい」と、マクラーレンの宣伝も忘れなかった。
ロシアGPでは「食事に気を付ける」
葛西選手は冬季五輪で日本の最年長メダリストとなったが、同じアスリートとしてどう思うかと問われたバトン選手は、「年齢は単なる数字でしかないのだと感じる。努力を積めば夢は何歳になっても叶うんだと思う。オリンピックでメダルを獲得したのは本当にすごいこと」と称えた。
F1日本GPの次は、五輪が開催されたのと同じソチで行われるロシアGPとなる。ソチで過ごすにあたってバトン選手にアドバイスを、と請われた葛西選手は、「食事はおいしいけれども、ピロシキを食べて当たったので食事に気を付けていただきたい」と笑いを誘った。
バトン選手は「気を付けるようにする」と笑いながら応え、日本GPの後は水曜日まで日本に滞在し、その後ソチへ向かうことを明かした。ソチでの開催はF1史上初めてで、もちろんバトン選手も初めてドライブするサーキットとなるが、「新しいサーキットでの走行は常にチャレンジが伴うけれど、とても楽しみにしている」と話した。
葛西選手はバトン選手に直接質問も投げかけた。マクラーレンはどういうチームかと聞くと、「F1はドライバーの自分1人だけで勝てるものじゃない。ドライバーの背後にいる何百人ものスタッフの力が大きい。そういうメカニックが皆さんの前に現れるのはレース中のピットストップの時だけだが、個人としてではなく、チームの1人としての努力が、これだけの成果を上げているんだと思う」と語った。
スポンサー・パートナーであるエクソン・モービルについても、「他のパートナーと合わせたコンペティティブなサポートの中で常に質を上げてくれていて、1戦ごとにクルマのパフォーマンスを変えていっている。レースはわずかな違いで勝ち負けが決まってくるので、技術力の差というのは本当に重要。これからも長いパートナーシップを築ければと思っている」とコメントした。
バトン選手も葛西選手も、「家族が大事」
トップアスリートとして自分の中のルールは、という質問もあった。葛西選手は、「40歳を超えても30~40分毎日ランニングを続けているし、試合前は減量して体調を合わせなければならない、というのを自分にとってのルールとしてやっている」と語り、「自分をいじめるのが好きなのか、断食もしたりする」と意外な一面を明かした。
バトン選手の場合は、「F1では単にステアリングを切ってペダルを踏んでいるという風に見えがちだけれど、他人が思っているよりフィジカルがきつい。振動が激しく、横Gもスピードもあって疲労するし、精神的にも疲れるから、体力維持には気を使っている」とのこと。また、「34歳で最年長ドライバーということになるが、気持ちはまだまだ若いつもり。昨日富士山のまわりをサイクリングしてきたけれど、いい経験になった。クレイジーなF1という世界から離れることも大事なんだと思う。食生活もそれと同じように大切。F1では反射神経がすごく重要で、そういった生活のおかげか20代の若いドライバーと同じような反射神経を維持できていることはありがたい。常に学んで、レースでは必ず最高の状態でいたい」と述べた。
次に葛西選手からバトン選手に対して再び質問があった。勝たなければいけないというプレッシャーとどう戦うのか、と問われると、「いい人たちに囲まれること」と即答。「家族や友達などがいることで感情のコントロールがしやすくなるが、1人ではそれを克服するのは難しいと思う」と話し、これを聞いた葛西選手も「自分も家族、ファン、会社に支えられてここまでやってこれた」と応じた。
最後の質問は、今2人とって大切なものは何か。葛西選手は、「成績を出すことも大切だが、家族を元気づけたいという思いも持ちながら、たくさんの応援してくれる方や、支えてくれている会社に対して、ジャンプ競技を続けさせてもらえているという感謝の気持ちを大切にしている」とのこと。バトン選手は「勝つことが重要だが、勝ちたいという気持ちよりも勝たなければいけないという気持ちが強い」とし、「自分を助けてくれて目標に導いてくれる、(親友を含めた)家族がもっとも大切」と語った。
終わりに、10月3日に開幕するF1日本GPに向けて、バトン選手がその意気込みを語った。「日本とは、2003年にホンダからエンジンを提供してもらって以来の関係で、婚約者(道端ジェシカさん)も日本に住んでいるし、コネクションは多い。今回のレースは本当に楽しみにしている。僕らにとってポディウムのてっぺんを期待できるような簡単なレースにはならないだろうけれど、この週末は素晴らしいレースを見せたい」。