ニュース

東光高岳とe-Mobility Power、最大出力350kW/口対応の次世代急速充電器「SERA-400」を共同開発

2025年5月15日 発表
東光高岳とe-Mobility Powerが共同開発した次世代急速充電器「SERA-400」の新製品発表会

 東光高岳とe-Mobility Powerは5月15日、CHAdeMO規格として世界初となる一口最大出力350kW/総出力400kW(最大電圧1000V)に対応する次世代急速充電器「SERA-400」を発表した。両社共同開発による新製品は、東光高岳のEV急速充電器「SERA(セラ)」シリーズとして発売され、2025年秋に納品開始予定。

 新製品「SERA-400」は一口最大出力350kW(総出力400kW)の急速充電器で、CHAdeMO規格では世界初。10分間の充電で約400kmの走行が可能な高出力性能に加え、「誰にでも楽に充電できる」をコンセプトに、ユーザビリティにこだわった製品としている。

 同日、東光高岳 蓮田事業所(埼玉県蓮田市)にて開催された次世代急速充電器の新製品記者発表会には、東光高岳 代表取締役社長の一ノ瀬貴士氏、e-Mobility Power 取締役の岩堀啓治氏らが参加。

株式会社東光高岳 代表取締役社長 一ノ瀬貴士氏

 東光高岳の一ノ瀬社長は「弊社はEV用の急速充電器に関しましては、2009年に初号機を販売開始して以降、パイオニア的に取り組んでまいりました。現在では、下は15kWから上は150kWまで多彩なラインナップを取り揃えるとともに、圧倒的に故障率が低いこと、それから24時間365日対応の保守メンテナンス体制にも高い評価をいただいております。これまで国内での累積販売台数6000台ということで、文字通りナンバーワンの実績で、トップランナーを走っているものと自負してございます」と同社の取り組みを紹介。

 新製品「SERA-400」について、一ノ瀬社長は「当社のSERAシリーズの急速充電器の中でもフラグシップ的な存在として、今後より快適で便利なEV社会の実現に大きく貢献できるものと確信しております。今後もEVユーザーをはじめとして、お客さまの様々なニーズ、そして社会の動きにもいち早く敏感に察知して、それにお応えし、新しい価値を創造して皆さまに提供できるよう引き続き努力してまいります」との意気込みが語られた。

株式会社 e-Mobility Power 取締役の岩堀啓治氏

 e-Mobility Power 取締役の岩堀氏からは、新製品「SERA-400」の開発にあたり「1つは、誰でも簡単に操作ができるということ。それからもう1つは、視認性が高くて、どこにいても充電器があるということが分かるということ。この2点を開発のコンセプトに盛り込んでいただくことにしました」と、大きく2つのお願いをしたことを明かした。

 そうしたコンセプトを実現するべく、躯体の設計・開発にはインダストリアルデザイナーである山中俊治氏とチームVTOLが参画し、存在感ある未来的な外形とユーザーの使いやすさを両立させたスタイリッシュなデザインとするとともに、操作性を向上させるために、住友電気工業が新たに開発した新型充電コネクタと充電ケーブルを採用して軽量化と細径化を図ったことなどが紹介された。

 また、設置場所に関しては、対応するEVを展開するブランドの施設や高速道路での展開が検討されており、岩堀氏は「1つはポルシェさま、ヒョンデさまの施設でご検討いただいておりますけれども、もう1つは短時間で充電したいニーズが非常に高い場所ということで、高速道路のサービスエリア、パーキングエリア、こちらにも設置をさせていただいてる道路会社さんと今調整を進めてございます。私どもとしましては、今回こうやって共同開発をさせていただいて、新しい充電器がこれから世に出ていくわけなんですけども、開発から販売、設置、運用までを含めてEVの普及に貢献をしてまいりたい」と語った。

 同発表会には、開発に関わった住友電気工業 電力機器事業部 EVC室 室長の出田瑞貴氏、デザインエンジニア、東京大学特別教授の山中俊治氏らも参加し、現行製品比で約30%軽量化した新型充電コネクタの採用や現行製品比で約10%細く、約20%軽量化した新型充電ケーブルを採用したこと、新型のケーブルマネジメントシステムの採用により、充電コネクタケーブルを片手で楽に操作可能にしたこと、ケーブルが地面に接することなく、高い収納性を実現させたことなどが紹介された。

住友電気工業株式会社 電力機器事業部 EVC室 室長の出田瑞貴氏
現行製品比で約30%軽量化した新型充電コネクタの採用や現行製品比で約10%細く、約20%軽量化した新型充電ケーブルを採用
デザインエンジニア、東京大学特別教授の山中俊治氏
デザインやUIの特徴を紹介するスライド
上部に設置されたアームでケーブルを釣ることで、ケーブルを引きずらずに充電できるようにした
軽量な充電コネクタとケーブル、ケーブルを引きずらずに充電できることで、EVユーザーの充電体験を変える
外観のデザインやUIが公開された

不具合の発生状況が低い業界トップの充電品質を提供

株式会社東光高岳 GXソリューション事業本部 EVインフラ推進室長の石村将章氏

 製品概要については、東光高岳 GXソリューション事業本部 EVインフラ推進室長の石村将章氏から説明があり、特に不具合の発生状況が同業他社に対して低いことが強調された。石村氏は「私ども非常に故障が少ないというのも、2005年から研究開発をスタートしまして、2009年に民生品を出荷ということで非常に古くからさせていただいております。そういった中で、いろんなクルマとの接合試験ですとか、クルマの充電ユースケースに対応するようなことが非常に多くございまして、この経験値が1番私どもの強みと考えております」と説明。

 不具合が発生しにくいハード面の特徴に関して、石村氏は「今の最新の製品でいきますと、充電ができないという状況は絶対作らない、何かが起きても出力をし続けるというような回路構成というか、パイロットの構成にしてまして、それによって充電ができずに、そこで停滞してしまうということは回避するというような仕組みにしております」と説明。

 また、サポート体制といったソフト面では「いろんなお問い合わせがありまして、例えば画面の遷移ですね、次どういう風な操作をすればいいですか?っていうようなこともあったりしますし、製品だけでなくてアプリの使い方みたいなお話もわれわれの方に入ってくるということもございます。そういったことを対応して、私ども緊急のコールセンターを持っておりますので、設置者とユーザー、使っていただいてる皆さまをサポートしながら、高い信頼性を確保しながらきた」と、ハードとソフトの両面のサポートで、充電に関する不具合に対応してきた歴史があることを説明した。

新製品「SERA-400」の開発コンセプト
製品のスペックや特徴を紹介するスライド
SERAシリーズについて、2024年の不具合発生状況で業界トップの品質を強調した
会場には大出力の急速充電に対応するポルシェとヒョンデの車両が展示された
基本スペック
1000Vに対応するEV急速充電用コネクタ付きケーブル