ニュース
トヨタ、スペース、安全、低燃費の3拍子揃った新型「シエンタ」発表会
従来のミニバンとは異なる斬新なスタイルに刷新
(2015/7/10 14:16)
- 2015年7月9日開催
トヨタ自動車は7月9日、新型「シエンタ」の発表会を東京都内にて開催した。発表会開催時間になって最初にステージに登場したのはクルマではなく、タレントの滝川クリステルさん。新型シエンタのキーワードである機能性と動感を表現する「Active&Fun」というキャッチコピーにこめたメッセージが滝川クリステルさんから語られた後、ステージの大型LEDモニターに黄色のスポーツバッグが映し出された。そしてバッグのジッパーが開く映像に切り変わるのと同時にLEDモニターは収納され、モニターがあったスペースからシエンタが登場した。
車両のプレゼンテーションは、新型シエンタの開発責任者である粥川宏氏と、プロジェクトチーフデザイナーの郷武志氏によって行われた。
まずはボディーサイズについてからだが、新型シエンタは先代モデルよりも全長で+115mmとなる4235mm、ホイールベースは+50mmの2750mm。そして全高で+5mmとなる1675mmと余裕を持たせつつも取り回しのしやすいサイズに収めている。それにハイブリッド車ではハイブリッドバッテリーや燃料タンクの配置にも気を使い、低床フラットフロアを実現。使い勝手のよい広々とした室内空間と段差の少ない床面という構成で室内の移動がしやすいようになっていた。
加えてリヤのスライドドアの乗り込み高さを330mm(2WD車)に設定。これは従来比で55mmも低い数値。そしてドアの開口幅も従来より50mm広くした665mmになっている。このような低さ&広さを生かすためにスライドドア自体もドアハンドルを引くことなく、ワンタッチスイッチに触れるだけで自動開閉するオートスライドドアも設定している。
セカンドシートは従来型よりニークリアランスを25mm拡大しているので、足下にゆとりが生まれている。また、セカンドシートは左右独立でスライド&リクライングが可能だ。シートの折りたたみに関しても軽い力で動作するワンタッチレバーを引くだけで簡単に折りたためるから、3列目シートへの乗り込みも容易に行えるようになっていた。このように居住性だけでなく乗降性も大幅に向上した作りは、幅広い世代に使いやすいものと言えるだろう。
通常、こういった部分の説明はスライドにて紹介されるだけのことが多いが、今回の発表会ではカメラクルーとモデルが壇上のシエンタに乗り込み、室内の広さやシートの操作などを実演。その模様を滝川クリステルさんがリポートするといった、滝川さんのイメージを上手く使ったTV番組風な見せ方が用いられた。
続いてプロジェクトチーフデザイナーの郷氏からデザインについて紹介された。新型シエンタは色々なものを詰め込んで、アクティブに使える大きなスポーツバッグをイメージしたという。スポーツバッグは肩肘を張らずに気軽にカッコよく背負えるものであるのも特徴。そこで新型シエンタも従来の箱型のミニバンとは違う斬新なスタイルにしているとのことだった。
その外観の注目点はフロント、リヤのバンパーにある黒いアクセントライン。これは一筆書きをモチーフにしたもので、このラインによってワイド&ローの雰囲気を作り出し、ミニバンとは思えない走りのよさをイメージさせる狙いがあった。また、側面に関してもフロントからリヤに掛けて連続するラインはクルマに安定感や路面と車体の高さのバランスのよさを生み出すことを狙ったものとのこと。そしてクルマの顔つきを決めるヘッドランプやリヤコンビネーションランプには、標準仕様だけでなく、新型シエンタのデザインをより引き立てるLEDランプパッケージも用意している。
ボディーカラーに関しても、ユニークなボディーを引き立てるために8色のボディーカラーバリエーションを用意しているが、さらにもっと個性を出したいというユーザーのためにバンパーやドアミラーなどにアクセントカラーを採用した「フレックストーン」というオプションもあり、こちらは全5色となっている。ちなみに滝川クリステルさんがお気に入りだったのがグリーンマイカメタリックだ。
インテリアは乗り込んだ瞬間に広がりと居心地のよさを感じる空間を目指してデザインされていた。インストルメントパネルもコンビネーションメーター、ナビ、助手席のアッパーボックスなどを一筆書きのモチーフでつなげた形状である。これによって外装と内装のデザイン感に統一性を持たせていた。
形状だけでなく色使いも凝っていて、ステアリング部分や助手席のアッパーボックスにチラりと見えるオレンジ色のアクセントカラー、高級感のあるサテンメッキ加飾やピアノブラック加飾を取り入れて車格を超えた高い質感となっていた。細かい部分では小物入れの充実やカラーを3色用意することでインテリアに関しても満足度の高さが得られるようになっている。
次に紹介されたのはエンジンを含めた機能面について。ここからは開発責任者である粥川宏氏が再び登場した。新型シエンタで追求したのは低燃費。ハイブリッド車を追加しただけでなく、ガソリンエンジン車についても1500ccの新効率エンジンを採用。このエンジンはハイブリッド技術の開発時に生まれた各種の新機能を組み込んだもので、低燃費エンジンながら動力性能は従来型と同様。燃費のよさに加え、走りのよさも体感できるものになっている。ハイブリッド車に関しては低燃費性能は問題ないが、ガソリンタンクとハイブリッドバッテリーの両方を搭載しなければならない。しかし、新型シエンタは低床であることもセールスポイントだけにスペース探しが難しかったと言うが、ここは室内の広さには妥協せず、燃料タンクとバッテリーの形状を薄型にして、セカンドシートの下に収めることで解決。
そして最近のクルマには欠かせない予防安全装置に関してだが、まず語られたのがボディー構造材のスポット溶接を要所ごとに増やすことでボディー剛性を高めている点だ。ボディー剛性が高いクルマは走りの安定感もよい傾向になる。こういった基本的な部分を抑えたあと、各種機器による安全サポートである。新型シエンタにはレーザーレーダーと単眼カメラを使った衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」を搭載している。また、この装備のカメラによって走行車線の白線や黄色線を認識し、車線逸脱の可能性を検知するとブザーとディスプレイの表示でドライバーに警告する機能もある。これらの機能によって安全に乗ることのできるクルマであるということが強調してアピールされた。
クルマの紹介が終わったあと、新型シエンタのTVコマーシャルが上映された。このコマーシャルにはゲストとして来ている滝川クリステルさんのほかにもう1人出演しているが、その人がスペインリーグのレアル・マドリード所属で、コロンビア代表のサッカー選手「ハメス・ロドリゲス選手」だ。コマーシャルではオリンピック会場のようなイメージのなか、ハメス選手が様々なものの「スポーツ化」宣誓を行うという内容。
さて、ハメス選手は23歳とまだ若いが、すでに結婚していてお子さんもいるというお父さん。それだけに実際に新型シエンタに乗り込んだときの感想も「子供がいる家庭」を意識した発言が多かった。登場したばかりは少し表情も固い印象だったが、トークや実車のインプレなどをやっていくうちにジョークが飛び出したり、表情の笑顔が多くなったりとスーパースターながら、親近感を感じる人柄ということを覗かせてくれた。スポーツ選手であり、そういった明るさも持ち合わせるハメス選手と新型シエンタはたしかにイメージはあうと言えるのではないだろうか。このTVコマーシャルは7月10日より放送される。ちなみに裏話として滝川クリステルさんから語られたのは、映像では2人は同じ舞台に立っているが、実際の撮影はそれぞれで収録されたとのことだった。
こうして発表会は終了。新型シエンタは全国のディーラーで販売開始されるが、お台場にあるMEGA WEBでも7月10日~9月末(予定)の期間で新型シエンタ特別展示・試乗キャンペーンを開催する。こちらでは通常の試乗だけでなく、インストラクターが運転する新型シエンタに同乗し、「Toyota Safety Sense C」を体験することも可能。夏休み期間中の開催になるので、興味のある人はぜひ行ってみて欲しい。