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トヨタ、ハイブリッドの追加で27.2km/Lを実現した新型「シエンタ」

ガソリンモデルは最高20.6km/L。ボディーにアクセントを効かせたフレックストーンも設定

2015年7月9日発売

168万9709円~232万9855円

 トヨタ自動車は7月9日、5ナンバーサイズのコンパクトミニバン「シエンタ」をフルモデルチェンジして発売した。価格は168万9709円~232万9855円。

ガソリンモデル
モデル乗車定員エンジン変速機駆動方式価格
X “Vパッケージ”7人直列4気筒DOHC 1.5リッター「2NR-FKE」CVT2WD(FF)1,689,709円
6人直列4気筒DOHC 1.5リッター「1NZ-FE」4WD1,831,091円
X7人直列4気筒DOHC 1.5リッター「2NR-FKE」2WD(FF)1,816,363円
6人直列4気筒DOHC 1.5リッター「1NZ-FE」4WD1,957,745円
X 車いす仕様車(タイプI)“助手席側セカンドシート付”5人直列4気筒DOHC 1.5リッター「2NR-FKE」2WD(FF)2,130,000円
G6人1,980,327円
7人1,980,327円
6人直列4気筒DOHC 1.5リッター「1NZ-FE」4WD2,121,709円
G 車いす仕様車(タイプI)“助手席側セカンドシート付”5人直列4気筒DOHC 1.5リッター「2NR-FKE」2WD(FF)2,280,000円
ハイブリッドモデル
モデル乗車定員ハイブリッドシステム駆動方式価格
X7人リダクション機構付のTHS II2WD(FF)2,226,763円
G6人2,329,855円
7人2,329,855円
シエンタ ハイブリッド G(7人乗り)。ボディーサイズは4235×1695×1675mm(2WD車の全長×全幅×全高。4WD車の全高は1695mm)

 シエンタは、4m台前半の全長を持つ5ナンバーサイズのボディーに3列シートを備え、コンパクトカーに近い運転感覚と多人数乗車を両立させる“トヨタ最小ミニバン”として2003年に初代モデルがデビュー。今回が初めてのフルモデルチェンジとなり、2代目となった。

 12年ぶりとなる一新だけに、パッケージングを大幅に刷新。プラットフォームは「アクア」に採用されているものをベースに、3列目シートの設定に合わせてリアセクションに変更を与えているという。パワートレーンでは2WD(FF)車用の1.5リッターエンジンを、4月にマイナーチェンジしたカローラシリーズから採用が始まった新開発の高効率エンジン「2NR-FKE」に変更したほか、アクアにも搭載する1NZ-FXEエンジンと電気式無段変速機を組み合わせたハイブリッドシステムの採用グレードを新たにラインアップした。

 このほかに装備面で、「衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ」(PCS)などをセットにした先進安全装備「Toyota Safety Sense C」を全車にオプション設定したことも大きなトピックとなっている。

 2代目シエンタの外観デザインは、ボディーの先端側から後方に向けて勢いを持たせた紡錘形で形成し、全体を1つのかたまりに見せるよう意識したことでキビキビ感を演出している。全体のイメージは、現行モデルの「ヴィッツ」がスニーカーになぞらえて軽快さと身近な雰囲気を表現していることに対し、新しいシエンタはトレッキングシューズをコンセプトに採用。機能性と動感をアイコニックに表しているという。また、ヘッドライトからフロントバンパー、スライドドア後方側の分割ライン、リアコンビネーションランプからリアバンパーなどに、ひと筆書きをモチーフにしたなめらかに連続するラインを設定して独自の質感を演出。ウインドーラインなども複雑に組み合わせてエモーショナルな雰囲気を創出している。

 このほかにボディー外装の装備では、パッケージオプションとして「LEDランプパッケージ」を設定。このパッケージオプションの選択時には、ロービームとハイビームを1灯のLED光源を切り替えて照らす「Bi-Beam LEDヘッドランプ」、ランプ輪郭線に沿ったライン式LEDを採用する「LEDリアコンビネーションランプ」などが装着され、シャープなライティングで夜間走行中も個性を主張する。

シエンタ ハイブリッド G(7人乗り)
シエンタ ハイブリッド X(7人乗り)
シエンタ G(7人乗り)
シエンタ X“Vパッケージ”(7人乗り)

 ボディーカラーには新規開発色の「エアーイエロー」を含む9色が用意され、アクアの「X-URBAN」でも使用されている2トーンカラー「フレックストーン」を5種類設定。「ブルーメタリック」「ブラウンパール」などのアクセントカラーをフロントグリルやバンパー、ドアミラー、ドアパネルなどに配色し、多くのクルマが並ぶようなシチュエーションでも埋没しない強いキャラクターを主張する。

新規開発色の「エアーイエロー」×「ブルーメタリック」
「シルバーメタリック」×「ブルーメタリック」
「ブラックマイカ」×「ブルーメタリック」
「グリーンマイカメタリック」×「ブラウンパール」
「ホワイトパールクリスタルシャイン」×「ブラウンパール」
「エアーイエロー」
「グリーンマイカメタリック」
「レッドマイカメタリック」
「ブルーメタリック」
「ホワイトパールクリスタルシャイン」
「シルバーメタリック」
「ヴィンテージブラウンパールクリスタルシャイン」
「ブラックマイカ」

ハイブリッドシステムを新採用して最高27.2km/Lを実現

 パワートレーンは初代モデルで採用された直列4気筒DOHC 1.5リッター「1NZ-FE」と、2WD(FF)車でCVT、4WD車で4速ATという2パターンの組み合わせから、2WD(FF)車に新たに追加したハイブリッドシステム、直列4気筒DOHC 1.5リッター「2NR-FKE」×CVT-i、4WD車に直列4気筒DOHC 1.5リッター「1NZ-FE」×CVT-iの3種類に変更された。これにより、ハイブリッドモデルは6人~7人乗車に対応するミニバンながら、JC08モード燃費は27.2km/Lを実現。初代モデルの17.2km/Lから飛躍的な向上となった。また、ガソリンモデルでも2WD(FF)車は新世代の高効率エンジンを採用し、4WD車は4速ATからCVT-iに変更されたことで、それぞれ20.2~20.6km/L、15.4km/Lに燃費を向上させている。

 ハイブリッドシステムでは「1NZ-FXE」エンジンが最高出力54kW(74PS)/4800rpm、最大トルク111Nm(11.3kgm)/3600-4400rpmを発生。「2LM」モーターが最高出力45kW(61PS)、最大トルク169Nm(17.2kgm)を発生して、システム最高出力は73kW(100PS)となっている。また、「2NR-FKE」は最高出力80kW(109PS)/6000rpm、最大トルク136Nm(13.9kgm)/4400rpm、「1NZ-FE」は最高出力76kW(103PS)/6000rpm、最大トルク132Nm(13.5kgm)/4400rpmを発生する。

ハイブリッドモデルの側面透視図。基本的なコンポーネントはアクアから踏襲しているが、駆動用のニッケル水素バッテリーは後席下から1-2席間のフロア下に移設。これに伴い、バッテリーの形状を変更して30mm薄型化。シート下より荷重や衝撃がかかりやすいフロア下の配置になるため、強度と安全性の確保に最新の注意を払っているという

 インテリアでは「Seamless Fun-ction」をテーマに、機能と造詣を連続的に融合させ、使う喜びを楽しく実感できつつ、使いやすく洗練されていることを目指してデザインしている。インパネは上下で2分割し、アッパー部はシンプルでなめらかな面質で広がりを強調し、ロア部では乗員を包み込むような形状で安心感を演出。広さと安心感、質感と使いやすさをそれぞれ両立させている。メーターパネルはフロントウインドーに近く、高い位置にレイアウトする「ハイポジションコンビネーションメーター」として、運転中の視線移動を低減。視認性を高め、先進感のある車内を演出する。

 色遣いでは内装色に白系で開放感のあるフロマージュとシンプルでスポーティなブラックの2色を用意し、シートカラーはダークブラウン、フロマージュ、ブルーブラックの3パターンを設定。シート表皮はX系グレードでファブリック、G系グレードで上級ファブリックとなる。また、内装ではカラーリングによるアクセントとしてオレンジが使われており、ダッシュボードにオレンジ色のラインが入るほか、助手席アッパーボックスの内側もオレンジとなっており、リッドの開口部から見せる演出でアクティブ感を表現している。このほかに視覚的な演出として、デッキサイドドアポケット、センターピラー、スライドドアスカッフプレート、バックドアフィニッシュプレートなどにドット柄を配し、滑り止めとしての実用性とともに車内に爽やかなテイストを与えている。

 車内の装備では、子どもからシニアまで使いやすいよう、フロントドアトリムにさまざまな乗車姿勢で利用できるロングプルドアハンドルを設定し、スライドドアの周辺には乗降時に助けとなるアシストグリップを複数用意。また、ちょっとした手荷物などを収納できるポケットやフックなどを多数備えて使い勝手を追究している。

シエンタ ハイブリッド G(7人乗り)のインテリア。内装色はフロマージュ×ダークブラウン。メーターパネルには4.2インチTFTカラー液晶のマルチインフォメーションディスプレイを設定。ステアリングは写真のG系グレードで本革巻き、X系グレードでウレタンとなる

 3列仕様のシートレイアウトは、セカンドシートにベンチシートの3人掛けを採用する7人乗り、座面の車両中央側に「マルチユーストレイ」を設置する2人掛けの6人乗りの2種類が用意される。全車2人掛けのサードシートは前方にダイブダウンし、タンブルさせたセカンドシートの座面下に格納されるスタイルを採用。多彩なシートアレンジで乗員の座席とラゲッジスペースを使い分け、フルラゲッジ状態では26インチタイヤを備えるマウンテンバイクを前輪を取り外すことなく収納可能。また、フロアの低床化とフラット化を推し進め、スライドドア部分の乗り込み高さを2WD車で初代の385mmから330mmに低下。前後の開口幅、開口高も拡大して乗降性を高めている。

シエンタ ハイブリッド G(7人乗り)のシートレイアウト。セカンドシートは3人掛けのベンチシート。シートは車両後方にいくにつれて着座位置を高めたシアターレイアウトにより、各席で見晴らしのよさを確保している
低床化したフロア高とスライドドア開口スペースの拡大で乗降性を向上。スライドドアは後方側の形状を一般的な直線からアーチを描くスタイルとして、ヒンジドア風のイメージを持たせた

 レーザーレーダーと単眼カメラを併用する「Toyota Safety Sense C」では、約10km/h~80km/hの速度域で自動ブレーキを作動させ、約30km/hの減速を行う「衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ(PCS)」、道路上の白線や黄線を認識して、ウインカー操作なしに隣接車線に移動しそうになった場合に警告音とディスプレイ表示で通知する「レーンディパーチャ―アラート(LDA)」、ハイビームとロービームの切り替えを対向車のヘッドランプや先行車のテールランプをカメラで検知して自動的に行う「オートマチックハイビーム(AHB)」の3種類の先進安全機能をセットにしたほか、さらに「Toyota Safety Sense C」のセンサーで停車後の前方の車両が発進したことを検知。自車の停車状態が続いたときにブザー音と画面表示で注意喚起する「先行車発進告知機能」もセットオプションとなっている。

シエンタ 車いす仕様車(タイプI)“助手席側セカンドシート無”

 このほか、車両後方のラゲッジスペースに手動スロープを設置し、後輪エアサスペンションによる車高降下機能を持つ車いす仕様車は、カタログモデルに2グレード、持ち込み登録となるウェルキャブシリーズに2グレードを設定。手動スロープは一般的な直立状態での格納からさらに前方に倒れてフラットなラゲッジスペースとなり、車両後方側からの荷物の出し入れが楽にできるよう工夫されている。

 カタログモデルには7:3分割式の専用セカンドシートを採用し、車いすを載せないときには5人乗車が可能。ウェルキャブの車いす仕様車(タイプI)は維持費を抑えられる8ナンバー仕様となっており、車いす仕様車(タイプII)は車いすに加え、コンパクトクラスでは初めてとなるストレッチャーでの乗車も実現している。

モデルベース仕様エンジン変速機駆動方式価格
車いす仕様車(タイプI)“助手席側セカンドシート無”X “Vパッケージ”直列4気筒 DOHC 1.5リッター「2NR-FKE」CVT2WD(FF)1,950,000円
車いす仕様車(タイプII)X2,300,000円

(編集部:佐久間 秀)