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トヨタとダイハツ共同会見、三井社長「ダイハツならではの“DNGA”でやっていきたい」

BMWにおけるMINIのような存在を目指す

2016年1月29日発表

トヨタ自動車がダイハツ工業を完全子会社化することを発表。写真左から、トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田章男氏と、ダイハツ工業株式会社 代表取締役社長 三井正則氏

 トヨタ自動車とダイハツ工業は1月29日、トヨタ自動車がダイハツ工業を完全子会社化することについて共同で記者会見を実施。トヨタの代表取締役社長 豊田章男氏とダイハツの代表取締役社長 三井正則氏が登壇し、両社の狙いや今後の戦略について話した。

トヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏

 完全子会社化を検討した時期に関して、豊田氏からは「トヨタとダイハツの両社は、持続的成長という共通のテーマについてことあるたびに意見交換をしてまいりました。昨年の秋、私どもより、より強固な関係となって、両ブランドで一層”もっといいクルマづくり”を進めたいとのお話しを差し上げました」と、2015年の秋に話がスタートしたことが明かされた。

 続けて「当初、三井社長は、相当驚かれたようですが、議論を重ねていくうちに、“両社の持続的成長には必要なことだと思う。ダイハツとしても、競争が激化し、新技術や事業の拡大が必要となる中、新たな領域に踏み込むにはリソーセスの限界にきている。ただ、ダイハツらしいクルマづくりは続けていきたい。”といったお話をしてくださいました」と付け加えた。

ダイハツ工業 代表取締役社長 三井正則氏

 一方、三井氏からは今後の協業における具体的なポイントとして「小型車戦略」「技術戦略」「事業戦略」の3点を挙げ、これまで国内で展開する「パッソ」「ブーン」、海外展開する「セニア」「アバンザ」などの小型車の開発において、今後はトヨタとの関係をより強固にするとともにブランドの差別化を明確化することで、ダイハツブランドの世界基準への進化につなげていきたい考えが示された。

 三井氏は「ダイハツブランドのお客さまには、これまで以上に、よりよい商品・サービスを、どこよりも早く、アフォーダブルにお届けいたします。加えて量的拡大が見込まれる新興国をはじめ、グローバルなダウンサイジング化が進む中で、ダイハツのクルマづくり、ものづくりの強みを発揮してまいります」との考えを示した。

なぜ今のタイミングで完全子会社化に?

 会見後の質疑応答では、まず記者団から「完全子会社化に対するそれぞれの所感」と「なぜこのタイミングで完全子会社化になったのか」との質問がされた。

 豊田氏は「トヨタはアライアンスが上手でない会社であると理解している。一方で、1つのチームになった時に一体となって取り組むのは得意な会社だと思っている。このタイミングでダイハツを完全子会社化してトヨタの小型車をお任せることができたのは(長年の提携関係のある)ダイハツだから」と述べるとともに、「他の会社と話す中で“トヨタの上から目線”が問題になりますが、トヨタ自動車東日本やトヨタ車体の完全子会社化で、“もっといいクルマづくり”で同じ目線で話し合えた実績がここ数年で芽生えてきている。2社と違いダイハツには、100年を超える歴史を持つダイハツというブランドがあるが、トヨタと一体になることでさらに光り出すようになるように、誠心誠意、同じ目線で話し合うことで育て上げていきたい」と答えた。

 三井氏は「一番大きな狙いは各国における両ブランドの小型車強化だと思っている。そのために必要なのは、“両ブランドの棲み分け”“戦略のノウハウの共有””経営のスピード”だと思っている。両ブランドの個性が際立つ、もっといいクルマをお届けしたい」と述べるとともに、「なぜ今か?については、この10年ダイハツでは構造改革をやってきた。構造改革に一定のめどがつき、次の成長を考えるタイミングにおいて、トヨタも同じ課題を持っていると聞き“それならば”と双方の意見が一致したということ」と話した。

ダイハツブランドはなくならない?

 次に、ダイハツブランドの存続について質問がされた。

 三井氏は「ダイハツブランドはもちろん存続しますし、今のままでなく進化をさせていく。例えが適切ではないかもしれないが、BMWにおけるMINIのような存在、世界に通用する価値を持つグローバルブランドになっていきたい」とコメント。

 豊田氏は「ダイハツブランドは絶対になくなることはありません。三井社長のおっしゃるようにBMWにおけるMINIというのは、我々が狙うべきところ」とコメント。

ダイハツブランドの今後?

 続いて、ダイハツブランドの今後について質問が出された。

 三井氏は「グローバルで一気に加速したいところであるが、ブランドをグローバルブランドに持っていくには、実力をつけながらの展開していくことになっていく。最終的にはダイハツブランドがある程度認知された上で、インドネシア、マレーシアだけでなく、ダイハツブランドが欲しいという国には是非出て行ってみたい」と意気込みを示した。

 また、「グローバル展開するにあたって、10年かけて構造改革をやってきて開発や生産体制をスリムにスピーディーにできないかと追求していきた。その成果を海外展開に向けて使っていきたい。そのために、我々はグローバル事業を展開していくために必要な人材育成を行っているところ」と明かした。

 豊田氏は「従来のトヨタの小型車開発を変えていこうという時、ダイハツの力を借りることが有効な手立て。トヨタの小型車開発はミドルクラスの車両開発を軸に小型車を開発するアプローチを採るが、ダイハツは軽で培った技術から小型車を開発するアプローチを採る。(今後展開する)小型車開発では個別に取り組む方法でなく、お互いに得意なところは任せるといった、共通の戦略、スピード感を持って進めていくのが必要」との考えを示した。

 それに付け加えて、三井氏は「TNGAの延長にある小型車や軽自動車でなく、我々が軽自動車で培ってきたノウハウを、独自のアイデアを生み出していく源泉にしたい」と話し、三井氏は「TNGAとは違う、ダイハツならではの(豊田社長から“DNGA”と耳打ちされ)“DNGA”でやっていきたい」と、豊田氏と歩調を揃えた。

(編集部:椿山和雄)