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ダイハツ、“新 みんなのエコカー”新型「ミラ イース」発表会
「Dモノコック」などで最大80kg軽量化。加速性能も向上
2017年5月10日 00:10
- 2017年5月9日 開催
ダイハツ工業は5月9日、フルモデルチェンジして同日に発売した新型軽自動車「ミラ イース(Mira e:S)」の記者発表会を都内で開催した。価格は84万2400円~133万9200円となっており、このほかのグレード体系などの詳細は、すでに誌面掲載している関連記事「ダイハツ、最大80kgの軽量化を果たし、最高燃費35.2km/Lの新型軽乗用車『ミラ イース』」を参照していただきたい。
新型ミラ イースは「DNGAの原点を確立する大変重要な位置づけのクルマ」と三井氏
発表会で最初に挨拶に立ったダイハツ工業 取締役社長の三井正則氏は、3月に発表した2025年までの中長期経営シナリオ「D-Challenge 2025」を念頭に、新しい中長期経営シナリオにおける新型ミラ イースの位置付けや、ダイハツが目指していく「安全・安心なモビリティライフ」などについて解説した。
三井氏は、ダイハツが初代ミラ イースを発表した2011年9月当時は、原油価格の高騰や環境志向が高まっていたことなどからハイブリッドカーに注目が集まっていた。そこで軽自動車の存在意義を改めて問い直し、「ハイブリッドカー同等の燃費性能をハイブリッドカーの半額の値段で実現する」という高い目標を掲げてチャレンジしたのが初代ミラ イースだったと説明。その結果、初代ミラ イースは「第3のエコカー」として大きく話題を集めることになり、「軽自動車に新たなウェーブを巻き起こした」とアピールした。
それと同時に初代ミラ イースは、ダイハツの構造改革における中心的役割を果たしていたと三井氏は述べ、「シンプル、スリム、コンパクトな生産」や、あらかじめ予算を決めてから、そのなかでユーザーに求められるクルマ造りを行なうという「予算制方式」、設計原価の大幅な低減や買い方といった「調達改革」、さらに「コンベンショナル技術の追求による低燃費化」などを推し進め、「良品廉価」「軽で事業が成立するビジネスモデル」といったダイハツの強みを凝縮したモデルになったと紹介。こうした独自の取り組みや強みといった部分がトヨタ自動車に評価され、トヨタグループ内における小型車事業を主体的に牽引することになったとコメントした。
また、ダイハツは3月1日に創立110周年を迎え、新しいグループスローガン「Light you up」を策定。さらに「モノづくり」と「コトづくり」の両輪でダイハツブランドの進化を目指していく中長期経営シナリオのD-Challenge 2025も定め、モノづくりではダイハツらしいクルマづくりのコンセプト「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の実現を目指すという。このDNGAは単純に新しいクルマの構造を指すのではなく、ユーザーの声を出発点として、新車開発のすべての工程で「ダイハツ独自のユーザーオリエンテッドなクルマづくり」を行なうための事業構造や戦略の総称であると三井氏は語る。
このDNGAに基づいた新製品第1弾として、新たなプラットフォームを採用する軽自動車を開発・投入。このDNGA第1弾をベースとして小型車やグローバル展開車にと、「小から大に、国内からグローバルに展開していく」という。新しいミラ イースはこの流れに向け、「日本に根ざした軽自動車になにが求められるのか」をとことん突き詰めていき、「DNGAの原点を確立する大変重要な位置づけのクルマ」と表現された。
ダイハツが目指す「安全・安心なモビリティライフ」では、軽自動車は公共交通機関を利用しにくい地方に住む人や、女性、高齢者などを幅広いユーザーから利用されており、買い物、通院、送迎といった日常生活に寄り添うパートナーのようなクルマであると三井氏は説明。近年では高齢者による事故がニュースとなっていることにも触れ、そのような軽自動車であればこそ、安全・安心なクルマを普及させていきたい、すべての人が安全に、安心してモビリティライフを送れるようにしたいとの思いを口にして「これは軽トップメーカーであるダイハツの願いであり、私どもの使命だと考えています」と語った。
具体策として、2012年に軽自動車で初めてとなる衝突回避支援システム「スマートアシスト」をムーヴに採用。さらに多彩な車種にも展開し、発売から3年半で搭載車100万台を突破し、現在は120万台になっていることを紹介。新型ミラ イースでも歩行者に対応する「スマートアシストIII」を採用している。今後も販売店と一体になって体感試乗イベントなどを実施して、今年度中にスマートアシスト搭載車の累計販売150万台、2018年度中には200万台達成を目指していくとの意気込みを示した。また、今月末には少子高齢化や地方における過疎化といった日本社会が持つ問題に対し、答えの1つになる新しい取り組みをダイハツの「コトづくり」として発表すると予告した。
最後に三井氏は、「今後は新型ミラ イースで確立した原点に基づき、奥平新社長のもとDNAGの実現を目指してまいります。これまで培ってきた、他社にはないダイハツならではの『良品廉価』で『ユーザーオリエンテッド』なクルマづくりを続け、お客さまの日々のパートナーとして愛されるスモールカーを生み出してまいります。今後のダイハツにご期待をいただきたいと思います」と締めくくった。
リニアな加速感でストレスなく安心できる走りを実現
新型ミラ イースの商品概要は、ダイハツ工業 製品企画部 エグゼクティブチーフエンジニアの南出洋志氏が解説を行なった。
南出氏はミラ イースのフルモデルチェンジにあたって実施した分析で、初代が発売された当時から景気が回復傾向となり、自動車市場ではハイブリッドカーやEV(電気自動車)の普及が進んだことで低価格なハイブリッドカーも登場。一方で高齢者などによる事故がニュースになるなかで「安心・安全志向」が伸長して交通事故を防止するための対策が喫緊の課題になって予防安全技術が進化しているといった要素があると紹介。さらに初代ミラ イースを購入した人でも求めるものが変化して、燃費や価格といった経済性の高さは当たり前の要素となっていることから、新型モデルの開発ではゼロベースで考え直す必要があるとの結論に至ったと説明。
このため、新型ミラ イースでは、従来からの低燃費で低価格といった商品性を維持しながら、安全性や装備などで「+αの魅力」を新しい価値として追加しているという。具体的には「低燃費・低価格」「安全・安心の基本性能と装備」「力強さと先進性を表現したデザイン」「日常にジャストフィットする快適装備」の4点を特徴として説明。
また、「+αの魅力」として、軽量化や走行抵抗の低減といった技術で“燃費の原資”を作り上げたうえで、走行性能などにその“原資”を充当。従来どおりの最高35.2km/LというJC08モード燃費を維持しつつ、初代ミラ イースのユーザーから要望が多かった発進や追い越し時の加速性能を向上。アクセル操作に対してリニアな加速感が得られるようになり、ストレスのない安心できる走りを実現しているという。