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ダイハツ、“新 みんなのエコカー”新型「ミラ イース」発表会

「Dモノコック」などで最大80kg軽量化。加速性能も向上

2017年5月9日 開催

新型「ミラ イース」発表会でフォトセッションに立つダイハツ工業株式会社 取締役社長 三井正則氏

 ダイハツ工業は5月9日、フルモデルチェンジして同日に発売した新型軽自動車「ミラ イース(Mira e:S)」の記者発表会を都内で開催した。価格は84万2400円~133万9200円となっており、このほかのグレード体系などの詳細は、すでに誌面掲載している関連記事「ダイハツ、最大80kgの軽量化を果たし、最高燃費35.2km/Lの新型軽乗用車『ミラ イース』」を参照していただきたい。

新型軽乗用車「ミラ イース」
エクステリアデザインでは「力強さ」「先進性」を表現
ボディサイズは3395×1475×1500mm(2WD車の全長×全幅×全高。4WD車の全高は1510mm)で、ホイールベースは2455mm。初代ミラ イースから車高のみ10mmアップとなっている

新型ミラ イースは「DNGAの原点を確立する大変重要な位置づけのクルマ」と三井氏

ダイハツ工業株式会社 取締役社長 三井正則氏

 発表会で最初に挨拶に立ったダイハツ工業 取締役社長の三井正則氏は、3月に発表した2025年までの中長期経営シナリオ「D-Challenge 2025」を念頭に、新しい中長期経営シナリオにおける新型ミラ イースの位置付けや、ダイハツが目指していく「安全・安心なモビリティライフ」などについて解説した。

 三井氏は、ダイハツが初代ミラ イースを発表した2011年9月当時は、原油価格の高騰や環境志向が高まっていたことなどからハイブリッドカーに注目が集まっていた。そこで軽自動車の存在意義を改めて問い直し、「ハイブリッドカー同等の燃費性能をハイブリッドカーの半額の値段で実現する」という高い目標を掲げてチャレンジしたのが初代ミラ イースだったと説明。その結果、初代ミラ イースは「第3のエコカー」として大きく話題を集めることになり、「軽自動車に新たなウェーブを巻き起こした」とアピールした。

 それと同時に初代ミラ イースは、ダイハツの構造改革における中心的役割を果たしていたと三井氏は述べ、「シンプル、スリム、コンパクトな生産」や、あらかじめ予算を決めてから、そのなかでユーザーに求められるクルマ造りを行なうという「予算制方式」、設計原価の大幅な低減や買い方といった「調達改革」、さらに「コンベンショナル技術の追求による低燃費化」などを推し進め、「良品廉価」「軽で事業が成立するビジネスモデル」といったダイハツの強みを凝縮したモデルになったと紹介。こうした独自の取り組みや強みといった部分がトヨタ自動車に評価され、トヨタグループ内における小型車事業を主体的に牽引することになったとコメントした。

 また、ダイハツは3月1日に創立110周年を迎え、新しいグループスローガン「Light you up」を策定。さらに「モノづくり」と「コトづくり」の両輪でダイハツブランドの進化を目指していく中長期経営シナリオのD-Challenge 2025も定め、モノづくりではダイハツらしいクルマづくりのコンセプト「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の実現を目指すという。このDNGAは単純に新しいクルマの構造を指すのではなく、ユーザーの声を出発点として、新車開発のすべての工程で「ダイハツ独自のユーザーオリエンテッドなクルマづくり」を行なうための事業構造や戦略の総称であると三井氏は語る。

 このDNGAに基づいた新製品第1弾として、新たなプラットフォームを採用する軽自動車を開発・投入。このDNGA第1弾をベースとして小型車やグローバル展開車にと、「小から大に、国内からグローバルに展開していく」という。新しいミラ イースはこの流れに向け、「日本に根ざした軽自動車になにが求められるのか」をとことん突き詰めていき、「DNGAの原点を確立する大変重要な位置づけのクルマ」と表現された。

初代ミラ イースは「ハイブリッドカー同等の燃費性能をハイブリッドカーの半額の値段で実現する」という高い目標から生み出されたモデルと三井氏
初代ミラ イースで構築した新しいビジネスモデルが評価され、トヨタグループで小型車事業を担当することになった
新型ミラ イースは「第3のエコカー」からさらに進化した「新 みんなのエコカー」
新しいミラ イースは、ダイハツらしいクルマづくりの事業構造となる「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の原点を確立するモデルとなる

 ダイハツが目指す「安全・安心なモビリティライフ」では、軽自動車は公共交通機関を利用しにくい地方に住む人や、女性、高齢者などを幅広いユーザーから利用されており、買い物、通院、送迎といった日常生活に寄り添うパートナーのようなクルマであると三井氏は説明。近年では高齢者による事故がニュースとなっていることにも触れ、そのような軽自動車であればこそ、安全・安心なクルマを普及させていきたい、すべての人が安全に、安心してモビリティライフを送れるようにしたいとの思いを口にして「これは軽トップメーカーであるダイハツの願いであり、私どもの使命だと考えています」と語った。

 具体策として、2012年に軽自動車で初めてとなる衝突回避支援システム「スマートアシスト」をムーヴに採用。さらに多彩な車種にも展開し、発売から3年半で搭載車100万台を突破し、現在は120万台になっていることを紹介。新型ミラ イースでも歩行者に対応する「スマートアシストIII」を採用している。今後も販売店と一体になって体感試乗イベントなどを実施して、今年度中にスマートアシスト搭載車の累計販売150万台、2018年度中には200万台達成を目指していくとの意気込みを示した。また、今月末には少子高齢化や地方における過疎化といった日本社会が持つ問題に対し、答えの1つになる新しい取り組みをダイハツの「コトづくり」として発表すると予告した。

 最後に三井氏は、「今後は新型ミラ イースで確立した原点に基づき、奥平新社長のもとDNAGの実現を目指してまいります。これまで培ってきた、他社にはないダイハツならではの『良品廉価』で『ユーザーオリエンテッド』なクルマづくりを続け、お客さまの日々のパートナーとして愛されるスモールカーを生み出してまいります。今後のダイハツにご期待をいただきたいと思います」と締めくくった。

2012年12月に登場した「スマートアシスト」は、現在では2回の進化で「スマートアシストIII」となっており、2018年度中に累計販売200万台の達成を目指す
ダイハツならではの手法でユーザーや地域住民などとの接点を拡大していく「コトづくり」
創立110周年を迎えて作成した新しいグループスローガン「Light you up」

リニアな加速感でストレスなく安心できる走りを実現

ダイハツ工業株式会社 製品企画部 エグゼクティブチーフエンジニア 南出洋志氏

 新型ミラ イースの商品概要は、ダイハツ工業 製品企画部 エグゼクティブチーフエンジニアの南出洋志氏が解説を行なった。

 南出氏はミラ イースのフルモデルチェンジにあたって実施した分析で、初代が発売された当時から景気が回復傾向となり、自動車市場ではハイブリッドカーやEV(電気自動車)の普及が進んだことで低価格なハイブリッドカーも登場。一方で高齢者などによる事故がニュースになるなかで「安心・安全志向」が伸長して交通事故を防止するための対策が喫緊の課題になって予防安全技術が進化しているといった要素があると紹介。さらに初代ミラ イースを購入した人でも求めるものが変化して、燃費や価格といった経済性の高さは当たり前の要素となっていることから、新型モデルの開発ではゼロベースで考え直す必要があるとの結論に至ったと説明。

 このため、新型ミラ イースでは、従来からの低燃費で低価格といった商品性を維持しながら、安全性や装備などで「+αの魅力」を新しい価値として追加しているという。具体的には「低燃費・低価格」「安全・安心の基本性能と装備」「力強さと先進性を表現したデザイン」「日常にジャストフィットする快適装備」の4点を特徴として説明。

 また、「+αの魅力」として、軽量化や走行抵抗の低減といった技術で“燃費の原資”を作り上げたうえで、走行性能などにその“原資”を充当。従来どおりの最高35.2km/LというJC08モード燃費を維持しつつ、初代ミラ イースのユーザーから要望が多かった発進や追い越し時の加速性能を向上。アクセル操作に対してリニアな加速感が得られるようになり、ストレスのない安心できる走りを実現しているという。

初代ミラ イースが発売された2011年から、6年の歳月で社会情勢も大きく変化。低燃費はすでに当たり前の要素になっているという
「超深化エコ&スマート」を商品コンセプトに、安心感などの「+αの魅力」を「良品廉価なクルマづくり」で実現
新型ミラ イースが持つ4つの特徴
樹脂バックドアの内製化など、生産面からも軽量化を推し進めた
“燃費の原資”を走行性能の向上などに使い、従来と同じJC08モード燃費を維持しつつ、加速性能などを高めた
約80kg軽量化した項目の内訳
「ムーヴ」からスタートした軽量高剛性ボディ「Dモノコック」は、ミラ イース向けに軽量化を追求したチューニングが施されているという
足まわりでも軽量化を追求
樹脂パーツの採用拡大で軽量化とともにデザイン性を高めている
空気抵抗は初代モデルから3%低減した
「減孔ボディ」などの技術で静粛性も向上させている
ベーシックモデルとして低価格、低燃費をしっかりとキープしている
CVT制御の最適化などで加速性能をアップ
GやXといった上級グレードでは「超飽和バルブ」と専用ベースバルブを組み合わせて軽自動車で初採用
軽量化と座り心地の向上を目指した新開発の「軽量骨格シート」を採用
パッケージングでは室内長を25mm拡大
「スマートアシストIII」や「コーナーセンサー」の採用などで安全性を高めた
リアコンビネーションランプは全車LEDタイプ
外観では「シンプルで無駄のない形」をさらに進化
新色の「スカイブルーメタリック」など計9色をボディカラーに採用
ラゲッジスペースの使い勝手を向上させる「ビジネスデッキボード」をBグレードに標準装備する
インテリアでは上質感を高め、メーターは全車デジタルメーターを採用する
ビジネスユースを意識したBグレード。13インチのスチールホイールは国内最軽量という
リアシートのドアはウィンドウガラスが固定式となる
段差をなくし、丈夫で汚れに強い樹脂パネルを使うビジネスデッキボード。女性などが重い段ボール箱などの荷物を押し込んだり引き出したりするときに便利な装備とのこと
会場内にDモノコックを展示
KF型エンジンは最高出力36kW(49PS)/6800rpm、最大トルク57Nm(5.8kgm)/5200rpmを発生
バックドアの「スイッチ式バックドアオープナー」は軽自動車で初の装備となる
ハロゲン式ヘッドライト
新開発のLED式ヘッドライト
全車LEDリアコンビネーションランプを標準装備
「スマートアシストIII」の小型ステレオカメラ
スマートアシストIIIの採用車はフロント2カ所、リア2カ所にコーナーセンサーを装着
ワイパーにはフラットブレードワイパーを使い、ボンネットのフードヒンジカバーにフィンを設定。前後のタイヤにディフレクターを装備して空力性能を高めている
Gに標準装備される14インチアルミホイール。タイヤはブリヂストン、ヨコハマタイヤ、ダンロップ(住友ゴム工業)の3社から供給される
Gのインパネ。ステアリングは新設計によりグリップ径が太くなっている
メーターは「ブルーイルミネーションメーター」(左)と「アンバーイルミネーションメーター」(右)の2種類
シート表皮は全車ファブリック
後席のシートバックは一体で前方に倒れ、ラゲッジスペースを拡大可能
左右のロックを解除してシートバックを可倒させる
フロアボード下に収納スペースを設定