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ダイハツ、最大80kgの軽量化を果たし、最高燃費35.2km/Lの新型軽乗用車「ミラ イース」

「Dモノコック」「スマートアシストIII」採用の“DNGAの原点”になるモデル

2017年5月9日 発売

84万2400円~133万9200円

新型軽自動車「ミラ イース」

 ダイハツ工業は5月9日、新型軽自動車「ミラ イース(Mira e:S)」をフルモデルチェンジして発売した。価格は84万2400円~133万9200円。JC08モード燃費は2WD(FF)車が34.2km/L~35.2km/L、4WD車が32.2km/Lで、全車が自動車重量税、自動車取得税の免税(100%減税)対象車となっている。

モデルエンジン変速機駆動方式価格JC08モード燃費
B直列3気筒 DOHC 0.66リッターCVT2WD(FF)842,400円35.2km/L
4WD972,000円32.2km/L
B“SAIII”2WD(FF)907,200円35.2km/L
4WD1,036,800円32.2km/L
L2WD(FF)874,800円35.2km/L
4WD1,004,400円32.2km/L
L“SAIII”2WD(FF)939,600円35.2km/L
4WD1,069,200円32.2km/L
X“SAIII”2WD(FF)1,080,000円34.2km/L
4WD1,209,600円32.2km/L
G“SAIII”2WD(FF)1,209,600円34.2km/L
4WD1,339,200円32.2km/L
G“SAIII”
X“SAIII”
L“SAIII”
B“SAIII”
X“SAIII”
L

 2011年9月に軽乗用車「ミラ」の派生モデルとしてデビューした初代ミラ イースは、ダイハツの低燃費技術「e:Sテクノロジー(Energy Saving Technology)」を採用。電動アシストを利用しない純粋なガソリンエンジン車ながら、当初からJC08モード燃費で最高30km/Lを達成。その後も33.4km/L、35.2km/Lと燃費の数値を高めていき、ハイブリッドカーやEV(電気自動車)に続く「第3のエコカー」として人気を集めた。

 初のモデルチェンジとなる2代目ミラ イースでは、初代からe:Sテクノロジーを踏襲し、その後の軽自動車作りで積み重ねてきた軽量高剛性ボディ「Dモノコック」、先進安全装備となる「スマートアシストIII」などの技術を採用。ダイハツが今後目指していく“ユーザーオリエンテッドなクルマづくり”に向けた独自の事業構造「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の原点となるモデルに位置付けられ、この2代目ミラ イースに続いて今後市場投入される新プラットフォーム採用の軽自動車が「DNGA第1弾」になるという。

 また、初代モデルでも大きなアピールポイントとなっていた価格の安さにも引き続きこだわり、ほかの軽自動車で進められている複数の内外装スタイルによって多彩なユーザーに受け入れられることを目指すデザイン戦略を敢えて封印。パーツをできるだけ共通化することでスケールメリットを高め、Dモノコックなどの採用で基本性能を高めつつも車両価格の上昇を抑えている。

ボディサイズは3395×1475×1500mm(2WD車の全長×全幅×全高。4WD車の全高は1510mm)で、ホイールベースは2455mm。車両重量は650kg~740kgとなる

 外観デザインではこれまでの「シンプルで無駄のない形」を進化させ、シャープでコントラストの強い立体造形で新しい時代に合うような「力強さ」と「先進性」を表現。フロントマスクではノーズを長く見せ、バンパーからドアまでを連続させた形状で存在感や安心感を演出する。サイドには水平基調のベルトラインと前後に続く立体的なドア断面を与え、伸びやかさで「知的で凜とした佇まい」を表現し、フロントバンパーからサイドのエアロスカート風のアンダー形状で重心の低さとワイド感のある見え方としている。

ボディ各部のデザインで空気の流れを考慮し、フィン形状のボンネットヒンジカバーやスポイラー類の装着によって後流渦をコントロール。初代モデルから空気抵抗を3%低減させている

 また、外装パーツではフロントフェンダー、バックドア、Cピラーガーニッシュなどを樹脂製として軽量化したほか、バックドアはダイハツ九州の大分(中津)第2工場に生産工場を新設して内製化。ルーフスポイラーまで一体成形が可能になり、部品を追加することなく空力性能の向上が図れるようになった。

 このほかにもボンネットフードのヒンジカバーをフィン形状にして、整流効果の高いドアミラー形状を採用。4輪にタイヤディフレクターを設置し、フラットブレードワイパーを使用するといった空力デザインによって空気抵抗を初代モデルから3%低減。Cd値で0.30を下まわる数値にしているという。

 ヘッドライトはハロゲン式のほか、G“SAIII”とX“SAIII”では新開発のLED式を標準装備してシャープなデザインと夜間走行でのクリアな視界を実現。リアコンビネーションランプは全車LEDを採用している。

 ボディカラーにはコントラストの強い立体造形を際立たせるために新開発した「スカイブルーメタリック」を設定。このほかにもメタリック調のカラーにこだわり全9色を設定している。

ヘッドライトはハロゲン式(左)のほか、新開発のLED式(中央)をG“SAIII”とX“SAIII”に標準装備。ロービームにLED4灯、ハイビームにLED2灯を使用する
LEDリアコンビネーションランプを全車で採用。横並びのブレーキランプでワイド感を高めている
新色の「スカイブルーメタリック」
「スプラッシュブルーメタリック」
「レモンスカッシュクリスタルメタリック」
「マゼンタベリーマイカメタリック」
「プラムブラウンクリスタルマイカ」
「ブラックマイカメタリック」
「ブライトシルバーメタリック」
「パールホワイトIII」
「ホワイト」

 軽量高剛性ボディのDモノコックを採用したシャシー面では、このほかにも樹脂製の外装パネルや燃料タンクの採用、新規開発した“国内最軽量”という13インチスチールホイールと専用の軽量13インチタイヤの導入、足まわりパーツの最適設計、インパネ樹脂内部の支柱(PPメンバー)の薄肉化、パーツの小型化や材質の見直しなどを行なった新軽量骨格シートの採用などにより、初代モデルから最大で80kgの軽量化を達成。大まかな内訳はDモノコックで35kg、内外装パーツで30kg、足まわりで15kgとなっている。

 この軽量ボディと組み合わされるパワートレーンには直列3気筒DOHC 0.66リッターのKF型エンジン(最高出力36kW[49PS]/6800rpm、最大トルク57Nm[5.8kgm]/5200rpm)とCVTの組み合わせを引き続き搭載。CVTケースを薄肉化して重量を軽くし、オルタネーターベルトのフリクションを低減してエネルギー効率の向上を図っている。また、JC08モード燃費の計測値には影響しない部分だが、エアコンのコンプレッサーに動力損失の少ないスクロール式を採用しており、灯火類のLED化などの省電力化と合わせて日常シーンでの燃費を向上させる取り組みを行なっている。

 2代目ミラ イースでは大幅な軽量化と空気抵抗の低減で生まれた動力面のマージンを「走りの質」を高めるために使用。これまでは燃費を重視していたアクセル操作に対するスロットル開度と変速線図の設定を見直し、キックダウンしたときの変速制御の最適化、新世代ECUの採用、エンジンとCVTの協調制御の高度化などを行なって加速性能を向上。具体例として信号待ちからアクセル半開での発進加速で5秒後に自車1台分に近い3mの差が出ることや、高速道路などの本線合流をイメージした40km/h~80km/hの加速を0.6秒早く完了させることを挙げている。

 また、電動パワステではステアリングギヤのフリクションを低減し、EPS制御のチューニングをして素直なハンドリングを実現。足まわりではバネ形状やブッシュ特性を最適化し、G“SAIII”とX“SAIII”ではフロント側のショックアブソーバーにカヤバ製の専用ダンパーを装備。シリンダー径を25mmから30mmにサイズアップしたほか、超飽和バルブと専用ベースバルブを組み合わせて軽自動車で初めて採用。これにより、低速走行時などのタイヤに対する入力スピードが遅いときはしなやかに動いて乗り心地を高め、中・高速域に入ってからはサスペンションの収縮を一定内にコントロールして引き締まったフラット感のある走りを実現する。

「Dモノコック」ではサイドアウターパネルの全面に厚板ハイテン材を使用。また、ボディ全体でのつながりを重視した設計としており、剛性の強化によって走行性能や乗り心地を高め、部品点数の削減で軽量化やコスト低減なども果たしている
現在では初代モデルの登場時のような燃費に対する重要度の高さがなくなっているとの市場分析から、これまでのJC08モード燃費の最高値を下まわらない範囲で、軽量化や空力性能の改善分を加速性能の向上に充てて「走りの質」を高めた
最小回転半径はこれまでと同じ4.4m
フロントウィンドウ内側の小型ステレオカメラで歩行者なども検知できる「スマートアシストIII」を採用

 安全装備では、これまでのレーザーレーダーを使った「スマートアシスト」から小型ステレオカメラで歩行者なども検知できるスマートアシストIIIに進化。アシストの作動する速度域や対象物が広がり、さらに「被害軽減ブレーキアシスト」「車線逸脱警報機能」「後方誤発進抑制制御機能」「オートハイビーム」などの機能が追加され、安全性を高めた。
また、グレード名に“SAIII”と付くモデルでは、軽自動車で初めてフロント2カ所、リア2カ所にコーナーセンサーを装着。メーター内の表示とブザー音で障害物との接近具合を教えてくれる。

「衝突警報機能」(対車両・対歩行者)、「衝突回避支援ブレーキ機能」(対車両・対歩行者)
「車線逸脱警報機能」
「オートハイビーム」
前方の「誤発進抑制制御機能」には小型ステレオカメラを使用
後方の誤発進抑制制御機能に使うソナーセンサーは、誤発進抑制用の中距離タイプの音波、コーナーセンサー用の短距離タイプの音波を交互に発し、1つのセンサーで役割を兼務する
「先行車発進お知らせ機能」
前後のバンパーコーナーにセンサーを装着
メーター内の表示とブザー音で障害物との接近を知らせる

 車内では室内長を25mm拡大。フロントシートは異硬化ウレタン材をクッションに使い、各部材を小型化して座り心地を向上。また、フロア形状とシートレールの配置を最適化することでも座り心地を高めている。さらに運転席はストレスなくドライブが続けられるよう、ステアリングの取り付け角度を調整しつつ20.0mm手前に近づけ、アクセルペダルも扱いやすいよう角度調整を変更して12.7mm前進させてドライビングポジションの最適化を図った。ステアリングはグリップ径を太くして、手触り感のいい革シボを設定している。

 このほか、メーターパネルは白色LEDを使った自発光式デジタルメーターを全車に装着。メーター左側に車速を大きく数字で表示し、右側には燃費スコアやメンテナンス関連情報などを表示する「TFTマルチインフォメーションディスプレイ」をレイアウト。また、メーター外周のイルミネーションの発光で運転の低燃費度合いを示す「エコドライブアシスト照明」を全車で採用する。装備では軽自動車で初めて「スイッチ式バックドアオープナー」をバックドアに標準装備した。

インパネは水平基調のデザイン。ブラックをベースにしたシンプルなインテリアで無駄のない空間を演出している
キャブフォワード化で室内長を25mm拡大。大人4人がゆったりと乗れるスペースとしている
チルト機構を備えるステアリングはグリップ径を太くした
G“SAIII”とX“SAIII”の「ブルーイルミネーションメーター(メッキベゼル付)」
LとB(“SAIII”を含む)の「アンバーイルミネーションメーター」
「TFTマルチインフォメーションディスプレイの表示内容。写真は「平均燃費」
「アイドルストップ積算」
「メンテナンスのお知らせ」
ブレーキとアクセルが同時に踏まれたときに表示される「操作アドバイス」
「舵角モニター」
「半ドア警告」
G“SAIII”のインパネ。このグレードのみエアコンがオート(プッシュ式)となる
X“SAIII”のインパネ。G“SAIII”とX“SAIII”はインパネやシートがライトグレーで2トーン化される
L“SAIII”のインパネ
G“SAIII”とX“SAIII”はリアシートにヘッドレストを標準装備(写真はX“SAIII”)
LやBの各グレードはリアシートのヘッドレストがオプション設定となる(写真はB“SAIII”)
バックドアに軽自動車で初めて「スイッチ式バックドアオープナー」を採用
定員乗車時のラゲッジスペース。後席シートバックは一体で前方に倒せる
ビジネス用途向けのBグレードはラゲッジスペースをフラット化し、ビニール表皮の硬質ボードで使い勝手を高める「ビジネスデッキボード」(右)を標準装備。ほかのグレードでもオプション選択できる
「運転席シートリフター」(左)と「シートヒーター(運転席/助手席)」(中央)はG“SAIII”だけの専用装備
全車オーディオレスが標準仕様となり、「インテグレードCD・AM/FMラジオ・AUX端子」(1万800円高)をオプション設定する
車内には多彩な収納スペースを設定
助手席の前方にある横長の「インパネロングアッパートレイ」
「グローブボックス」
ボックスティッシュも置ける「センターフロアトレイ」。ボックスティッシュの下にスマートフォンなどを忍ばせることもできる
耐荷重3kgの「ショッピングフック」
運転席と助手席の前方に「掘込み式インパネドリンクホルダー」を設定
「ドアポケット」(フロント)
「ドアポケット&ボトルホルダー」(リア)