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“新・みんなのエコカー”ダイハツ「ミラ イース」の進化を検証! 実燃費は何km/L!? 東京~関西間で実走行燃費を計測してみた

「新・みんなのエコカー」というキャッチコピーを掲げて、デザインはより上質に、走りは賢く丁寧に、快適装備や安全装備もグレードアップして登場した新型「ミラ イース」。ダイハツらしいクルマづくりを実現するための事業構造「DNGA」の原点を確立するモデルとして並々ならぬこだわりが感じられる最新のベーシック軽自動車となっている。これまで一般道や高速道路で試乗して、そのよさは十分に実感していたけれど、2時間程度のチョイ乗り。もっと長く乗って、新型ミラ イースの実力を試してみたいなぁ、と思っていたのだった。

 そんな時に編集部から舞い込んできたのが、「6年前に先代ミラ イースで行なった、ロングラン燃費(前編後編)の新型版にチャレンジしてみませんか?」というお誘い。「何それ、面白そう!」と私はもちろん、即答でOK。もともとロングドライブは大好きで、日本のみならずロシア3000km、フランス~モロッコ8000kmなんて体験もある私。燃費計測では他メーカーのクルマではあるが、東京~福島、東京~熊本などを1人で走った過去がある。やっぱり長い距離と時間を共にすると、第一印象とはまた別の顔が見えてきたりするもので、とても味わい深い体験になるというのがこれまでの感想だ。新型ミラ イースはいったいどんな顔を見せてくれるのか? かなり興味津々!

 今回のコースは、先代の時と同じく東京~京都という片道約500km。可能な範囲で条件を合わせつつ、前回と違うポイントが1つある。それは、6年前はまだなかった新東名の110km/h規制試行区間を通り、しっかり110km/h巡行をしてみようという試み。そして、ロングドライブなら適度に休憩を取り、通過する土地の名物を食べたりして楽しみながら目的地を目指すのが一般的な走り方でしょう、ということで、燃費重視と言えども1~2時間を目安にSA(サービスエリア)などに立ち寄ることに。つまり、単純に先代と比べて新型ミラ イースがどの程度進化しているのかを見るだけでなく、時代の変化にも即したさまざまな条件下で実用燃費を比較してみよう、というのがメインテーマとなっている。

 そしてこの旅をサポートしてくれる仲間たちをご紹介。まず新型ミラ イースの助手席に乗ってコ・ドライバー役を務めてくれるのが、メーカー代表としてダイハツ広報・渉外室の井上さん。カメラカー兼サポートカーとして同行する「ムーヴ」には、カメラマン堤さん、Car Watch編集部北村さん、営業部の方がスタンバイ。ドライバーの私を含めた5人で、和気あいあいと京都を目指すこととなった。

 が、実は当初予定していた日程は、その数日前に降った数年ぶりという大雪の影響でキャンセルに! 安全最優先ということで、乱れていた道路状況がほぼ通常に戻り、予定している行程全てに雪の影響がないことを確認して、ようやく決行できたのは数週間後だった。ところが再び関東は大寒波に襲われ、なんと当日朝の気温は東京でも-2℃。予報では日中の最高気温も5℃くらいまでしか上がらないという、まれにみる寒さの中での走行となってしまった。一般的に過度の寒さ・暑さはクルマへの負担が大きくなってしまうので、その影響が結果にどう出るのか……。それだけが不安要素ではあったが、それも含めてリアルなレポートをお届けしたい。

今回用いた車両は新型「ミラ イース」の「G“SA III”」。ボディサイズは3395×1475×1500mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2455mm、車両重量は670kgの2WDモデル。タイヤは155/65 R14サイズのダンロップ製「エナセーブ」を装着し、JC08モード燃費は34.2km/L。なお、2WDで155/70R13のタイヤを装着するグレードのJC08モード燃費は35.2km/L、4WDではグレード・タイヤサイズに関わらず32.2km/Lとなる
搭載する直列3気筒DOHC 0.6リッターエンジンは、最高出力36kW(49PS)/6800rpm、最大トルク57Nm(5.8kgm)/5200rpmを発生。トランスミッションにはCVTを組み合わせる。ガソリンタンク容量は2WDモデルで28L
衝突回避支援システム「スマートアシストIII」を標準装備
風の抵抗を減らすデザインや空力パーツの装着で、従来のミラ イースから-3%の空気抵抗値を達成した
新型ミラ イース G“SA III”のインテリア。収納スペースが充実しており、機能的に使える
燃費のいい運転をするとイルミネーションの色がグリーンに変化する「エコドライブアシスト照明」が付いた自発光式デジタルメーター。TFTマルチインフォメーションディスプレイと共に、エコドライブの強い味方になってくれる
タイヤ空気圧は規定どおり、前後260kPaに合わせて走行に臨んだ
寒波到来の対策としてAutoSockを準備。幸いにして出番はなかった

いざ、京都へ向けてスタート!

今回走ったルートはコチラ。距離は約462km

 スタート地点となる第三京浜道路 玉川IC(インターチェンジ)付近のガソリンスタンドに集合したのは、朝7時ごろ。きっちりと満タンまで給油し、新型ミラ イースのメーター内に表示される燃費計がリセットされていることを確認して、いよいよ出発だ。なお、燃費計測は先代モデルと比較しやすいよう、前回同様に一般道・上り・下り・高速道路と区間ごとに分けて行なうこととした。そして走り方の約束事として、あくまで普通に使ってみてどうかという実用燃費を出すため、キチキチの超エコランはNG。丁寧な操作を心がけながら、法定速度の範囲内でまわりのクルマのペースに合わせて走行しようということになった。

新型ミラ イースはエンジンONからOFFまでの平均燃費数値がメーターに表示される。旧型では別途後付け燃費モニターを追加して区間燃費を計測したが、今回はメーター上に表示される数値を元に区間燃費を算出。ある程度まとまった距離を走る区間に関しては、前回と同様に満タン法にて燃費を計測した。なので、出発前にガソリンを満タンにして、メーターもリセット
いざ出発!

 ガソリンスタンドを出てまず向かったのは、第三京浜道路。そこから横浜新道の戸塚PA(パーキングエリア)まで、約25kmの区間を計測だ。朝の環状八号はなかなかの交通量だったが、渋滞にはつかまらずに玉川ICへ滑り込む。発進から軽やかで、アクセルのON/OFFを頻繁に繰り返すようなシーンでも、まったくもたつきなくスムーズで気持ちがいい新型ミラ イース。今回からパワーユニットに新世代ECUを採用して、CVTの制御機能もエンジン制御コンピューターに統合している。スロットル開度や変速線図を見直し、エンジンとCVTの協調制御を最適化しているので、こちらの意図と寸分違わぬリニアな加速性能が得られるのだ。それに先代比で約80kgの軽量化のおかげもあって、制限速度80km/hの第三京浜、70km/hの横浜新道でも余裕たっぷりのクルージング。目の前の燃費計もグングンと数値が上がっていくから、こりゃちょっと、いきなりブッチギリなんじゃないの?

<玉川IC付近~戸塚PA(約25km)>
新型:30.9km/L
旧型:23.9km/L

まずは第三京浜道路の玉川IC(インターチェンジ)から戸塚PA(パーキングエリア)へ向かう
快調に走る新型ミラ イース
戸塚PAまでの燃費は30.9km/Lを達成!

 いや~、しょっぱなからの30.0km/L超えには、一同ビックリ! 正直なところ、先代よりいい数値が出ることは確信していたけど、こんなに引き離すとは想像以上。特別なテクニックなんて何にも使ってないし、道中ずっと井上さんと楽しく会話しながら走っていただけなのに、早くも新型の実力を見せつけてくれた感じだ。ちょっと肩の荷が下りて、私の気分も急上昇。次は国道1号で小田原漁港を目指す。この調子で一般道でも圧勝しちゃうぞ~。

 なんて意気揚々と出発したまではよかったが、なんとここでまさかの渋滞発生! 下り線だから大丈夫だろうと安心していたのに、年度末に向けての工事で片側交互通行だったり、救急車がやってきて路肩に停止することになったり、挙げ句の果てには右折車線がないところで右折車が後続をせき止めていたり。そのたびに低下していく燃費計に、私の心臓もドックンドックンと早打ちに……。

 しかし、新型のアイドリングストップは速度が約11km/hになるとエンジンを停止し、アクセル・ブレーキ・ステアリング操作などの運転状況や道路勾配などから総合的に判断して、燃料カットと合わせて極限まで燃料消費を抑えてくれる「エコアイドル」。これが絶妙に作動しつつ、再始動もスムーズで運転になんの違和感もないという賢さで、燃費計の数値も1つ下がって2つ上がる、みたいなリカバリー力を発揮していることに気がついた。そして小田原漁港に到着してみれば、さっきと大差ない結果に!

<戸塚PA~小田原漁港(約55km)>
新型:29.3km/L
旧型:24.9km/L

国道1号に入ってすぐ、ちょうど通勤時間帯とも重なり渋滞にはまってしまった
渋滞を抜けると富士山がきれいに見え、なんだか幸先いい気持ちに
小田原漁港までの燃費は29.3km/Lを達成!

 あれだけの渋滞にハマりながらもこの数値。これなら普段、買い物や送り迎えで近所をチョイ乗りするような使い方でも、なかなかの実用燃費が期待できるはず。しかも大人2名乗車+荷物での数値だから、1人ならもっとよくなるに違いない。

 さて、せっかく小田原漁港に来たのだから、ここでちょっと「小田原さかなセンター」に寄り道を。ここにはテレビなどで紹介されて話題沸騰、インスタ映えバツグンの名物「丸焼きタコせんべい」のお店「丸焼きせんべい 小田原店」があるのだ。休日ともなれば行列ができるというこちらのお店では、目の前で生のタコをプレスして、できたてのせんべいを手渡してくれる。約2tの圧力がかかるというプレス機から、プシューッと上がる湯気にテンションアップ。キュ~~と独特の音が鳴るのは、奥様曰く「タコが熱いよ~、重いよ~って言ってるんですよ」。一瞬「えっ!」と真顔になってしまった私に、奥様は明るい笑顔で「冗談ですよ~」って、もう~。そんなやりとりで爆笑している間に、私の顔よりずっと大きな丸焼きタコせんべいの完成。「風が吹くと折れちゃうから気をつけて食べてくださいね」と言われつつ、パクッと食いつくとサクッとまぁ、いい音とともに香ばしさが口の中を占拠。そしてタコの旨味がジュワっと広がって美味しい! パリパリサクサク、もう止まらなくなったのでした。

気持ちのよい太陽の光を受けつつ、小田原漁港にある小田原さかなセンターに到着!
粉を付けたタコを並べて
ハンドルをぐるぐる回して圧力をかけると……
湯気とともに「キュ~~ッ」というタコの悲鳴(?)が聞こえてくる
待つこと数分。丸焼きタコせんべいが完成!ダイハツの井上さん(左)と記念撮影
今回は特別に、プレスされたそのままの丸焼きタコせんべいをいただけることに。2人分の顔よりも大きい
こちらがカットされた1枚サイズの丸焼きタコせんべい(350円)。それでもこのボリューム!
薄焼きのタコせんべいはしっかりと味が付いている。できたては格段においしい

 さぁ、美味しいオヤツに大満足した後は、この旅のハイライトの1つ、箱根越えが待っている。小田原漁港から再び国道1号で、最高地点到達までの区間を計測だ。若干の下りもあるが、約20kmがほぼ上りという難関だ。

 出だしはもちろん順調そのもの。よしよしこれなら楽勝だ、と思いながら走っていた私だったが、いくつ目かの信号待ちでふと気がついてしまった。あれ?アイドリングストップしていない!故障か!? いやそうじゃない。外気温計を見ると2℃。おそらくこの寒さのせいだろうが、これはちょっと痛い誤算だ。まぁ本格的な上り坂に入ってしまえば信号もないし、スイスイ行けるからそれほど影響はないはず、と思いきや、またここでも工事。そしてカーブになると極端に速度を落とす大型トラックにも阻まれて、なかなかもどかしい状況に。

 でも、そんな中で際立つのは、勾配がきつくなってきてもアクセルを深く踏み込むことなく、滑らかに加速できる新型ミラ イースの進化だ。やっぱりこれも、エンジンとCVTの協調制御がとっても賢いからに違いない。それに、ヘアピンのようなきついカーブでのステアリングフィールが自然で、無駄な操作をしなくてもいいことや、タイヤから伝わる抵抗が小さく感じるからアクセル操作も穏やかにできる。新型にはドライバーが無意識に無駄な操作をしないよう、感覚的にサポートしてくれる効果もあるように感じた。

 そんなこんなで標高874mの国道1号最高地点にたどり着いてみると、なんとか先代と同等燃費は保持で、ここは引き分けだ。

<小田原漁港~国道1号最高地点(約20km)>
新型:13.2km/L
旧型:13.2km/L

箱根越えをするため、国道1号をぐんぐん上る。山道でも新型ミラ イースは快適に走る
国道1号の最高地点に到達
燃費は先代モデルと同じ13.2km/L

 うーん、条件がもう少しよければもっと燃費を稼げたのが確実なだけに、これはただただ残念。井上さんもちょっと悔しそう。ここからの長い下り区間で、一気に巻き返しを図りましょうと2人で意気込み、次は標高70mほどの東駿河湾環状道路・三島塚原ICを目指して、いざスタート。

 下り坂ではいったん走り出したらアクセルオフで、なるべくブレーキを踏む回数を減らし、ステアリングをこじったりしないようにするのが燃費を稼ぐコツ。14インチタイヤでも先代より転がり抵抗がさらによくなった新型は、爽快にスイスイと軽やかに走ってくれる。燃費計もグングンと上がって、なんと途中では68km/Lをマーク! ところどころに現れる平地やゆるい上り坂では、しっかりとアクセルを踏んでいたにも関わらずこの数値だから、井上さんと「これはすごい! このままだと70km/L超えもイケそうだ~」と盛り上がる。しかしそれも束の間。なんだか前走車の流れが詰まってきたゾと思っていたら、先頭に30km/hくらいで走るダンプカーがいるではないか。そこからはまさかのノロノロ渋滞。せっかくの見せ場のはずが……初めて先代に負けるという事態になってしまったのだった。

<国道1号最高地点~三島塚原IC(約21km)>
新型:55.1km/L
旧型:56.6km/L

箱根からの下りでまさかのノロノロ渋滞にはまってしまい、燃費は55.1km/Lと先代との比較で初めて及ばない結果に。なお、TFTマルチインフォメーションディスプレイには、エンジンOFF直後に「走行時間」「距離」「アイドルストップによる節約燃料」「スコア」「今回燃料」「平均車速」が表示される。この区間は下り中心だったのでスコアは「VERY GOOD!」。こんな仕掛けがあるとついエコドライブしたくなる

 これは悔しい! でもこればっかりは仕方ない。というか、こうした峠越えでの先代の凄さに改めて脱帽。こうしたベースがあったからこそ、新型がいいクルマになったのだなぁと、しみじみ実感したのだった。そしてここがちょうどこの旅の中間地点ということで、ガソリンスタンドで満タンに。ここまでの平均燃費を満タン法で計測してみると、トータルでは圧勝となった。

<中間地点(三島塚原IC付近)満タン法計測>
総走行距離109.3km/給油量3.66L
新型:29.9km/L
旧型:21.1km/L

これまで約109kmを走行して、給油量は3.66L。さすがの低燃費

 一般道では渋滞にハマり、箱根越えまでしているのに30.0km/Lに迫る燃費とは! これで下り区間が空いていたら、いったいどこまで伸びたものやら、その偉大なる可能性を感じさせてくれただけでも、さすが新型だ。

新東名の110km/h規制試行区間で、新型ミラ イースの燃費はどうなる!?

 さて、ここからは高速道路で一気に京都まで。最初の第三京浜から横浜新道でいきなりいい数値を出したことからも、新型が街乗りスペシャルチューンではなく、高速も得意とすることは体感済みだ。ただ、今回は新東名で110km/h規制試行区間を走るという特別企画も待っている。一般的にどんなクルマも、速度を上げるほど空気抵抗の負荷が速度の二乗に比例して高くなり、燃費に悪影響を及ぼしてしまう。だから高速を低燃費で走るには、まわりに迷惑にならない程度の80km/hキープというのが基本だ。今回の110km/h規制試行区間がどのくらい影響するのか、そのあたりも楽しみなところ。

 新型ミラ イースは伊豆縦貫自動車道を経由して、長泉沼津ICから新東名高速道路に入り、緩やかな上りやカーブの多い区間へ。ここで改めて感じるのは、軽やかなフィーリングの中にもシッカリとしたボディ剛性があり、直進安定性がいいどころか路面のギャップによるガタピシ感がまったくないこと。井上さんによれば、「新型ミラ イースでは『見て・触って・乗って感じるクルマのあるべき姿』をコンセプトに開発を行ないました。ダイハツらしい性能を引き出すため、専門チームが徹底的に評価を行なっています」とのこと。今回のサポートカーであるムーヴから導入したDモノコックにしても、構造そのものは同じだが、これまでは生産過程での作業効率を考えて空けられていた穴を、工場に掛け合って減らせるところは減らし、1つずつ埋めていくことで騒音や振動を改善したという。新型ミラ イースで埋めた穴の総面積は先代比で約-15%にもなり、その効果は確実に乗り手にも感じられる。

 それに、新型ミラ イースにはほぼ全てのグレードに最新の予防安全技術「スマートアシストIII」が装備されているが、うっかり白線を越えそうになると、60km/h以上で作動する車線逸脱警報機能がピピピピッ。「ちゃんとアナタのことを見守ってますよ」と言われているようで、とっても頼もしい。ボディ剛性アップやアクセル・ステアリング等の的確な操作は、そうした安全技術を確実に作動させるためにも欠かせないものだけに、総合的な安心感や快適性は従来と比べ物にならないほど進化していると実感したのだった。

伊豆縦貫自動車道を経由し、富士山に見送られながら新東名高速道路に向かう
長泉沼津ICから新東名に入り、京都を目指す
コ・ドライバー役を務めていただいたダイハツ工業株式会社 広報・渉外室の井上和樹さん。車内で新型ミラ イースの進化のポイントなどについて解説をうかがいつつ、同行いただいた

 高速域でもシートの座り心地がいいなぁ、なんてことも感じつつ、快調そのものの新型ミラ イース。新東名の新静岡ICから森掛川ICまでは、待望の110km/h区間となる。今のところ32.0km/L台を叩き出している新型ミラ イースは、どこまで粘れるだろうか。私自身、初めて110km/h区間を走ったのだが、まわりのクルマがみんな110km/hで走っているかというとそんなことはなく、左の走行車線はおおむね90km/h~100km/hくらいで流れている。そのため頻繁に追越車線を使って遅いクルマを交わしながら、できる限り110km/hで走ってみた。その結果はメーター上で26.8km/L~27.2km/Lあたりを行ったり来たりという燃費で、思ったよりぜんぜん立派な数値。やっぱり、80kgの軽量化に加えて、空気抵抗値も先代より-3%を達成している新型は、高速道路もガンガン走れる実力を携えていたのだった。

新静岡ICから森掛川ICまでの約50kmが110km/h規制試行区間となる
速度規制試行区間でも、新型ミラ イースの実力は想像以上

 この結果に満足したところで、小休止を兼ねてスナックタイム。長篠設楽原PAに立ち寄って、井上さんも楽しみにしていたという「わらじ揚げ」をいただくことに。鶏肉を大きく開いてパリッと揚げたわらじ揚げは、ニンニクと醤油の香りが食欲をそそる。恥ずかしがらずにかぶりつくと、サクッとした食感の後にジューシーで柔らかい鶏肉の美味しいこと! これまた後引くお味でした。

「わらじ揚げ」は大きな鶏肉をまるまる1枚揚げたもの。ボリュームたっぷりでドライバー側のパワーを補充!

 さて、そろそろ新東名も終わり、続いて伊勢湾岸自動車道へ入る。ここからはトイレ休憩のみで京都まで一直線。新名神をちらりとかすめて、渋滞が発生しはじめた名神高速道路の京都南ICを降りたのは18時ごろ。すっかり日も暮れてしまったが、冬の夜空に美しく輝く京都タワーに出迎えられて、じわじわとゴールの喜びが込み上げてきた。さぁ、ここで最後の給油。高速道路区間の平均燃費はいかに!

<三島塚原IC~京都>
新型(新東名):32.2km/L
旧型(東名):23.1km/L

徐々に日が傾き、夕焼けから黄昏時に変わるころ、京都南ICを降りた

 やりました、JC08モードの34.2km/Lにも迫る好結果! 2名乗車で、110km/h区間が50kmほどあったことを含めると、これは素晴らしい数値と言っていいだろう。私は普通に運転していただけで、何も特別なことはしていないから、ほぼ100%新型ミラ イースの実力だ。コ・ドライバー役をしっかり果たしてくれた井上さんにも、感謝感謝である。心地よい達成感に包まれながら、私と井上さんはここで帰京となった。

途中で3回の休憩を挟みつつ、三島塚原IC付近から約353kmを走破! メーター上ではまだ半分以上のガソリン残量があり、給油できたのは10.98Lだった
京都タワーを背に。新型ミラ イースの燃費性能を実感できました!

 でも実は、天候など条件がよければ復路も燃費計測を行なってみよう、と言っていた欲張りな編集部。軽量級のCar Watch編集部 北村さん、重量級の営業部の方が交代でドライバーを務め、1名乗車で帰路を走ったそう。

クルマ大好き、運転大好き、新しい道路も大好きなCar Watch取材班。翌日は京都からさらに西へと走り、兵庫県の新名神高速道路 川西ICをスタート。ここから約500kmを走行した
2018年3月末に予定されている神戸JCT(ジャンクション)~川西IC間の開通準備と思われる工事が着々と進んでいた。取材時はまだ交通量は少なかったが、新名神の神戸区間全通後は、関西の渋滞ポイントとして有名な中国自動車道の“宝塚渋滞”を避けるクルマで交通量は増えるだろう
快晴の中、新型ミラ イースで一路東京を目指す
高槻JCTから名神高速へ。ここから京滋バイパスを使う選択肢もあるが、そのまま名神高速を通って草津JCTから再び新名神を通るルートに
しかし、これが大失敗! 京都東IC付近で完全停車してしまうほどの大渋滞に巻き込まれてしまった……
新名神に入ってからは順調に流れ、途中3回の休憩とドライバー交代を挟みつつ、新名神~西名阪自動車道~伊勢湾岸自動車道~新東名というルートで東京を目指した
とっぷりと日が暮れたころ、東京ICへ到着
途中のドライバー交代の際には、メーター上でJC08モード燃費を超える数値を見ることができた

<復路満タン法計測>
総走行距離492.5km/給油量13.99L
新型:35.2km/L(川西IC~東京IC)
旧型:33.69km/L(京都~東京)

 帰りは川西IC~東京までの492.5kmを走って燃費は35.2km/Lをマーク! これで正真正銘のJC08モード燃費超えを達成したばかりか、13インチタイヤを装着するグレードと同等となるJC08モード燃費に並ぶという快挙を成し遂げたのだった。ちなみに東名で行った旧型の燃費は33.69km/L。これもなかなかの数値だが、それを超えてホッとひと安心というところだろう。

 こうしてロングドライブを共にした新型ミラ イースは、改めてクルマとしての完成度の高さ、パワートレーンの賢さに感心したのはもちろん、街中でのストップ&ゴーや渋滞といった、普通に暮らしていれば頻繁に遭遇するシーンでの燃費がアップしていること、そして街中だけでなく高速道路でも気兼ねなく走れることを実感。それも、特別なテクニックやガマンは必要なく、誰もが快適なまま燃費よく走れるというのも新型ミラ イースの素晴らしいところだ。キャッチコピーである「新・みんなのエコカー」とはこういうコトだったのか! それがシッカリ理解できたドライブだった。

協力:小田原さかなセンター株式会社