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ダイハツ、新型「ムーヴ」発表会で歴代ムーヴも展示 井上雅宏社長「多くの方の心を動かす軽の決定版」
2025年6月5日 20:10
- 2025年6月5日 発売
- 135万8500円~202万4000円
カスタムが廃止された理由とは?
ダイハツ工業は6月5日、新型軽自動車「ムーヴ」を発売した。「L」「X」「G」「RS」の4グレード展開で、価格は135万8500円~202万4000円。
新型ムーヴは、DNGA(Daihatsu New Global Architecture)を採用した4車種目のモデルで、歴代ムーヴとして初めてスライドドアを採用した。DNGAによる高い基本性能をベースにプラットフォームからパワートレーンを一新し、ムーヴ専用のチューニングを施すことで、軽快でキビキビした走りを実現するとともに、2WDの自然吸気モデルでWLTCモード燃費22.6km/hを実現した。
エクステリアデザインはムーヴらしい軽快さとスタイリッシュさにこだわり、フロントからリアにつき抜けるキャラクターラインや、特徴的なDピラーで躍動感を表現。フロントまわりは、グリルとヘッドライトをシームレスにコンビネーションさせ、大胆かつ先進的な表現とすることで、凛々しく丹精な顔つきとしている。
インテリアはコクピットまわりに見どころを凝縮し、小さいクルマらしい魅力を表現するとともに、安心して運転できるすっきりとした見晴らしのよさにもこだわっているとのこと。また、素材やカラーリングで仕立てのよさにもこだわり、毎日を快適に過ごせる居心地のよい空間としたほか、RSグレードでは、落ち着いた質感の中にきらりと光る華やかさも表現している。
なお、今回これまでムーヴに設定されていた「カスタム」が廃止となった。そもそも、カスタムモデルは30年前に初代ムーヴが誕生したときに導入されたのだが、当時は「ミラ」とムーヴの2車種しかなく、この2車種で少しでも幅広いユーザーニーズに応えようとしてカスタムモデルが導入されたという(余談だが、標準モデルのほかにカスタムモデルを別で定義したのは、ダイハツが初めてではないか、とのこと)。
現在のダイハツの軽乗用車ラインアップは「ミラ イース」「コペン」「タフト」「タント(ファンクロス)」「ムーヴ キャンバス」に新型ムーヴが加わることで、幅広いユーザーニーズに応えられるようになってきたから、今回はムーヴ カスタムを廃止した、というのが理由の1つにあるとのこと。
さらに、初代ムーヴが導入されたときはノーマルモデルは子育てから子離れ世代、カスタムモデルは若年世代から子育て世代と、ユーザーの棲み分けがされていたという。しかし現在はユーザーニーズが変化してきており、ノーマルモデルもカスタムモデルも購入者層が似通ってきていることから、「カスタムの役割が希薄になってきた」として、新型ムーヴはカスタムモデルを廃止したワンコンセプトでリリースされた。
ただ、ムーヴに期待されるテイストとして、「スタイリッシュ」「スポーティと」いうキーワードがあったことから、ワンコンセプトであってもカスタムに少し寄ったような、精悍なデザインとなっている。
発売日に行なわれた発表会では、製品企画部 チーフエンジニアの戸倉宏征氏が新型ムーヴの特徴について説明。
ムーヴは1995年に初代が誕生し、“裏ムーヴ”と呼ばれたカスタムモデルも投入され、軽ハイトワゴンというマーケットを確立。現在では累計販売台数340万台を超えたものの、軽自動車市場ではスーパーハイト系が主流になり、スライドドアが定番化したこともあって、ムーヴの購入層はファミリー層から子離れ層にシフトしているという。
このような変化の中でも「ちょうどいいサイズ感」「性能」「燃費」「快適・便利な機能」「走行性能」「手ごろな価格」がバランスしているというムーヴの特徴を新型でも継承しつつ、時代に合わせて進化させたと説明した。
続けて、代表取締役社長 井上雅宏氏があいさつ。「先日、30年前に初代ムーヴを発売したときの様子を当時セールスをしていた方々にお伺いしてまいりました。普段、月に2~3台程度しか売れないような小さなお店でも、ムーヴの発売後の週末には40人ものお客さまが殺到するなど、それはそれはもうすごい注目度だったと聞いております。ダイハツは戦後の高度成長期にミゼットを売り出して街の景色が変わったように、当時の初代ムーヴでも街の景色が変わるほどだったと聞きました」とこれまでを振り返った。
また、「現在では多様なクルマが出ております。当時と同じような大ブームにはならないかもしれませんけれども、ダイハツにとってこのムーヴは、クルマづくりをけん引する重要なクルマであり続けます。定番となりましたスライドドアを採用した上で、お客さまや時代が求める要素をぎゅっと凝縮し、お求めやすい価格で提供するこの新型ムーヴ、キャッチコピーの“MOVE ON”のように、多くの方の心を動かす軽の決定版に仕上がったと思っております。ダイハツの原点であるお客さまのニーズに応えるクルマづくり、これを磨き込んでいき、喜んでいただける軽自動車をこれからも提供し続けてまいりたいと考えております」と今後について語った。