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アウディ、PPCプラットフォーム初採用の新型SUV「Q5」&846kmのe-tron最長一充電走行距離「A6 e-tron」発表会
2025年7月25日 15:28
- 2025年7月24日 実施
アウディ ジャパンは7月24日、新型「Q5」および「A6 e-tron」の日本導入を発表する「Audi New Models Special Debut Show in Tokyo」を都内で開催した。
アウディ ブランドディレクターのマティアス・シェーパース氏は、「BEV(バッテリ電気自動車)が世界中でどんどん普及している中、アウディブランドもBEVを中心としたブランディングを実行しています。日本では特に東京、名古屋、大阪といった首都圏で充電インフラが不足しているなど、ユーザーの課題に対してもフォーカスし、充電設備PCA(プレミアム・チャージング・アライアンス)に投資もしてきました」と説明。
続けて、「充電インフラとものすごくひもづいているのが充電速度で、最初のBEVであるe-tron 55を発売した2020年は50kWしかありませんでした。今、PCAはその3倍の150kWが軸になっていますが、ほんの数年前までは50kWが当たり前。同時に車両も進化していて航続距離も伸び、BEVが日常生活にどんどん溶け込んでいます。また、再生可能エネルギーも重要で、われわれが投資するものには常にその概念を忘れません」と電動化に向けた活動を振り返った。
日本でBEVを普及させるための重要なポイントについてシェーパース氏は、「急速充電インフラです。またそれを日本に浸透させるためには、やはりブランドを超えたフレームワークが必要です。その概念に基づいてPCAを2020年4月に発足し、まずはポルシェと手を組みました。また今は高級ブランドのほとんどがパワーXと手を組んでいますが、最初に手を組んだのはアウディで、日本での1つの枠組みを作ったと自負しています」と説明。
加えて、ソーラーパネルと蓄電設備を備えたチャージングハブという概念についても、「2024年に紀尾井町(東京都千代田区)に、今年は東京タワーのふもとの芝公園(東京都港区)にプレミアムなラウンジを設けたチャージングハブを、さらに厚木(神奈川県)には渋滞などで残充電が心配になった際、10分でも15分でもちょっとだけ充電を足すことで安心できる場所として、高速道路を降りて1分の場所にチャージングステーションを設置しました」と紹介。これによりPCAの急速充電器が395基、ゴルフ場など旅先の目的地に設置するデスティネーションチャージャーも356基と、「目標の99%を実現しました」とシェーパース氏。さらに今後はレクサスともアライアンスを結び、充電インフラの基盤を固めていくとした。
もちろんアウディはBEVだけでなくICE(内燃機関)モデルについても手を抜くことはなく、2025年は1月に「A3」、3月に「A5」を導入済み。またA3ベースの「S3」「RS 3」も仕上がりがよく、シェーパース氏は「ぜひ乗ってみていただきたい」とアピールした。2025年はさらに「e-tron GT」が間もなく日本でデビュー。2026年は「Q6 Sportback e-tron」をはじめ、「A6」「Q3」のICEモデル最終バージョンの導入も控えている。
最後にシェーパース氏は、「BEVとICEの両方ともまだラインアップが増えるので、クルマ好きとしては楽しみがたくさんあります。ただ、BEVとICEモデルを一緒に発表するのは、もしかしたらこれが最初で最後かもしれませんね」とあいさつを締めくくった。
PPCプラットフォームを初採用したSUVモデル「Q5」
Q5はプレミアムミッドサイズSUVで、日本には2009年に第1世代が導入され、都会的で洗練されたデザイン、スポーティで上質な走り、実用性の高さなどが特徴で、全世界で160万台を販売。2017年に導入された第2世代ではさらなる進化を遂げ、全世界で110万台を販売。このクラスでは珍しいアダプティブエアサスペンションの採用や日本ではブランド初となるクリーンディーゼルエンジンの導入、デザインと居住性を両立したクーペスタイルのスポーツバックモデルも追加された。そのほかにもマイルドハイブリッドシステムや世界初となるデジタルタイプのOLEDテールランプの採用など、技術的にもハイライトにあふれたモデルだった。
今回導入された第3世代は新開発のプラットフォーム「PPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバスション)」をSUVとして初採用し、程よいボディサイズや居住性はそのままに、よりシャープでダイナミックなスタイリングを両立。さらに、もうワンランク上の洗練された走りやEV走行も可能な新しいマイルドハイブリッドシステムを採用している。また、新開発のインフォテイメントシステムをはじめとするデジタルテクノロジーや、先進のライティングテクノロジーも採用。ボディ形状はコンベンショナルなSUVとクーペスタイルのスポーツバックという2つのバリエーションを設けている。
アウディ ジャパン プロダクトマーケティング部の徳永雄三氏によると、「日本では40代のファミリーを中心に、比較的若いユーザーに支持されています。また、初めてアウディを購入するユーザーの割合も高く、アウディ ジャパンのビジネスで非常に重要なモデルです。ボディは全長が先代よりもわずかに長くなったものの、取りまわしに重要な幅など基本的なサイズはほとんど同じで、スポーツバックはSUVに対して全高が5mm低い以外は共通です」と解説。
デザインは、「高くて直線的なショルダーラインが特徴で、彫刻的な連続面によって立体的で力強い印象に仕上げています。また、全体的により伸びやかでシャープなプロポーションで、先代モデルよりもリアウィンドウが鋭く傾斜しているのが特徴です。シャープに絞られたリアデザインにもかかわらず、居住性は先代と全く同じで、クーペスタイルのスポーツバックでも広々とした後席を実現したほか、ボンネットやブリスターフェンダーのライン、サイドウィンドウのシルエットには初代クワトロの特徴も組み込んでいます」と徳永氏は紹介。
パワートレーンは、直列4気筒ガソリンエンジンとディーゼルエンジン、さらにハイパフォーマンスなV型6気筒ガソリンエンジンの3種類を設定。全モデルに最新のマイルドハイブリッドシステムである次世代ハイブリッドシステム「MHEV plus」を採用している。48VのMHEV plusテクノロジーは、最大18kW(24.5PS)を発揮するモーターによって発進・加速をブーストするだけでなく、状況次第では完全なEV走行も可能としたほか、減速時には最大25kWでエネルギー回収を行ない、効率的な走りを実現した。
剛性を強化したステアリングと足まわり、ブレーキトルクベクタリング、そこに操作量に応じてギヤレシオが変わり取りまわしを助ける「プログレッシブステアリング」を組み合わせ、ダイレクトで正確な走りを実現。
サスペンションはスチールスプリングに加えて、アダプティブエアサスペンションの選択も可能なほか、ダンパーには周波数に応じてメカニカルに減衰力を調整する「FSD(Frequency-selective Damper System)」を標準装備し、優れた快適性とロードホールディングを両立している。
インテリアについて徳永氏は、「エレガントさと最新のデジタル性が溶け込んだ先進的なデザインを採用しています。運転席から中央にかけて湾曲したOLEDのパノラマディスプレイが設置され、ドライバーは運転席のバーチャルコクピットからセンターのMMI(Multi Media Interface)ディスプレイまで、シームレスに見渡すことが可能です。助手席にもオプションでパッセンジャーディスプレイを設置でき、ナビゲーションやアプリの操作も可能としました。ダッシュボードの縁に設置された“インタラクションライト”は、アシスタントシステムと連動して点灯し、ドライバーの安全運転をサポートします。後席はリクライニング機能を備え、快適さと柔軟性を両立しつつ、多彩なレイアウトも可能です」と解説した。
デイタイムランニングライトは新型A5やQ6 e-tron同様にライトシグネチャーを8パターンから選択できるほか、OLEDリアライトは美しく視認性の高いライティングを実現するだけでなく、状況に応じて特定のライトシンボルを表示し、周囲を通行する車両や人に危険を知らせる「コミュニケーションライト機能」も備わる。ブレーキライトをリアウィンドウに投影することで、視認性を高める「リアウィンドウプロジェクションライト」も初採用している。
e-tron史上最長の一充電走行距離を達成した「A6 e-tron」
同日導入が発表されたA6 e-tronは、フォルクスワーゲングループ最新のPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)を使った2台目のモデル。クーペシルエットのスポーツバックと、アウディのBEVとして初となるアバントの2つのボディタイプが設定されている。
また、ダイナミックかつエレガントなデザインは、低く力強いボディがルーフラインを支え、筋肉質なクアトロブリスターフェンダーとともに、クリーンでありながらパワフルなデザインを両立。開口部のないシングルフレームグリルや駆動用バッテリの位置を示す側面のブラックインサートなど、ひと目でアウディのe-tronであることが分かるデザインを採用した。
アウディ ジャパン プロダクトマーケティング部の石川芳樹氏は、「空力性能はアウディの歴史においても非常に重要な要素の1つ」と言い、当時世界最高の空力性能を達成した「100」に始まり、「A2」や「e-tron GT」など、細部にわたる最適化を経て、優れたデザインと卓越した空力性能を両立。この空力へのこだわりはA6 e-tronにも引き継がれていて、フロントのエアカーテンやフラットなアンダーボディがフロントとホイールまわり、ボディ下の空気の流れを整えているほか、オプションの「バーチャルエクステリアミラー」は空気抵抗を大幅に改善。さらに「アダプティブエアサスペンション」は、車高を最大20mm下げ、空力や効率的な走りに貢献するという。
そのほかにも、日常走行のブレーキングの約95%を回生ブレーキがカバーしていて、回生ブレーキには自動モードと手動モード、さらにワンペダルフィーリングに近いBモードの3つを設定。軽量化もぬかりなく、初期のe-tronモデルと比べて約30%小さく、約20%軽いモーターを採用している。
その結果、A6 スポーツバック e-tronは、アウディ史上最も優れたCD値0.21を達成。フロア下に搭載した100kWhの駆動用バッテリを搭載し、一充電走行距離は後輪駆動モデル「A6 スポーツバック e-tron パフォーマンス」で796km、クワトロ(4輪駆動)モデル「S6 スポーツバック e-tron」で726kmとした。「さらに空力や走行抵抗の軽減に特化した“レンジプラスパッケージ”を装着した場合846kmという類を見ない一充電走行距離を達成します」と石川氏はアピール。
ローンチコントロール機能を使用した0-100km/h加速は、後輪駆動のA6 スポーツバック e-tron パフォーマンスが5.4秒、前後にモーターを搭載する4輪駆動のS6 スポーツバック e-tronが3.9秒を誇る。
また、オプションのアダプティブエアサスペンションを装着した場合は、「バランス」「ダイナミック」「コンフォート」「エフィシエンシー」という4つの走行モードを選べ、スポーティな走りから快適な乗り心地まで幅広いシーンで活躍するとしている。
ライト類は新型Q5と同様にアウディライティングテクノロジーを採用。好みに合わせて8つのパターンから光り方を選択できるほか、A6 e-tronではリアエンブレムを赤く点灯するオプションをアウディで初採用。コーポレートIDをさらに強調できる。
インテリアはドライバーや同乗者を優しく包み込むソフトラップデザインと、パノラマディスプレイを中心としたデジタルステージによって構成され、オーナーのニーズに合った空間に仕上げたほか、パノラマディスプレイや助手席ディスプレイに加え、ARディスプレイや雨や雪といった悪天候でも高い視認性を誇るバーチャルエクステリアミラーが特徴となる。
バーチャルエクステリアミラーの映像は、ディスプレイを通常のサイドミラーと同じような高さに設置することで、自然な視線移動を実現したほか、新型A5でも導入している「スマートパノラマガラスルーフ」は、ルーフ上部のボタンを操作することで、透明・不透明を選択できる。







































































