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GRヤリスのニュル24時間仕様市販化について「マスタードライバーがこのクルマ楽しいよねって言った楽しさをお客さまに広げていく」と高橋プレジデント

ニュルブルクリンク24時間レースに参戦したGRヤリス DAT。パワートレーンは市販車のまま

 GRヤリスのニュルブルクリンク24時間レース仕様車が参戦しているスーパー耐久第5戦オートポリスにおいて、TOYOTA GAZOO Racing カンパニープレジデント 高橋智也氏らが参加しての質疑応答が行なわれた。

 この中では、ニュルブルクリンク24時間レース仕様の32号車 GRヤリス DATなどに関する話も出たが、このクルマをベースとした市販化についての可能性も語られた。

ニュルブルクリンク24時間レース仕様のリアウィング。空力的な理由からというより、ニュル24時間の参戦規定に合わすために両端が5cm延長されている

 トヨタはニュルブルクリンク24時間レースへ、市販のエンジン、トランスミッションを搭載したGRヤリスで参戦。レースに参加するための安全適合を行なっているのに加え、アップダウンの激しいニュルブルクリンクに対応し、サスペンションセッティングなどを変更している。

 このニュル仕様車では、リアウィングの規定を満たすために両端を5cm伸ばしたニュル対応リアウィングを装備しているほか、フロントマスクもより空力に配慮しており、外観もこれまでのGRヤリスから変化している。

ニュルブルクリンク24時間レース仕様はフロントバンパーまわりも変化している

 また、このクルマによるニュルブルクリンク24時間レースの参戦結果も、市販のパワートレーンをそのまま使用したものでありながら見事完走するなど、GRヤリスの信頼性や性能の高さを世界に喧伝するものだった。

 そのため、当然ながら出てくる要望が「このニュルブルクリンク完走記念車」を市販車で購入したいというもの。個人でレプリカウィングなどを作るのもありだが、理想的にはトヨタがそのような特別記念車を発売してくれることだろう。

 この点について高橋智也プレジデントに確認したところ「将来の商品化計画について話はできませんが」と前置きした上で、「当然そうしたお客さまの声がたくさん届いていますし、何よりもマスタードライバーがこのクルマ楽しいよねって言った楽しさをお客さまに広げていくのが僕らの役割だと思います」「お客さまが求めるものを僕らが届けるのが一番ですね」「メーカーとしての役割ですね。考えたいと思います」とのこと。

 外観のみ、サスセッティングも含めたもの、そして4WDシステムであるGR-FOURのチューニングなど市販化に向けてはさまざまな可能性があるが、ニュルブルクリンク24時間レースで15周走り、マスタードライバーであるモリゾウ選手(豊田章男会長)が「このクルマ楽しいよね」と言った楽しさを共有できる可能性はありそうだ。

 高橋智也プレジデントは「僕らはレースのみではいけない」と語り、GRブランドでの市販車、カスタマーレーシング車両につなげていくことが大切と位置付けている。世界一過酷な24時間レースと言われるニュル24時間だが、そこを完走したノウハウを組み込んだGRヤリスの市販化を楽しみにしたい。