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ダイハツ、“歩行領域の「ちょっと先」を気軽に楽しめる”免許不要の新たな歩行領域モビリティ「e-SNEAKER」
2025年8月25日 18:10
- 2025年8月25日 発売
- 41万8000円
操作しやすく安心して乗りやすいパッケージの新歩行領域モビリティ
ダイハツ工業は8月25日、免許不要の新たな歩行領域モビリティ「e-SNEAKER(スニーカー)」を発売した。価格は41万8000円で、電動車いすのカテゴリーに該当するため消費税は非課税。各地のダイハツ販売店で購入可能で、メンテナンスなども対応する。
e-SNEAKERは、日常移動に新たな価値を提案すべく「胸張れる 軽快 安心モビリティ」をコンセプトに開発。自由に外出を楽しみたいアクティブシニアをはじめとした幅広い人が、ちょっとした近所への買い物や家族・友人との外出など、歩行領域の「ちょっと先」を気軽に楽しめるモビリティとした。
サイズは1130×645×985mm(全長×全幅×全高)で、盗難防止ロック機能付きの着脱式リチウムイオンバッテリを搭載。バッテリ重量は2.5kgで、充電は付属の専用充電器(AC100V)に接続し、家庭用コンセントでおよそ2.5時間で充電可能(屋内での充電を推奨)。満充電での連続走行距離は12kmとしている。
e-SNEAKERの主な特徴は、「目線が高く、洗練されたスタイリッシュなデザイン」「安心して乗れる大径タイヤと充実のサポート機能」「誰でも運転しやすいシンプル簡単操作と充電場所を選ばない脱着式軽量バッテリ」「お出かけしたい気持ちを後押しするディーラーオプションも設定」の4つ。
デザインは、歩行領域モビリティとして周辺に圧迫感を与えないスッキリとしたスタイルとデザイン、乗車姿勢とするとともに、安全面からも周囲から埋没しない高さとし、自転車とほぼ同じ目線の高さの広い視界で安心・爽快感を実現した。シートの高さは身長や好みに応じてHIGH(700mm)/MID(630mm)/LOW(555mm)の3段階に変更可能。シートは体をしっかり支えるアームサポート一体型シートを採用している。
安全性・快適性については、8インチ(約340mm)のフロントタイヤを採用することで最大7.5cmの段差(助走ありの場合)や、最大10cmの溝の乗り越えが可能。タイヤは四輪ともエアータイヤを採用し、サスペンション構造との組み合わせで快適な乗り心地を実現するとともに、前方にバッテリを配置して走行安定性を達成した。
また、坂道や旋回時に自動的に減速する速度抑制機能を搭載。加えて、傾斜センサーが登坂、降坂、左右の傾斜を検知することで、急な坂道や斜面を警告メッセージと警報音で通知する急斜面検知機能を採用。後退走行時には周囲に通知する後退ブザーと、インターフェイス内の状態表示パネルにメッセージを表示する。さらに、手動で車両を動かせるようにシート後方下にブレーキ解除スイッチを設置。スイッチを押しながら車両を動かすことで、若干の移動も可能としている。
操作性については、二輪車に近いハンドルとインターフェイス周辺に操作系を集中させ、「電源を入れてキーを差し込み右に回す」「ブレーキレバーを握る」「ブレーキレバーを離してアクセルグリップを回して前進する」の簡単3ステップで起動可能。インターフェイス内の速度切換スイッチで、最高速を1~6km/hの6段階で設定できるようにしたほか、バッテリ残量や設定最高速度がひと目で分かる状態表示パネルも装備している。
ボディカラーは、黒を基調にホワイトのフロント&リアカバーを標準で設定。より外出したい気持ちを後押しする「オフビートカーキメタリック」「スカイブルーメタリック」「トニコオレンジメタリック」の3種類のフロント&リアカバーをディーラーオプションに設定し、好みに応じて選択可能とした。
そのほかにも、収納性をデザイン性を兼ね備えた容量12Lのバスケットや、杖や傘をしっかり収納できるメッシュ状の杖ホルダーなどの便利さを高めるアクセサリーも設定されている。
「誰一人取り残さない『移動の自由』をみんなのものに」
同日に開催された発表会では、ダイハツ工業 代表取締役社長 井上雅宏氏があいさつを行なった。
「ダイハツは、お客さまに寄り添い、暮らしを豊かにすることを使命としてまいりました。すべての人が自由に移動を楽しめる、そのような優しい社会を目指し、これまで『モノづくり』と『コトづくり』を両輪として取り組みを進めてまいりました。モノづくりにおいては、もっと多様で自由な移動を実現するため、軽自動車を中心に、ダイハツらしい最小単位でのモノづくりにこだわり、小さなモビリティの可能性を追求してまいりました。パーソナルモビリティ分野でのダイハツの歴史をさかのぼりますと、1974年には電動トライク『ハローBC』を、1995年には一人乗りの電気自動車『ミニ・スウェイ』を発売しています。また、2011年の東京モーターショーでは、先進の予防安全技術を搭載した『PICO』を出展いたしました。そして本年は、この最小単位を極め、予防安全技術を搭載した専用仕様のe-SNEAKERを、現在開催中の大阪・関西万博にご提供し、大変多くの方々にお乗りいただいております。一方、コトづくりにおいては、クルマを運転されない方などに向け、全国の販売会社と協力し、交通空白地帯でのオンデマンド相乗り送迎サービス『チョイソコ』や、福祉介護分野での送迎支援システム『らくぴた送迎』、そして地域一体で効率化を実現する共同送迎サービス『ゴイッショ』の3つを提供し、地域のお客さま一人ひとりに真摯に向き合い、暮らしを支える製品やサービスを展開しております」と取り組みについて説明。
続けて、「本日発表いたしますe-SNEAKERは、『誰一人取り残さない、移動の自由をみんなのものに』という思いのもと、これまでにない歩行領域のモビリティとして発売いたします。また、その生産においても、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、誰もがやりがいを持って働くことができる、人に優しい工場と生産工程としております。e-SNEAKERはちょっとした買い物や、ご家族・ご友人とのお出かけを、どなたにでも気軽に楽しんでいただける、そんな楽しいパーソナルモビリティに仕上がったと感じております。ぜひご注目ください」とe-SNEAKERを紹介した。
e-SNEAKERの詳細については、ダイハツ工業 製品企画部 プロジェクト責任者 鐘堂信吾氏が説明。
市場背景として、近年、事業者の労働力不足から乗り合いバスや鉄道路線の減便・廃止が進んでおり、公共交通の減少によって自動車が運転できないと生活が困難になる人々が地域によっては4割以上にのぼることから、日常の移動に不安を抱える人が多くいるということを紹介。また、高齢化が進み、免許返納者は今後も一定数以上で推移すると考えられ、高齢者だけでなく、免許を持たない人も常に一定数存在するような状況から、生活圏内における移動手段、いわゆる「ラストワンマイル」の重要性がますます高まっているという。
そのラストワンマイルの移動手段としてさまざまな提案がされているものの、まだ最適解には至っていないと考えているとのこと。その中で、最小単位にこだわるダイハツは、移動の無駄をなくし、環境にも優しい歩行領域のパーソナルモビリティを構想し、日々の暮らしを少し便利に、快適にする新たな選択肢として、誰もが気軽に楽しく、自由に移動できる価値を提案することが狙いであると紹介。「時間に追われるのではなく、さまざまなシーンで歩く楽しさを改めて気づかせてくれる、そんな新しい価値を生み出す乗り物として、e-SNEAKERを開発しました」と紹介した。
大阪・関西万博での取り組み
ダイハツは、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の未来社会ショーケース事業の1つである「スマートモビリティ万博・パーソナルモビリティ」に協賛し、歩車混合交通システムの実証の観点から、障害物検知機能/接触停止機能などの安全機能を搭載した大阪・関西万博専用仕様のe-SNEAKERを150台提供している。
その大阪・関西万博での取り組みについては、ダイハツ工業 総務部 兼 製品企画部 主査 北野恵睦氏が説明。
万博専用のe-SNEAKERは、東西ゲートにあるステーションで各60台、計120台の事前予約なしでの無料貸し出しを行なっており、7月末時点で約2万人が利用した。現在は日傘をさして乗車できなかったり、日陰のある大屋根リングに人が集中して駐機所があふれてしまったりという環境から、自由貸し出しを一時中止。8月1日からは乗車体験や、移動体験ができるコースを設け、利用者はすでに1万5000人を突破しているとのこと。
また、協賛企業間での共創として、バンダイナムコと「機動戦士ガンダム」のコラボレーションを実施。西ゲート前モビリティステーションとバンダイナムコパビリオン前に「RX-78F00/E ガンダム(EX-001 グラスフェザー装備)」、ハロの「EX(イークス)」「PO(ポー)」をモチーフにした特別仕様のe-SNEAKERを展示しており、西ステーションからバンダイナムコパビリオンまでの走行クルーズ体験も提供しているという。
今後、万博で集まった意見を開発に反映させるとともに、全国の大型施設やテーマパークなどへの試験導入を進め、さらなる可能性を探っていくとともに、よりよいモビリティ社会の実現に向けた取り組みを進めていくとしている。







































