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ホンダが新型軽乗用EV「N-ONE e:」発売と同時に、新たな充電ネットワークサービス「ホンダチャージ」始動を発表

2025年9月11日 実施
ホンダの新型軽EV「N-ONE e:」

 本田技研工業は9月11日、新型軽乗用EV(電気自動車)「N-ONE e:」の9月12日発売に先駆け、都内で発表会を実施した。

 最初に登壇した、本田技研工業 統合地域本部 日本統括部 統括部長の川坂英生氏は、2011年に発売した初代「N-BOX」の国内導入を始め、Nシリーズの営業領域のプロジェクトリーダーを従事していた人物。そのため「Nシリーズには非常に強い思い入れがある」とのことで、「Nシリーズから新しいEVのN-ONE e:を発表する日を迎えられ、大変うれしく思っております」とあいさつ。

新型軽乗用EV「N-ONE e:」のボディサイズは、3395×1475×1545㎜(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2520mm
車両重量は1030kg。最小回転半径は4.5m

 続けて、「ホンダは2050年に向け“カーボンニュートラルゼロ”と“交通事故死者ゼロ”の実現に向けては、今後も手を緩めずに進めていく」と言及。そのためにも、日本市場の特性に合わせた電動化戦略を確実に進めていくと話した。

 またNシリーズについては、「誰にでも親しまれるクルマとして1967年に登場し、ホンダの乗用車の礎を築いたN360の、スタイリッシュなデザイン、広さ、使い勝手、卓越した走りの楽しさといったDNAを継承したモデルで、軽自動車としての提供価値を超えるクオリティと安全性を備え、14年間にわたりブランドの信頼を引き上げてきたと自負しております」と紹介。

新型軽乗用EV「N-ONE e:」は、昨年発売した軽商用EV「N-VAN e:」続くNシリーズのバッテリEVモデル第2段

 新型軽乗用EV「N-ONE e:」の特徴について川坂氏は、「ガソリンモデルN-ONEのコンセプトや使い勝手のよさを継承しながら、EVならではの力強くクリーンな走りと静粛性。さらに給電機能など、EVならではの暮らしに役立つ機能も備えています。また、洗練された内外装デザインに加えて、生活のインフラとしての価値を高め、幅広いユーザーの移動と暮らしを支える、日常のパートナーを目指しました」と説明した。

本田技研工業株式会社 統合地域本部 日本統括部 統括部長 川坂英生氏

 また、「一充電での航続距離が、軽EVでは最長クラスとなる295km(WLTCモード値)と必要十分な実用性レベルを達成していることから、ガソリンスタンドの減っている地方では、自宅で充電できる利便性も魅力の1つだと考えます」と言及。2024年秋に発売したN-VAN e:に続いて、N-ONE e:も、オンラインストア「Honda ON」限定の新たな購入方法「EV専用バリュープラン」を設定したと紹介。バリュープランでは、廃車後のバッテリの利活用を前提に、通常のリース商品に比べ高い残価を設定することで、月額のリース料金が3000円ほどお得になるうえ、バッテリの消耗などの不安を解消するとしている。

オンラインストア「Honda ON」限定のEV専用バリュープランを用意

 また、EVを快適に乗るための充電環境拡大に向けた取り組みとして、6kWの出力を持ちNシリーズのバッテリを約4.5時間で充電が完了する家庭用充電器「ホンダEVチャージャー」を純正アクセサリーで用意するほか、施工業者の紹介なども行なうとしている。さらに、都市部などに設置する新たな充電ネットワークサービス「ホンダチャージ」もスタートさせ、ディーラーや商業施設など、2030年までに数千基規模を目指し、EV普及のための充電網を拡充するという。

ホンダはEVを快適に使える環境も提供していくという

 ホンダは、充電時の操作や手間を減らし、充電待機時間のストレスを軽減することを目指し、N-ONE e:から充電器の自動認証を行なう「プラグ&チャージシステム」が利用できるほか、充電したい時に確実に充電できる予約システムなどを無料提供するとしている。

 最後の川坂氏は、「Nシリーズで国内のEV化を加速させると同時に、N-ONE e:の発売を機に“EVといえばホンダ”というイメージを持ってもらえるように、EV普及に努めます」と締めくくった。

ガソリンモデルのN-ONEにEVの身軽さと気軽な価値を加えた

本田技研工業株式会社 N-ONE e: 開発責任者 堀田英智氏

 本田技研工業 N-ONE e: 開発責任者の堀田英智氏は、「ホンダの新しい時代を切り拓く軽乗用EVを開発するにあたり、ホンダの軽乗用車の原点を振り返りました。その原点は今のホンダ軽乗用の礎を築いたN360であり、N360から始まった親しみやすく、かわいいデザイン。さらにホンダのM・M(Man-Maximum・Mecha-Minimum)思想からくる、乗る人みんなに優しいクルマ、私らしさを表現できるパートナーとしてN-ONEのガソリン車が誕生しました」とN-ONE誕生の歴史を振り返った。

N-ONEの生まれた背景

 そして、そのNの原点を継承しつつ、「この時代において手の届く軽乗用EVを提供したいとの思いで、このN-ONE e:を開発しました」と言及。グランドコンセプトは、ベースとなったN-ONEが持つ特徴に、EVとしての身軽さと気軽な価値を加えることで、小さな楽しみを生み出し、何気ない毎日を活発にしてほしいという思いを込めた「e: Daily Partner(イー・デイリー・パートナー)」という。

 また、ターゲット層は、「日常的に親しみやすいクルマとして好評のN-ONEをベースにしているので、普段使いを中心とした乗用ユースを想定し、40代~50代を中心にしつつも、幅広い年齢層の女性をターゲットとして設定しました。また、自分にとっての身軽さ、気軽さがとても大事と考えながら、何気ない毎日を軽快さと小さな楽しみを求めている方も想定しております」と説明。

グランドコンセプトは“e: Daily Partner”
ターゲット層について

 エクステリアは、NシリーズのヘリテージにEVによるクリーンな時代進化をかけ合わせ、軽快に移動ができて自然体でいられるパートナーをイメージ。ひと目で見て分かるN-ONEの個性を継承しながら、軽快で愛着が湧くデザインとしている。ボディカラーについて堀田氏は、「新色のチアフルグリーンはN-ONE e:のグランドコンセプトであるe:デイリーパートナーを体現し、乗る人、日常を後押ししてくれるような元気なカラーにしました」と説明。

 インテリアは、「ターゲットユーザーの持ち物や使い方を調査し、インパネトレー、センターコンソール、ドアポケットなど、考えずに物を置けるように設計し、自然と身軽、気軽になって、毎日が生き生きとなるような空間に仕上げた」と紹介。操作系のスイッチも分かりやすくシンプルに機能ごとに配置したという。

エクステリアデザインコンセプト
インテリアデザインコンセプト

 また、内外装ともにリソースサーキュレーションの取り組みをN-VAN e:同様に実施。バンパーリサイクル材はN-ONE e:のフロントグリルに、再生可能な植物由来の樹脂をインテリアのアクセントに、また再生ペットボトル資源はフロアカーペットと、役目を終えたホンダの作業着、保温材など、さまざまな素材をリサイクル。N-ONE e:を選択したオーナー自身が、よりよい未来につながっていることを感じてもらいたいとしている。

フロントグリルに見える白色のツブツブは、ホンダ車のバンパーを粉砕したリサイクル材

「シングルペダルコントロール」をホンダ軽乗用車で初採用

電動機(モーター)は最高出力47kW(64PS)、最大トルク162Nmを発生

 パワートレーンは、コンポーネントの小型化と大容量バッテリの採用、高電圧部品の集中配置により、ベースとなっているN-ONE同等の室内空間を継承。充電に関しても6kW出力の普通充電器で4.5時間、50kWの急速充電にも対応するなど、使い勝手のよさを向上。

加減速の特性にもこだわりが満載

 加速特性はEVならではの力強い加速感はもちろんのこと。街中でも扱いやすい発進加速特性に仕上げている。減速特性もモーターと電動サーボブレーキの協調制御によるリニアで安心感のある減速特性を実現したという。

 また、低ハイトな高圧バッテリを車両中心に配置することで、キビキビとしたリニアで楽な操作性や、住宅街での取りまわしのしやすさに磨きをかけるため、電動ステアリングのギヤレシオの見直しも行なったとしている。

ハンドリングはキビキビとしたリニアで楽な操作性と取りまわしのしやすさにこだわっている

 さらに、アクセルペダルだけで加減速をコントロールできる「シングルペダルコントロール」を、ホンダ軽乗用車で初採用していて、「加速から減速まで、アクセルペダル操作だけでスムーズな運転ができるだけでなく、停車時は“スーッ”と止まれるようにセッティングを施し、街中での気持ちいい走りにトコトンこだわった」と堀田氏。

「シングルペダルコントロール」を、ホンダ軽乗用車で初採用

 別売りの「ホンダ・パワーサプライ・コネクター」を使えば、最大1500Wまでの電気をクルマから取り出せるほか、家に電気を供給するV2Hにも対応していることから、災害時と非常用などいざという時には走る蓄電池として使用することも可能。

 先進安全技術「Honda SENSING」は、軽乗用車でも全グレード標準装備とし、N-ONE e:では、渋滞運転支援機能「トラフィックジャムアシスト」をホンダ軽乗用車として初搭載したほか、ペダルの踏み間違いによる急発進を抑制する「急アクセル抑制機能」もオプションで追加できる仕様になっている。

「ぜひお店に足を運んでいただき、体感してください」と堀田氏

 また、クルマの充電状態や、車外からのエアコンの設定、寒い日の航続距離を伸ばすためのお出かけ前タイマー設定など、スマートフォンで操作できるアプリ「Honda Total Care(ホンダ・トータル・ケア)」も無料で使用可能。

 最後に堀田氏は、「N-ONE e:は、何気ない毎日が生き生きと活発なものになるようにという思いを込めて開発しました。ぜひお店に足を運んでいただき、体感してください」と発表会を締めくくった。

体験イベント「N-ONE e: Park(エヌワン・イー・パーク)」が開催中

体験イベント「N-ONE e: Park」が開催されている

 ホンダは、新型軽乗用EV「N-ONE e:」の発売を記念して、9月15日まで二子玉川ライズ1F中央広場(東京都世田谷区玉川2-21-1)にて、ユーザー体験イベント「N-ONE e: Park」を開催している。入場無料のイベントなので、ぜひ足を運んでみてはいかがだろう。

会場は複合施設「二子玉川ライズ」の1F中央広場(東京都世田谷区玉川2-21-1)
ボディカラー「チアフルグリーン」は、気持ちを生き生きさせる、追い風のような爽快グリーンで新色。上位グレードの「e: L」グレードのみ選択できる
ボディカラー「シーベッドブルー・パール」は、海底のような静かさを思わせる青色となっている
ホンダが新たに展開をスタートした充電ネットワークサービス「ホンダチャージ」も展示している
メインステージには給電できるイメージが湧きやすいように、「エディオン 二子玉川蔦屋家電」がセレクトした、災害時にもレジャーでも使えるおしゃれな家電も並ぶ

NシリーズEV第1弾の「N-VAN e:」も展示

 N-VAN e:は、蓄電池を活用した車中泊仕様を展示。アウトドアシーンでも「ホンダ・パワーサプライ・コネクター」を使えば、旅先でも電気が使えて便利だ。また、働くクルマ仕様では、低くてフラットな広い荷室を活用した花屋さんをイメージした展示も行なっている。

N-VAN e:車中泊仕様。フロントの充電/給電ポートから電気を取り出せる。100V最大1500Wまで使用でき、ケトルやドライヤーなども使える
EVなら排ガスを一切出さずに、自然の中でくつろぐことが可能だ
低くてフラットな広い荷室なので荷物もかなりたくさん積める