ニュース

マクラーレン、高性能シミュレータ「Dynisma Motion Generator」導入 最新モデル「W1」の開発に活用

2025年10月8日(現地時間) 発表
マクラーレンが導入したダイニスマ製の高性能シミュレータ

 マクラーレン・オートモーティブは10月8日(現地時間)、テクノロジーセンターにDynisma(ダイニスマ)製の最先端のシミュレータ「DMG(Dynisma Motion Generator)」を導入したと発表した。

 DMGは現実さながらのフィードバックが得られ、実際の車両パフォーマンスを極めて正確に再現できるので、エンジニアやテストドライバーは、車両の特徴を探ることや、技術ソリューションの開発に活用している。もちろん現実世界での動的テストは今後も不可欠だが、物理的テストで得た知見を極めて正確なデジタルモデルにフィードバックし、そのモデルを広い動作帯域を持つ超低遅延のシミュレータで実際に体験できるため、エンジニアはDMGによって、開発課題を従来にも増して素早く効率的に完結できるとしている。

最先端シミュレータDMG(Dynisma Motion Generator)

 これは、F1で行なう調査プロセスに似ているといい、テストドライバーが現実世界のテストで経験したシナリオを再現し、車両がなぜそうしたパフォーマンスや挙動、走りになったのか、その裏にある正確なデータを従来以上に可視化でき、これによりマクラーレンのドライビング・エクスペリエンスを決定づけるDNAを、さらに精密に解析できるという。

最先端シミュレータDMG(Dynisma Motion Generator)

 例えば、風洞実験の結果とリアル走行データの評価ギャップを埋めるには、刻々と変化するダウンフォースと空力パフォーマンスのデータを取得することが不可欠で、Dynismaの最新シミュレーション技術は、CFD(数値流体力学)シミュレーションから風洞テスト、空力マッピング、シミュレータ試験、現実世界での評価作業まで、開発の各段階でいっそう高度なデータを取得でき、サスペンションと空力システムの相互作用をさらに深く理解できる鍵になる。

 そして、この先進的シミュレータDMGの恩恵を受けた最初のモデルが「W1」で、シミュレータによる検証と空力開発を組み合わせたプログラムの一環として、W1の高ダウンフォースかつ低ドラッグのアクティブ・エアロダイナミクス技術、サスペンションのセッティング、電子制御システムが仕上げられたとのこと。

マクラーレンW1

 W1のアクティブ・エアロダイナミクスとサスペンションの開発・評価にDMGを活用し、そのコンセプトの有効性が疑問の余地なく証明されたことで、今後の新モデルの開発プログラムにバーチャル開発をさらに深く組み込む道が開かれたという。

 マクラーレン・オートモーティブ チーフ・ヴィークル・プログラム・オフィサーのエマヌエレ・ラヴェリア氏は、「Dynisma Motion Simulatorの正確性と再現性によって、バーチャル技術による開発活動から、これまでにないレベルのディテールとデータを抽出できるようになりました。バーチャル環境では、ダイナミクスの可能性や挙動をより幅広く検討できます。路面の粗さや乗り心地などが極めて忠実に再現されるため、低速で走行する一般道の状況も、テストコースやサーキットのような高負荷のシナリオも、驚くほどリアルにシミュレーションできるようになりました」とコメントしている。

マクラーレンがDynisma製の最先端シミュレータ「DMG」を導入