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パイオニアの矢原史朗社長とCarUX Holdingのジム・ホン会長が合同記者会見 新体制での方針を説明

2025年12月4日開催
CarUXとパイオニアが株主変更に関する合同記者会見を開いた。登壇者は左がInnolux Corporation Chairman&CEO兼CarUX Holding Limited ChairmanのJin-Yang(Jim) Hung氏と、右がパイオニア 代表取締役兼社長執行役員の矢原史朗氏

 カーエレクトロニクス分野を柱として事業を進めるパイオニアは、台湾に拠点を置くディスプレイメーカーInnolux Corporationの子会社でスマートコクピットソリューションのリーディングカンパニーであるCarUX Holding Limited(以下CarUX)が全株式を取得することを2025年6月26日に発表。株主変更が正式に完了したことを受けて12月4日に都内でCarUXとパイオニアの合同記者会見を開いた。

 合同記者会見にはInnolux Corporation Chairman&CEO兼CarUX Holding Limited Chairmanのジンヤン(ジム)・ホン氏とパイオニアの代表取締役兼社長執行役員の矢原史朗氏が登壇して新体制のもとでの今後の方針を説明した。

CarUXとパイオニアの合同記者会見

 まずはパイオニアの代表取締役兼社長執行役員の矢原史朗氏が登壇。最初にこれまでの経緯を説明した。

パイオニア代表取締役兼社長執行役員の矢原史朗氏

 パイオニアは2019年に現在のEQT(グローバル投資会社)の支援を受けてパイオニア再生プランの経営体制を刷新して経営改革を進めてきた。そして2021年にパイオニア再生プランを終了し、その後は成長に向けた開発投資を着実に実施し、収益の改善にも取り組み、6期連続の営業黒字を達成している。

 また、この間には外部のエキスパート人材の登用やドイツにR&Dセンターを新たに設立するなど、グローバルでの開発力の強化や組織体制の強化を図ってきた。

 その結果、創業以来培ってきたサウンドクオリティーを強みに、自動車OEMメーカーで新規ビジネスを獲得し、グローバルアカウントを拡大。グローバルで高いブランド力を持つ市販事業では各地域でトップシェアを維持している。そのほか、モビリティサービス事業、カメラAIソリューション事業については成長投資として取り組んできた各種の技術を生かして、新規ビジネスや新規プロダクトを導入しているとのことだ。

パイオニアは2019年から再生プランを開始し、2021年に終了。ここから成長投資のステージへと入った

 パイオニアは次のステージを考えていくなかでさまざまな選択肢を十分な時間をかけて議論していた。そしてその結果、一緒にグローバルに成長できる戦略的パートナーが望ましいという結論に至った。これにより6月に発表したとおり、12月1日に無事に株式変更を完了すできたという。

 矢原氏は「これによりパイオニアはInnolux Corporationの子会社で、スマートコクピット総合ソリューションのティアワンサプライヤーであるCarUXの一員となりました。この統合において、現在進行中の組織体制、事業運営、従業員の雇用といったこれらは維持されます。CarUXとのビジョンの方向性は一致しており、現時点では大きな変更はございません。むしろ今後はCarUXの経営支援を有効活用することで、ビジネス基盤をより強固にしていけると確信しています」と語った。

2025年12月にはCarUXに株式を譲渡。その後もパイオニアの組織体制、事業運営、従業員の雇用、ブランドは維持される。パイオニア製品ファンは安心して今後も製品の使用を続けられる

 矢原氏は具体的な話はこれからだと前置きしたあとに、両社が手を組むことによるシナジーについて紹介した。

 1つ目は顧客基盤の多様化。CarUXはアメリカ、ヨーロッパのメーカーを主な顧客としている。一方、パイオニアはグローバルな市販ブランドの強みと日本の自動車メーカーを主要顧客としている。この両社が持つ顧客基盤を生かして、販売機会の獲得や拡大を目指していくという。

 次に製品ポートフォリオの拡充。CarUXの高度なスマートコックピットディスプレイなどにパイオニアの持つオーディオ、マルチメディアシステムなどの知見を組み合わせることで製品ポートフォリオを拡大していくという。このような進め方をしていくことにより、サウンド、人とクルマの会話であるヒューマンマシンインタラクションをシームレスに統合した包括的なソリューションの提供が可能になるとのことだ。

 3つ目は製造拠点やR&Dの数が増えること。CarUXは台湾、アジア、ヨーロッパに拠点を持つ。そしてパイオニアは日本、タイ、ベトナムを始めとするアジア全域とアメリカ、ヨーロッパに研究開発、製造ネットワークを構築しているので、これらを組み合わせることで、CarUXグループとして多くの地域にわたる供給体制やグローバルな生産体制の強靱性が高まる。これにより世界中のユーザーに対して、迅速かつ地域に密着したサポートが可能になるということだった。

CarUXとパイオニアの力を合わせることで実現するこれからの状況を示したスライド
Innolux Corporation Chairman&CEO兼CarUX Holding Limited Chairmanのジンヤン(ジム)・ホン氏

 続いてCarUXのホン氏が登壇した。ホン氏は最初に今回の取り組みについて「パイオニアとCarUXの出会いはお互いが持つものに対してさらなる探求を誓うものとなっています」と切り出した。

 ホン氏は「CarUXはスマートコクピットソリューションの開発という使命に集中するために生まれた企業であります。そのCarUXが作り出す製品は人生を広げていく体験になり得ると私は信じています」とCarUXを紹介。

 そして「今回の統合にはとても深い意味があります。それが文化と精神の出会いです。それはつまりパイオニアの歴史と深みのある職人の技です。そこにCarUXの俊敏性と柔軟性が加わることで、私たちは大きな夢を描けるのです。私たちの共通のビジョンは同じ世界によって支えられています。すなわち変化こそ唯一の普遍であるという考えです」と語った。

CarUXの紹介。同社はスマートコクピットのティアワンサプライヤー
CarUXは技術力と提案力で欧米の主要OEMからイノベーションアワードを受賞している

 実はCarUXの親会社であるInnoluxも15年前に3つの会社が統合して生まれたものであり、その後は企業文化や地理的な違いを乗り越えて市場や業界の変化に適応してきたところである。

 そのようなことからホン氏は「異なる会社同士で進んできたなか、われわれは自分たちなりの変革の道を見つけてきました。したがってCarUXとパイオニアが共に手を取ることで、1+1が2ではなく、もっと大きくなることを実現できると信じています」と結んだ。

ホン氏はCarUXとパイオニアが手を取り合うことで、これまでの事業がもっと大きくなることを信じていると発言した