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フルモデルチェンジしたパイオニアのカスタムフィットスピーカー“Fシリーズ”、デモカーで聞き比べてみた
2025年11月7日 14:17
- 2025年11月6日 開催
パイオニアは11月6日、報道関係者向けに「2025冬 カロッツェリア新商品説明会」を実施した。
2025年冬の新商品は、7年半ぶりにフルモデルチェンジしたカスタムフィットスピーカー“Fシリーズ”を中心に、車種専用スピーカー取付キットといったオーディオ関連のほか、デジタルミラー型ドライブレコーダーなどをラインアップした。
初めてスピーカーを交換する人に向けたスピーカーや取付キットを提案
パイオニア マーケティング推進部 部長 兼 ブランドマネージャー 紺野賢一氏は、この冬の新商品について、サウンド関連の「お客さまの非常に手に取りやすい」「初めて市販カーエレクトロニクスをお買い求めいただくにふさわしい」スピーカーや取付キットを提案していると説明。また、ドライブレコーダーに関しても「お客さまに求めやすいような、非常に手に取っていただけるようなモデルを用意している」と紹介した。
7年半ぶりに“Fシリーズ”がフルモデルチェンジ
続いてパイオニア 販売戦略部 販売戦略課 蒲牟田洋明氏がスピーカーについて説明した。同社ではカスタムフィットスピーカー(同口径の純正スピーカーとの交換を前提としたモデル)を、ハイエンドの「Vシリーズ」、ミドルの「Cシリーズ」、ベーシックの「Fシリーズ」と3タイプ用意している。
そのうち「7年半ぶりに今回“Fシリーズ”がフルモデルチェンジいたします」と前置きしつつ、「国内で1番売れているスピーカーということで、非常に多くの方に選ばれているモデル」とコメント。また、同社は「研究開発であったり企画設計、量産、生産管理に至るまで自社一括で行なっている世界でも稀なメーカー」で、ハイエンドのVシリーズも含めて「われわれの想いが詰め込まれた商品」だと胸を張った。
カスタムフィットスピーカーの特徴として「中域をトゥイーターから響かせる」ことを目的とした「OPEN SMOOTH(オープンスムース)」コンセプトを挙げた。一般的なスピーカーの組み合わせでは「中域はドアのウーハー、高域はトゥイーター」を利用するが、このオープンスムースを掲げているモデルでの場合、「中域がトゥイーターから出ることによって、ボーカルがより立体的に前に出てくるような感じであったり、ステージがパッと広がるように聞こえます」と説明。
今回フルモデルチェンジを行なったFシリーズにも上位のVシリーズ譲りの思想が注ぎ込まれていると述べた。
それぞれのユニットに関しても大きく改良が加えられたとして、まずトゥイーターをピックアップ。振動板をこれまでの樹脂から「2.9cmマイカ強化型抄紙ダイヤフラム」に変更することで高域をきれいに中域を豊かにしたほか、「ネオジムマグネット」により駆動力のアップと本体の小型化を、振動板を点接着する「頂点駆動方式」とすることで駆動力を強く確実に伝えるといった工夫をしているとコメント。
ウーファーについても「カーボン含有IMCC振動板」とすることで軽さと強さをアップしスピード感ある音楽再生を可能にしたほか、上位モデル譲りの「高性能磁気回路」やスチール製「トラスバスケットフレーム」を採用。どちらも新設計とすることで「もっと聞いていたいというような音楽が楽しくなるような音作り」をしていることに加え、装着に必要なブラケットや変換コネクターなどが付属しており、「幅広い方にまずは手に取っていただけるようなエントリーモデルに仕上がっている」と述べた。
そのほか、トヨタ車専用スピーカーユニットおよび車種専用取付キットなどもラインアップしており、こうした商品を活用して「クルマで音楽をより楽しく、いい音でドライブに出かけていただきたい」と締めくくった。
デジタルミラー型ドライブレコーダーにフロントカメラ一体型「VREC-MZ300D」が新登場
パイオニア マーケティング推進部 国内マーケティング課 野末大祐氏はデジタルミラー型ドライブレコーダーを紹介。同社では「いつでも、しっかり録れる」「直感的で使いやすい」「大切なクルマに馴染む」ことにこだわって開発を行なっており、昨今シェアを伸ばしつつあるミラー型に関しては、ミラーに表示する映像とドライブレコーダーに記録する映像をそれぞれチューニングすることでクオリティをアップしていると説明。また、ミラーとしては1.0/1.5/2.0/2.5/3.0倍と5段階調節を可能とした使い勝手やスッキリとした装着が可能な取付性などのポイントを紹介。「荷物をたくさん載せるので後方視界が不安な方」や「初めてデジタルミラーに挑戦したい」といった方々にも検討していただきたいと述べた。
デモカーで聞き比べを実施
会場には新製品などを装着したデモカーが5台用意され、それぞれに視聴することが可能になっていた。オーディオのプロではない記者による主観にはなってしまうが、聴き比べてきたので参考にしていただきたい。
また、夏モデルとして発表されたデジタルプロセッサー「DEQ-2000A」との組み合わせも用意されていた。こちらは7月からオートバックスで先行販売されていたが、12月から一般店舗でも販売される予定だ。
ホンダ「シビックタイプR」
シビックタイプRは純正オーディオにDEQ-2000Aをアドオンしただけというシンプルなメニュー。こちらをオン、オフして聞き比べることができた。まず驚いたのがノーマルでも十分じゃないかと思えるほどの音の良さ。ボディ各部の高剛性化も効いているのかもしれない。だが、DEQ-2000Aのスイッチをオンにすると、それが一変。タイムアライメントの効果もあってボーカルがフロント中央に位置し、グッと奥行きのある印象になった。ベースの音の良さも手伝って十分にハイレベルなサウンドが楽しめる。シビックタイプRには車種専用セッティングデータが用意されているので手間なくジャストなセッティングにできるし、専用アプリを使えば自分好みの設定に追い込んでいくことも可能だ。装着は車種別専用ケーブルを純正ケーブルにカプラーオンするだけ。ボディに手を加えるわけではないので、ノーマルにカンタンに戻すことができるのもポイントが高い。
トヨタ「プリウス」
プリウスは純正オーディオにDEQ-2000Aとトヨタ車専用スピーカーTS-H100-TYを組み合わせた仕様。この9cm2ウェイスピーカーはダッシュボード上の純正位置に装着するタイプで、Fシリーズなどほかのスピーカー同様オープンスムースコンセプトを踏襲したモデルになる。こちらもDEQ-2000Aをオン、オフしての聞き比べ。ノーマルの純正を聴いたことがないので比べることができないが、TS-H100-TYの効果か音場がダッシュボードの上に位置していて聞きやすい印象。オンにすると定位が中央にキッチリするのはシビックと同様だ。ここ最近のトヨタ車はドアスピーカーの交換ができない(難しい)ため、手軽なサウンドアップとしては効果的なメニューといえる。
トヨタ「ランドクルーザー250」
こちらもプリウスと同様の組み合わせ。車室内空間のボリュームが異なるためか、ノーマルでもプリウスより広がり感のある印象だ。DEQ-2000Aをオンにすると広がり感に定位感がプラスされるのは同じだけれども、こちらの方が奥行き感がより強く感じられてイイ感じだ。ちなみに、ランドクルーザーには車種専用セッティングが用意されていないため、パソコン(Windows)用の専用ソフト「DSP Controller」を使ってセッティングする必要がある。
スズキ「スペーシア」
ディスプレイオーディオをメインユニットとして使い、フロントに新型Fシリーズスピーカー「TS-F1750D」を装着し、パワードサブウーファー「TS-WX140DA」をプラスしたもの。こちらはもうイントロを聴いただけでも「こりゃいい」って感じ。低域から高域までバランス良く、伸びのあるボーカル、迫力あるドラム&ベースとそれほど音量を上げなくてもゴキゲンな音の世界が楽しめる。このシステムはカーナビやディスプレイオーディオが装着されているなら、実質的にはスピーカーを変えてサブウーファーをプラスしただけなので、コスト的にもそれほど負担にならずに実現できる内容。スピーカーを変えることができるクルマならまずはオススメしたいメニューだ。
ホンダ「フリード」
今回の新製品ではなく、ひとクラス上のCシリーズスピーカーを装着、パワードサブウーファーも大きな「TS-WX400AS」をチョイスしたメニュー。メインユニットは「楽ナビ」で、11月発売予定の専用取付キット「KK-H88DE」を使って装着している。こちらはドアにデッドニングが施されていることも相まって、ひとクラス上の仕上がり。ハンドクラップなど高音は粒立ち良く1音1音がしっかりと聞き取れ、ベースやギターの弦の震え、ボーカルの息遣いも艶めかしく聞こえる。オーディオが趣味とかじっくりイイ音で楽しみたいなんて人でも満足できるのでは、と思えるサウンドだ。



































































