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パナソニック、ナノイー技術によるクルマを運転中の集中力向上効果を確認する生体検証実施
交通事故が発生しやすい状況でα波の減少など脳波影響を確認
2025年12月15日 17:55
- 2025年12月15日 発表
パナソニックは12月15日、同社の「ナノイー(帯電微粒子水)」技術がドライバーに与える影響を科学的に検証するため、インド工科大学ボンベイ校(以下、IITB)交通システム研究室の教授監修のもと、運転者に対するナノイー(帯電微粒子水)技術の運転中の集中力向上効果を検証する試験を実施したことを明らかにした。
検証試験では、生体データ(脳波およびアイトラッキング)と運転操作データ(アクセル、ブレーキなど)を組み合わせ、認知・判断・操作の運転タスクの一連のプロセスを科学的に分析。ナノイー(帯電微粒子水)技術が、集中状態の高まりや視線行動の安定化など、運転者のパフォーマンス向上を支援する可能性を確認できたという。
同社の「ナノイー(帯電微粒子水)」の発生原理としては、霧化電極をペルチェ素子で冷却し、空気中の水分を結露させて水をつくり、霧化電極と向き合う対向電極の間に高電圧を印加することで、OHラジカルを含んだ、約5~20nmの大きさのナノイー(帯電微粒子水)が発生する仕組み。
同社が過去に行なったナノイー(帯電微粒子水)技術の生体検証として、人に精神的、身体的負荷を与える試験を実施。 ナノイー(帯電粒子水)技術のあり・なしの環境で比較したところ、ストレスに関する指標として、ナノイー(帯電粒子水)技術のありの環境化で、血中NK細胞(16・56+)数の減少と血中セロトニンの増加を確認。また、集中力に関する指標として、血中セロトニンの増加と血中ノルアドレナリンの増加が確認できたという。
同日開催された技術発表会で、パナソニック くらしアプライアンス社 くらしプロダクトイノベーション本部 コアテクノロジー開発センター所長の佐々木正人氏は「今回着目したのは、セロトニンと覚醒や集中力に関与するノルアドレナリンの変化でございます。セロトニンはストレス低減に関与するだけではなく精神安定を通じて集中力の指標としても用いられます。これら二つの物質は、集中している状態で増加するというふうに言われておりますけれども評価の結果、両者とも増加したことが確認されました。この結果から、ナノイー技術では、人に負荷がかかる状況において、集中力向上の効果が期待できるという可能性が示唆されました。このように、ナノイー技術には生体への効果があるということを確認をしております。この知見を踏まえまして、精神的、身体的負荷がかかる状況や、集中力が求められる活動でのお役立ちの可能性を検討し、その中でもクルマの運転に着目をいたしました」と、今回の取り組みについてその背景を語った。
今回行なわれた試験方法については、パナソニック くらしアプライアンス社 くらしプロダクトイノベーション本部 コアテクノロジー開発センター 機能デバイス開発部 主任技師 岡田俊宏氏が説明。試験方法としては、一般的に想定される「歩行者の飛び出し」「交差点右折進入」「片側道路封鎖」「低速車両の追従」「看板による注意散漫」といった5パターンの危険な状況を設定したコースを走行、試験時間は各25分としている。
測定項目として「脳波(α波)」「アイトラッキング(注視回数、停留時間)」「車両スピード」「進行方向加速度」「車体横加速度」「ブレーキフォース」の数値が検証された。この検証で確認できたポイントとして、岡田氏は「脳波計測では集中力の向上を示唆する変化を確認、視線計測では注意力の向上を示唆する変化を確認、運転操作では運転操作の安定性の優良化を示唆する変化を確認」と報告した。
これまで同社は、ナノイー(帯電微粒子水)技術の清潔(除菌・脱臭など)や美容分野での効果を中心に検証してきたが、今回の研究では新たな可能性を探るべく、ドライビングシミュレーターを用いて、運転環境における生体への影響を科学的に分析。
今回の研究結果については、実車とは異なる試験条件下で、インド在住者を対象に実施されたものであり、日本国内でのさらなる研究が必要であるとしながら、ナノイー(帯電微粒子水)技術は、運転をはじめとする高度な情報処理・操作を必要とする作業において、人の集中力を支援する技術としての発展に期待している。
佐々木所長は「これまでナノイー技術は主に物への効果検証を中心に研究を進めてまいりましたけれども、今回の検証のように、人への効果に関する科学的検証にも取り組んでまいります。安心で快適な生活環境を全ての人に、今後もパナソニックのナノイー技術にぜひご期待ください」と話した。















