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トヨタの新型スポーツカー「GR GT」搭載の新開発V型8気筒 4.0リッターツインターボエンジンと、1モーターハイブリッド8速AT
2026年1月9日 08:49
TOYOTA GAZOO Racing(GAZOO Racingへの変更が発表されている)の新型スポーツカー「GR GT」。レーシングカーであるGT3車両と同時に開発された公道を走ることが可能なクルマだが、一般市販車とは思えないほどスポーツに振りきったエンジンが搭載されている。
パワートレーンのシステムとしては、フロントに新開発のV型8気筒 4.0リッターツインターボエンジンを搭載。このエンジンはドライサンプとなっており、エンジン下部にオイルタンクを装備しないためエンジンの出力軸が極めて低い位置にある。
これにより低重心を実現。この低い位置に配された駆動軸を後輪方向に延長。ハイブリッドモーターが1つ搭載され、リアのトランスアクスルに接続。トランスアクスル後部で出力軸を折り返し、後輪を駆動している。
このエンジンの主要諸元は、排気量3998cc、ボア×ストロークは87.5×83.1mm。ボアストローク比0.949のショートストロークタイプになる。87.5mmというボア値から分かるように、これはGRヤリスなどに搭載されているG16-GTS型エンジンと同様のサイズ。ストロークは短いものの、燃焼の考え方は同じ延長線上にあるのかもしれない。トヨタ内部では、このGRヤリスのエンジンやGRヤリスミッドシップに搭載されて開発デビューしたG20型エンジンは「Gモジュール」とも呼ばれており、モジュールと名がついているからにはG16型と同じ考え方のエンジンを展開していこうという考え方があるのかもしれない。
実際、エンジン設計で大きな要素となるボア値は同じため、燃焼もタンブル(縦渦)で回すという考え方をしている。難点はショートストロークエンジンのため、理論的には低回転時のトルクが薄くなってしまうことだ。
しかしながら、このV型8気筒 4.0リッターツインターボエンジン(仮称でG40型としておく)であれば、1モーターのトランスアクスルハイブリッド機構と組み合わされているため、低速・低回転時のトルク不足はモーターで補うことができる。このモーターは、いわゆるモーターのみでのEV走行を想定しておらず、トルクアシストのみとのこと。低速・低回転時のトルク不足を隠蔽するというかしこい使い方となっている。
なにより、このG40型エンジンがレーシングエンジンとなった際は、高速・高回転しか使わないため、ハイブリッド機構を取り外せばOK。
1モーターハイブリッドのトランスミッションは8速ATで、駆動方式はFR(フロントエンジン、リア駆動)を実現。トランスアクスルなどは重量配分を考慮したものになり、前後重量配分は前45:後55。駆動用バッテリもこの1モーターハイブリッド8速ATの上方にあり、後車軸よりも内側に追い込みたかったものと思える。
パワートレーンの構成としては、エンジンの出力をCFRP(カーボンFRP)製のプロペラシャフトでリアに導き、そこにモーター断続用の湿式多板クラッチを配置。さらに主駆動軸断続用のWSC(ウェット・スタート・クラッチ)も配置して、後方の8速ATに導く。そしてそのATの出力を後端で折り返してデフギヤに戻し、不等長になるため等速ジョイントで後輪を回している。
GR GT3ではレーシング仕様になるため、おそらくマニュアルなどへのコンバージョンが行なわれるものと思われる。そうすることで、これほど複雑なハイブリッド機構は不要となり、よりシンプルに、よりダイレクトに駆動を与えられる。
公道仕様のGR GTではハイブリッド機構で低速でもトルクのあるスポーツカーとして成立させ、サーキット仕様のGR GT3ではシンプルにすることで戦闘力を上げていく。GR GTとGR GT3は、よく考えられたパッケージになっている。
東京オートサロン2026では、このエンジンやトランスアクスルも展示されるとのことだ。トヨタが現時点で持てる技術を注ぎ込んだスポーツカーのテクノロジを見られる貴重な機会となるだろう。






