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スバルが新組織「スポーツ車両企画室」で開発する新型車「ハイパフォX2」クルマをゼロベースで作り直しインマニは特許出願中の新技術投入

スーパー耐久開幕戦に登場した新しいS耐車「ハイパフォX2」こと「SUBARU HIGH PERFORMANCE X VersionII」

スーパー耐久に2026年シーズンから投入する「ハイパフォX2」

 スバルが3月21日~22日に開催されたスーパー耐久第1戦もてぎに新たに投入したS耐車「SUBARU HIGH PERFORMANCE X VersionII」。スバル伝統の水平対向2.4リッターターボエンジンに、スバル伝統の4WD機構「シンメトリカルAWD」を採用する、スバルらしいレーシングマシンとなる。

 2025年まで参戦していた「SUBARU HIGH PERFORMANCE X」(ハイパフォX)の知見を活かしたマシンとなり、ボディ形状はジャパンモビリティショー2025で公開された「Performance-B STI concept」と同様の5ドアハッチバックタイプとなる。

搭載エンジンは「FA24型」水平対向4気筒 2.4リッターターボエンジン。最高出力364PS、最大トルク475Nm。新技術も投入されている

 名称もハイパフォXの学びを活かしたもの、また、インプレッサWRXのヘリテージを継承する意味もあり「VersionII」の名称が用いられており、略称としては「HiPerfX2(ハイパフォX2)」となる。略称にハイパフォXIIという表記も考えられたようだが、ローマ数字を読める人には混乱を招いてしまうので、ハイパフォX2とアラビア数字でバージョン表記をしておく。スバル推奨のハッシュタグは「HiPerfX2」ではあるが、大文字小文字の組み合わせはなかなか打ちづらく、本誌ではカタカナ表記としておく。

 このハイパフォX2だが、搭載するエンジンは前述のように「FA24型」水平対向2.4リッターターボエンジンとなるが、最高出力364PS、最大トルク475Nmと高出力・大トルクを発生。ハイパフォXからインテークマニホールド形状を変更し、エアの吸入効率を上げている。

赤いインテークマニホールドが目を引くハイパフォX2。インマニには結晶塗装が施されており、EJ20で使われていた技術の伝承が図られている
FA24を別角度から。コンパクトな水平対向エンジンがよく分かる

インマニには特許出願中の新技術を投入。ボディ剛性も最新の研究を反映

 その形状も特許出願中という特殊なもので、従来の樹脂では成形が難しく(もちろんできないことはないが、現時点では量産車でないため樹脂を用いるメリットが小さい)、新たに鋳造によって作られている。鋳造であれば1品ものの生産がしやすく、中子の自由度も高い。鋳造で製造しているため、かつてのWRX STIに搭載されていたEJ20型エンジンと同様の結晶塗装(ちぢみ塗装)も実施。スバルの中でロストテクノロジになりつつあった技術だが、技術の継承という観点から採用したとのことだ。

 大きく変更されたボディだが、このボディにも新たな試みがなされている。自動車技術会賞において自動車技術会「浅原賞学術奨励賞」を受賞した技術が用いられており、フロントまわりから発生した力をリアまわりへ伝達する速度を上げてあるという。つまり、ステアリングを切った際に発生する力を後輪へと伝えやすくしており、コーナリングに必要な車体横滑り角の発生タイミングを早くし、結果コーナリング性能に優れた結果をもたらす。具体的な変更点はサイドシル下部あたりといい、フロア下部の形状に手が入っているようだ。

 ちなみに浅原賞学術奨励賞を受けた論文は、「振動エネルギー伝搬分析に基づく車体骨格特性の要件化に向けた基礎検討」阿部啓介(株式会社SUBARU/神奈川大学)で、論文も公開されているため興味がある方は調べてみるのもよいだろう。

 ステアリング操作に関わるタイヤからの入力をしっかり受け止めるために、フロントのマクファーソンストラットを変更。片側50mm外に出してワイドトレッド化するとともに、アップライト、ロワアームを新規に作製。ストラットの基部とボディの取付部も強化されている。

4月1日付けで発足するスポーツ車両企画室

スバルのピット内で行なわれたハイパフォX2説明会。現場感あふれる説明会となっていた

 このハイパフォX2は、4月1日付けで発足する「スポーツ車両企画室」で担当され、スバルとして総力を上げて取り組んでいくようだ。

 これまでもスバルの航空宇宙カンパニーや技術本部の協力によるリアウィングは投入されてきたが、今回は全面的にスバルとして取り組む姿勢を見せており、資料には開発施策部 技能五輪&技術本部の名前も見られる。この技能五輪メンバーによる作品は、リアサイドウィンドウ後方の冷却口となり、深い絞り込みが行なわれている。

スバルはモータースポーツに対する取り組みを本格化する
ブランド戦略。車両だけでなく、アクセサリーやパーツの分野にも取り組んでいく
モータースポーツ参戦の意義。WRCの参戦ラリー車が最も上にあるのが気になるスライド
スーパー耐久では技術を鍛えていく
商品革新本部を新設。スポーツ車両企画室が設けられる
MSはモータースポーツ、VCはバリューチェーン
2026年の活動
2026年参戦車両はハイパフォX2。スバルのアセットを活用していく
ボディ・シャシーに新技術を投入
外装も空力にこだわったもの
エンジンルーム。特許出願中のインマニを装着
駆動系に投入の技術。DCCDも改造バージョンを投入している
データもきっちり取得。UI改善につなげていく

 パワートレーン関係ではエンジンの強化もあるが、トランスミッションも改善(TY85改に)。4WDのDCCD駆動比をVAB型 WRXSTI 41:59→新型 34:66とリアよりに変更。伝達能力に優れたボディとともにコーナリングに寄与するようだ。

 リアに取り付けられている電子制御LSDについても、制御を含めた開発を実施。スバルのフィードフォワード制御と、リア電制サプライヤーであるボルグワーナーのフィードバック制御を組み合わせた開発を行ない、「曲がるAWD」の実現を目指している。

 さらにステアリングまわりのスイッチの最適化にも取り組む。ドライバー4 名の操作頻度に基づくスイッチ配置の最適化を行ない、より使いやすいコクピットの実現を模索していく。ここは4人のドライバー(社員ドライバー 伊藤和広・花沢雅史氏、プロドライバー 山内英輝・井口卓人氏)の好みが計測によって出ており、データを取りつつ煮詰めていく部分になる。

参戦ドライバーと参加レース
モビリティリゾートもてぎではサイン会も行なわれた

 そのほか、スーパー耐久において自動車OEM 5社で取り組んでいる共挑として、エネオス製の低炭素ガソリンを使用。20%のカーボンニュートラルエタノールが加わったE20燃料で、2025年シーズンの取り組みに加え、2026年は新たな取り組みを行なうとしている。

エネオス製のE20燃料を使用する

 スバルは、このハイパフォX2でスーパー耐久に参戦。開幕戦もてぎのほか、第2戦鈴鹿、第3戦富士24時間、第5戦オートポリス、第6戦(最終戦)富士への参戦を予定している。

スポーツ車両企画室の気合いを示す発表が最後に行なわれた
BRZベースの水平対向ターボ4WDを全日本ラリーに投入するとのサプライズ発表。大きな話題となっている
ハイパフォX2
ハイパフォX2
ハイパフォX2
ハイパフォX2
ハイパフォX2
ハイパフォX2
ハイパフォX2