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トヨタ 近健太次期社長、グローバル仕入先総会で「今の競争力基盤を立て直し、『トヨタの強さ』を取り戻す」と宣言

トヨタ自動車株式会社 次期社長 近健太氏。写真は2026年2月6日の社長交代記者会見時のもの

 3月25日、トヨタ自動車はトヨタアリーナ東京で「Toyota Supply Partners Convention(グローバル仕入先総会)」を開催した。このグローバル仕入先総会は、トヨタの仕入先である国内385社、海外99社、計484社の733名、およびトヨタ自動車 代表取締役社長 佐藤恒治氏や次期社長 近健太氏らトヨタ関係者 約40名が出席するもので、今回で22回目となる。これまでは「仕入先総会」と呼ばれてきたが、今回からグローバル仕入先総会に名称変更された。

 グローバル仕入先総会では、仕入れ先の表彰が行なわれたほか、佐藤恒治社長や近健太次期社長がプレゼンテーション。トヨタの目指す方向性などが語られた。

佐藤恒治社長(左)と次期社長の近健太氏(右)

 近健太次期社長のプレゼンテーションでは、トヨタの危機感が語られた。その上で「今の競争力基盤を立て直し、『トヨタの強さ』を取り戻す」ことが近氏の一番の仕事であるという。そのために、「やめる」などの決断をしっかり行ない、徹底的に競争力にこだわると語る。佐藤社長のプレゼンテーションではスピードが語られたが、近次期社長のプレゼンテーションでは徹底的に競争力にこだわった決断が語られた。近健太氏は4月1日に社長に就任するが、トヨタは大きく変わっていくことになるのだろうか?

トヨタ自動車 次期社長 近健太氏プレゼンテーション

 みなさま、こんにちは。近でございます。本日はご参加いただき、誠にありがとうございます。

 佐藤からもありましたとおり、トヨタのチーム経営のキャプテンを務めることになりました。チーム一同、精いっぱい努力してまいります。変わらぬご支援をいただきますよう、なにとぞ、よろしくお願いいたします。

 私たちを取り巻く環境は厳しさを増すばかりです。決算数字などから、「トヨタは安泰だ」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、まったくそんなことはありません。

 トヨタの競争力基盤は明らかに弱くなっています。リーマンショックの時、創業以来の赤字に転落し、たくさんのプロジェクトを止めざるを得なくなりました。F1撤退、NUMMI撤退など、当時、社長だった豊田は、毎日のように、誰かが悲しむ、つらい決断をしておりました。

 そして、こう申しておりました。「急成長しても急降下すれば、多くのステークホルダーの皆様にご迷惑をお掛けする。いい時は、みんながいいから大丈夫。悪い時こそ、サプライチェーンを支えるために踏ん張れる会社、そんな会社にトヨタをしたいんだ」と。

 私は秘書として、近いところで、その姿を見てまいりました。

 だからこそ、今の私がしなければならないことは、1つです。仕入先のみなさまをはじめ、トヨタを信頼してくださっている多くのステークホルダーの方々に、ご迷惑をおかけしない。そのために、今の競争力基盤を立て直し、「トヨタの強さ」を取り戻す。それにつきると思っております。

 私は現在、ウーブン・バイ・トヨタに在籍をしております。外国人の同僚から、こう言われ、ハッとしました。「トヨタほど、お客さまや社会のためを思って、行動している会社はないじゃないか。そういう理念を持ったトヨタが絶対に勝たないといけない。そのことを、トヨタ自身が忘れているんじゃないか?俺はそれが一番頭にくるんだ」と。

 そういう彼の言葉が、私に原点を思い出させてくれました。「日本に自動車産業を興し、この国を豊かにしたい」という豊田喜一郎の志に共鳴し、クルマづくりに挑戦された、創業期の仕入先のみなさま。仕入先のみなさまを前に、喜一郎が、解体したエンジン部品を部屋に広げて、「この中から、できるものを持って行ってください」と声をかけ、「自動車は未知の世界。今までの織機や紡織の技術が役に立つかはわかりません。部品ひとつひとつから出発しなくてはなりません。トヨタとともに苦労を分かち合ってください」

 そう、お願いしたことから関係が始まりました。これがトヨタのスタートなんだと、私は豊田から教わりました。

 トヨタとは、トヨタ自動車だけのことではありません。そして、日本だけのことでもありません。我々のクルマづくりに関わってくださる世界中の仕入先のみなさまとともにある。それが「チーム・トヨタ」なんだ。私は、そう教わってまいりました。

 我々は、ともに勝たなければなりません。私自身が現場に入り、苦労している一人一人の顔を見て、声を聴いて、彼ら彼女らだけでは変えられない、トヨタの仕事のやり方や仕組みを見直してまいります。

 私自身が「これはやめる」と決断し、行動してまいります。勝つためです。みなさまにも、徹底的に競争力にこだわっていただきたいと思います。グローバルで勝てるよう、強くなっていただきたい。そう、思います。それが「チーム・トヨタ」の勝ちにつながる。私は本当にそう思っております。

 「トヨタの大番頭」と言われた石田退三さんは、「トヨタと仕入先さま関係は、どこまでも一心同体、血の通ったものでなければならない、いつのときでも共存共栄の精神を失ってはならない」という考えを持っていたと学びました。一方で、「仕入先さまとの協力一致は、決して、温情と甘えに基づく妥協の産物ではない」とも言っております。お互いがお互いに、強くなるための行動を求める。そして、ともに強くなる。そのような厳しい関係、開発や生産の現場においては上も下もございません。

 本気・本音のコミュニケーション、そして、私自らの行動で、みなさまとの信頼関係を築いてまいりたいと思います。

 これからも、どうぞ、よろしくお願いいたします。