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レクサス、3列シートSUVのバッテリEV 新型「TZ」世界初公開 新開発バッテリ搭載で1充電620kmを走行可能
2026年5月8日 07:23
- 2026年5月7日 開催
トヨタ自動車は5月7日、愛知県豊田市-岡崎市にあるトヨタテクニカルセンター下山で新技術発表会を開催。この場でレクサスブランドから2026年冬ごろの発売を予定する3列シートSUVの新型バッテリEV「TZ」を世界初公開した。
発表会でプレゼンテーションを行なったトヨタ自動車 執行役員 CBO(Chief Branding Officer)デザイン領域 領域長のサイモン・ハンフリーズ氏は、会場となったトヨタテクニカルセンター下山について最初に解説した。
2024年3月に全面運用がスタートしたトヨタテクニカルセンター下山はトヨタやレクサスの市販車、さらにレース専用車両などを開発する拠点の1つであり、従来は部外者の入場を厳しく制限することが常となっていたが、当時の豊田章男社長(現会長)はこの施設を単なる車両開発の場ではなく、地域に住む人々との“共生の場”と考え、トヨタテクニカルセンター下山を一般公開していると説明。
また、トヨタの評価ドライバーとして中心的な役割を担い、豊田章男会長が「運転の支障」と仰ぐ故成瀬弘が遺した「道がクルマをつくる」という言葉を実現するため、トヨタテクニカルセンター下山では開発車両による「走る、壊す、直す」という一連の作業を連日繰り返しており、レクサスやGRといったブランドの未来が生まれる“現場”になっているとした。
そんなトヨタテクニカルセンター下山で初めて発表する新型モデルのレクサス TZは、同時に近健太氏が4月1日付けで代表取締役社長 CEOに就任した新体制で発表する最初のモデルでもあるとハンフリーズCBOは紹介。
近社長は自身でも「自分は財務の人間だ」と口にしているが、実際には人材に対する投資を行ない、トヨタテクニカルセンター下山や静岡県裾野市にあるトヨタの実験都市「Toyota Woven City」についても近社長がCFO(最高財務責任者)時代に整備が進められてきたなど、現在の車両開発にも大きく関わってきていると語った。
続いてレクサスブランドについて。これまでレクサスはトヨタのなかでラグジュアリーブランドとして位置付けられてきたが、新たに「センチュリー」がスーパー・ラグジュアリーを担うブランドとして独立して現在では、レクサスはラグジュアリーを中心としつつ、さらに自由に進化できるようになったという。
「DISCOVER」をキーワードに設定して「新たなラグジュアリーライフスタイル」を発見するため、完全な没入体験をもたらし、五感すべてに訴えかけるこれまでにない体験を提供する「LFA Concept」、あらゆる体験を楽しみたいという願いに応え、ドライバーにとっての楽しさ、乗員にとっての快適さを両立させる「二律双生」を発見する「LS Coupe Concept」、フロント2輪、リア4輪という6輪スタイルでパッケージングを革新し、自分だけのプライベートな空間を提供する「LS Concept」といったコンセプトカーをこの2年間に公開。
さらに「道に縛られない未来」も見据え、空や海でのパーソナル移動によって場所を問わない完全に自立した暮らしを可能として、人々に自立したラグジュアリーな生活を提供していくという。未来のライフスタイルには多くの選択肢が必要になるとの考えを示し、人々は生活のあらゆる場面でこれまで以上に選択の自由と柔軟性を求めるようになり、そこにはクルマの電動化も含まれると分析。
一方で電動化には「空力による室内空間の制約」「バッテリへの不安」「ライフスタイルに合わないトーイングキャパシティ」といった課題もあり、バッテリEV開発における本質的な課題は「ユーザーのライフスタイルをクルマの都合に合わせる必要がないクルマをどのように造るかだ」とハンフリーズCBOは語った。
2025年4月開催の「上海モーターショー2025」で世界初公開された新型「ES」はこうした課題を解消するモデルとなっており、「HEVとBEVのどちらも選べる安心感」「静粛性、快適性、操作性を高めた走り」「高い着座位置による新たな視界」「より高い安心感と安全性」を実現。さらに乗り降りのしやすさを向上させ、人の視線を引きつける存在感も備えるなど、ユーザーが妥協なく電動化に踏み出す後押しをすると説明した。
後席乗員の快適性を高める「リアコンフォートモード」採用
プレゼンテーションの本題としてステージに招き入れ、世界初公開したレクサス TZのことを、ハンフリーズCBOは「妥協のない無限の可能性を発見するためのクルマ」と表現。かつてはより遠くまで家族や仲間と出かけ、日常を冒険に変えるSUVは長年に渡って自由の象徴となっていたが、昨今では家族が求めるものはさらに多くなり、多用途性や上質さに加え、電動化も求められているという。
電動ラグジュアリーSUVの新しい基準として生み出されたレクサス TZは、性能やクラフトマンシップを現代のライフスタイルに融合させたまったく新しい電動SUVとなっており、BEVセグメントで不足しがちになるスペース面の課題をロングホイールベースによって克服。3列シートによる新たなユーティリティと柔軟性で多くの可能性を手に入れている。
広い室内空間と空力性能を高い次元で両立させることは電動車の設計で最も難しい課題の1つだが、3列シートを実現するロングホイールベースのボディで流れるようなシルエットと堂々としたスタンス、力強い存在感を表現しつつ、面の構成は統合されてモダンな仕上がりとなっている。一方、ボディ周辺に流れる空気をトータルでコントロールして、Cd値は一般的なセダン並みという0.27を実現している。
インテリアではより人間味あふれるデザインを与えて開放感ある視界を実現するほか、竹を素材として使ったパネルの上から光を拡散させ、センサリーコンシェルジュが選び抜いた香りの空間演出も行なわれる。
また、静粛性の高い電動パワートレーンと高剛性ボディの組み合わせにより、唯一無二となる静かな室内空間を実現。世界的にも最も静かなSUVキャビンの1つになっており、その静かさは高速走行時であっても、3列シートのすべてで自然に会話できるほどだと強調した。
レクサス TZは全長5100mm、全幅1990mmというボディサイズからは想像できないほど軽快で、クーペを連想させる俊敏な走りを実現したと説明されたほか、ステアリングに設定されたパドル操作によってインタラクティブなマニュアルドライブフィーリングで遊び心を表現。さらにレクサス「LFA」のV型10気筒エンジンに着想を得たサウンドも選択可能となっており、軽やかなレーンチェンジとサウンドが美しく調和するという。
一般的にクルマでは後席の方が揺れを感じやすい傾向となるが、レクサス TZでは2列目、3列目のシートを“最も安定した空間”とする「リアコンフォートモード」を採用。駆動用モーターやキャリパーによる制動、後輪操舵、EPSなどを統合制御することで、ダイナミクスのバランスが大きく変化。単なる足まわりの柔らかさや広さではなく、「車両の動きそのものを制御すること」で快適性の再定義を行なっているという。
車載バッテリにはスマートフォン約7000台分に相当する電力が充電されて電力の持ち運びが可能になり、AIによる最適化ソフトウェアによって車両が停まっているときも蓄えられたエネルギーを賢くコントロール。災害などによる停電時には自宅を支える“動く蓄電池”としても活用できると説明。「BEVを所有する価値に、まったく新しい意味をDiscoverしていただけます」とした。
駆動用バッテリは同じレクサスのバッテリEVである「RZ」やESと共通仕様となる総電力量76.96kWhの「スタンダード」、ユニット内のセル構成などを一新した総電力量95.82kWhの新開発「ロング」の2種類が用意され、ロング搭載車による1充電あたりの航続距離は、北米のEPAモードでは300マイル、日本のWLTCモードでは620km。米国ではロサンゼルスからラスベガスまで、日本では東京から神戸まで一気に移動可能な数値を実現している。DC充電規格はCHAdeMO、NACS、CCS、GB/Tに対応する。
ハンフリーズCBOは最後に「レクサスは選択肢を大切にします。異なるライフスタイルに異なる選択肢を、そしてTZはその先へ進む1歩です。電動化によって実現した妥協のないクルマ。新たな空間、新たな体験、新たな可能性。探求するために、心を動かすために。モビリティを新たな形で体験するために。それこそが『Discover Limitless』です」とコメントしてプレゼンテーションを締めくくった。





































