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スズキ、農家で実証実験中のBEV軽トラック公開
2026年5月20日 00:00
- 2026年5月19日 公開
スズキは5月19日、静岡県浜松市で実証実験を開始している軽トラック「キャリイ」をベースにしたBEV(バッテリEV)軽トラックを公開した。
2026年2月より静岡県浜松市の農家と共同で実施している実証実験では、BEV軽トラックを実際の農作業現場や日常生活で使用してもらうとともに、V2H(ビークル・ツー・ホーム)システムを活用し、BEV軽トラックのバッテリに蓄えた電気を自宅で使用してもらおうというもの。
農作業に必要な性能と「バッテリリーン」な設計の両立を目指す
実証実験を担当するスズキ商品企画本部の後藤裕太氏によると、今回投入したBEV軽トラックは、従来の「キャリイ」が持つ最小回転半径や取り回し性、荷台スペース、最大積載量(350kg)をそのまま維持した状態でBEV化(コンバージョン)している車両。
車両にはLFPバッテリ(リン酸鉄リチウムイオン電池)を約100kg搭載。開発側の大きな狙いとして、長距離用途ではなく、日々の農作業や配送ルートに特化し、過剰にバッテリを搭載しないスズキ独自の「バッテリリーン」な容量設計を設定していることがポイントに挙げられた。
荷台スペースや積載性に影響を与えない効率的なバッテリ配置にこだわり、車両の軽量化とコスト低減を両立。さらに、悪路や未舗装路、ぬかるんだ畑での使用を想定し、ベース車の4WD(四輪駆動)機能をそのまま残した上で、低速域からしっかりとした力強いトルクが出る駆動セッティングが施された。
「給油の手間がない」「重い荷物を積んでも力強くスムーズ」
実際に静岡県浜松市で実証実験に参加している農家の本間さんは、BEV軽トラックの使い心地について、「以前のガソリン車のころは2週間に1回はスタンドへ給油に行っていましたが、その手間がなくなったのが何より楽です。基本的には毎日、配送から帰ってきたら自宅の充電器につなぎっぱなしにして、自動制御で充電しています」などと話し、農作業における実用性についても不満はないという。
「収穫時期によっても違いますが、収穫したキャベツやジャガイモ、大根など、100kg~300kg近くの重い作物を載せて、ファーマーズマーケットなど3か所、約35kmのルートを回っています。最初はBEVで大丈夫かなと心配もありましたが、ガソリン車と違って坂道や重い荷物を載せた出だしでも『キーン』とすーっと上がっていく感じで、パワー不足は全く感じません。音も静かで快適です」と、BEVならではの静粛性とスムーズな加速特性を評価していた。
V2Hシステム導入による安心感
今回の実証実験のもう一つの大きな柱が、エリーパワー製V2Hシステムを活用した「エネルギーの自産自消」。昼間に自宅の太陽光パネルで発電した電力を蓄電し、それを家庭に供給したりと、効率的なエネルギーマネジメントを行なうことを目的としている。
本間さん宅には10年以上前から太陽光パネルが設置されていて、V2Hシステムの導入により「災害時に停電があっても数日間は電気が賄えるという大きな安心感があります」などと話していた。
この実証実験は約1年間を予定しており、浜松市の実証実験のほか、静岡県湖西市、愛知県豊川市、熊本県阿蘇郡の農家とも実証実験を行なっており、スズキでは、農家の意見を直接聞きながら、車両データやV2Hシステムに関するデータを取得し、BEV軽トラックやV2Hの活用方法を検証。
実証実験を通じて、今後のBEV軽トラックの潜在需要やBEVの電池を活用した太陽光発電エネルギーの自産自消について検証し、より実用的で使いやすい製品開発やBEV関連サービスの提供を検討していく計画という。
















