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PTC、ALMツール「Codebeamer」のマツダやBMWでの活用や「Creo 13」のAI搭載、2つの新製品を紹介
2026年6月17日 11:30
- 2026年6月16日 開催
PTCジャパンは6月16日、都内で記者発表会を開催し、ALMツール「Codebeamer」の最新情報や、主力3D CADソフトウェアの最新版となる「Creo 13」の新機能の紹介、新たなSaaSプラットフォーム「PTC Jetstream」、アフターサービス向けアセット管理ソリューション「PTC Orbit」を発表した。
会場には米国本社でALMプロダクトマネジメントを担当するシニアバイスプレジデントのクリストフ・ブラオイクレ氏も来日し、自動車業界で急速に進むソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)開発における同社の戦略と、マツダやBMWといった国内外の有力メーカーでの導入事例を詳解した。
インテリジェント・プロダクト・ライフサイクルを繋ぎあわせることが重要
発表会の冒頭で登壇したPTCジャパンの神谷知信社長執行役員は「今、不透明な世の中に入っているが、製造業も全く同じだと考えている」と、現在の製造業が直面している情勢について言及した。同時にPTCも創業から40年として「最大の変革期」とした。
神谷氏はPTCが提唱する、要件定義から設計、生産、そしてサービスから維持までを1つのループで繋ぐ「インテリジェント・プロダクト・ライフサイクル」という概念の六角形の図を示し、「この六角形の非常に重要な要素が繋がってないというところが今の最大の課題。それによって、製品が早く生産できなかったり、課題が起きるとトレーサビリティが担保できなかったりする」と説明した。
さらに「この1つで要件変更があると、全部を見てどこが変更されているかを確認しなければならない」と指摘し、エンジニアに非常に負荷がかかっているのが製造業の実情」と指摘。そのうえで、AIによって構造化し繋ぎ合わせることで、創造的な業務に集中できる環境を構築することを目指しているとした。
アセットデータの管理ソリューション「PTC Orbit」
アフターサービス領域における新ソリューションとして発表された「PTC Orbit(オービット)」は、納入された設備や機器といった「アセット」の情報管理を効率化するプラットフォーム。
アフターサービスは、保守だけの情報管理をすればいいのではなく、設計を含めサービスまで多岐にわたる情報を把握している必要があるが、従来の製造業では設計、製造、サービスなどのデータが各部門で分断されていた。そこで、PTC OrbitではPLMやERP、CRM、といった多様な基幹システムからデータを集約し、アセットを軸とした巨大なデータベースを構築する。
このプラットフォームの核となるのがAIによる活用で、膨大なデータから不具合の傾向やビジネスチャンスを発見していく。さらに、不整合なデータのクレンジングも自動で行ない、重要な知見を設計現場へフィードバックする役割を担うという。
協業作業の情報を安全に共有する「PTC Jetstream」
もう1つの新製品は「PTC Jetstream(ジェットストリーム)」で、これまでメールやチャットツール、個別の会議などに分断されていた協業作業を、統一したSaaSのプラットフォームで展開するソリューション。
製品データを安全なかたちで共有することを目的に、3Dデータ、図面、ドキュメントデータを共有する。共有方法は作業部屋を作成し、参加者を社内や外部を含めて招待して構成する。さらに、SaaS環境で提供するため、すぐ登録してすぐ使えることも重視した。
格納した情報はAIが学習して作業提案や要約情報もユーザーに提供する。保存するデータは図面などだけではなく、TeamsやZoomによるミーティングによるレビューや意思決定までも記録、点在していた情報をPTC Jetstreamで一元管理する。この情報をもとに新製品開発するサイクルも提供するという。
最新の3D CADソリューション「Creo 13」に搭載されたAI機能
既存の3D CADソリューション「Creo 13」については過去最大の機能強化とし、特に「AI for CAD」の搭載をはじめユーザーの生産性が上がり、モデルベース定義、解析駆動型の設計、電動化や複合材という新しい材料を使った設計にも対応する。
AIの活用においては「アドバイス(助言)」「アシスト(支援)」「オートメイト(自動化)」という3段階の成熟度のフレームワークを定義した。Creo 13で全ユーザーに無料提供される「Creo AI Assistant」は「アドバイス」を具現化したもので、チャットインターフェースを通じてAIから直接操作ガイダンスなど受けることができ、マニュアルの検索などを自然言語による問いかけで即座に問題を解決できるようになるという。
アドバイスの先にあるアシストでは、モデル全体のフィレットを表にするといった具体的な作業をAIが代行し、将来的にはAIが自ら提案する「オートメイト」への進化も見据えている。自動化ではAIが勝手に変えてしまうようなことがないようにするとし、設計者が本来行なうイノベーティブなところに時間を使えるようにするという。
ALMツール「Codebeamer」の最新情報
続いて、クリストフ・ブラオイクレ氏からは、自動車開発の現場で不可欠な存在となりつつあるALM(アプリケーション・ライフサイクル・マネジメント)ツール「Codebeamer」の最新情報が紹介された。
クリストフ・ブラオイクレ氏は、現代の自動車においてソフトウェア開発の占める割合が人間のエンジニアの脳で対応できる範囲を超えて複雑化していると指摘。Codebeamerが要求管理からテスト、リリースまでの一連のプロセスを管理するプラットフォームであり、最新のAI機能によってエンジニアの負荷を大幅に軽減すると説明した。
具体的には膨大な開発コンテンツの中から意図した情報を探し出す「セマンティック検索」や、要求項目の品質が適切かどうかをAIが検証するアシスタント機能、さらには要求内容を網羅したテストケースを自動生成する機能などが実装される。これらの機能は、開発の下流工程で品質問題が発生するのを防ぎ、開発期間の短縮に大きく貢献するという。
国内での具体的な導入事例として、マツダの取り組みが紹介された。マツダでは、SDV開発においてCodebeamerを活用し、従来ドキュメント中心だった開発スタイルをデジタル開発へとシフトさせている。仕様管理における垂直方向のトレーサビリティに加え、パワートレーンや車両開発といった部門をまたぐ水平方向の展開も進んでいる。
また、海外事例として挙げられたBMWでは、レガシーなALMツールを完全に廃止し、Codebeamerを全社的なコラボレーションプラットフォームとして一本化。自動運転レベル3やEV、ハイブリッドといった全ての領域で要求管理から認証までをCodebeamerで完結させることで、トレーニング費用や管理コストの抑制、そしてAI活用によるメリットを最大限に引き出す戦略を採っている。
さらにランボルギーニにおいても、ハイブリッドエンジンの開発やソフトウェア中心の新機能開発において、トレーサビリティの確保や開発期間短縮のために同ツールが活用されているという。
日本の完成車メーカーでは2社を除く各社がCodebeamer導入か導入検証中
なお、日本市場におけるCodebeamerの浸透具合に注目が集まった。PTCジャパンの担当者によれば、日本の自動車完成車メーカー(OEM)のうち、Codebeamerの導入も検討もしていないのは「2社」だとし、そのほかのメーカーは本格適用中か本格適用に向けて検証をしている最中であるという。
また、Codebeamer採用の実績についても、マツダに関してはCodebeamerの導入からそれほど年月が経っていないことから、すでに発売されている車種の開発には関わっていない。そのため、将来発売される新型車に適用されるとし、その成果はまだ分からないとしながらも、開発の手戻りについて効果を実感するものがあり、開発に関する会話もスムーズになってきているという。



















