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インフィニオン、GaN搭載の次世代半導体による次世代オーディオシステム説明会 クラスDオーディオの音質を格段に向上
2026年6月18日 06:00
- 2026年6月17日 開催
GaNはカーオーディオにも革新をもたらす可能性を持つ技術
インフィニオンは6月17日、窒化ガリウム(GaN)や炭化ケイ素(SiC)を用いた次世代半導体が実現する次世代オーディオに関する説明会を開催。インフィニオン テクノロジーズ アメリカ シニア プリンシパル エンジニア 本田潤氏が、主にGaNを用いたクラスDアンプのオーディオシステムについて説明した。
これまでパワー半導体で音を増幅させるクラスDアンプには、シリコン(Si)MOSFET(オーディオアンプなどで電力の制御やON/OFFを行なうために使われるパワー半導体)が主に用いられてきた。しかし、Si MOSFETにはボディダイオードを搭載する構造によりノイズが発生し、これを回避するために設けられたデッドタイム(空白時間)によって歪みが発生してしまうこと、発熱が大きく巨大なヒートシンクが不可欠であることからシステムが大型化してしまうこと、発熱やノイズの影響でスイッチを切り替える速度の限界があり音の広帯域化が難しいこと、といったデメリットがあったという。
そこでインフィニオンでは、Siと比較して高効率かつ低発熱であり、Si MOSFETに不可欠だったヒートシンクを省略して小型化も可能なGaNに注目。GaNはON/OFFのスピードが非常に速く、従来のSi MOSFETと比べると約2.5倍の高速スイッチングが可能。加えて、GaNではボディダイオードを必要としないため、スイッチング時にノイズが発生しなくなるとともに、デッドタイムを短くできるため歪みも抑えられるという。そのため、GaNではSi MOSFETのデメリットがクリアでき、楽器のタッチやボーカルの抑揚といった細かな違いまでわかるようなハイレゾオーディオの高音質再生が可能になるとした。
説明会では東京エレクトロンデバイスの協力で、実際にSiアンプとGaNアンプの聞き比べが行なわれ、どちらもかなり素晴らしい音ではあるものの、Siアンプでは粒がはっきりと独立していて、ずっと聞いていると耳が少し疲れてしまいそうな印象。対してGaNは粒がありつつも音が滑らかに広がり、耳ざわりがとてもよくずっと聞いていられそうな印象を受けた。また、GaNアンプの方が、ボーカル曲の声の引き立ち方がきれいに聞こえた。
さらに、GaNアンプは小型かつ低発熱であることからカーオーディオにも向いているといい、現在カーオーディオのトレンドでもあるAIを使った音場の調整や3Dオーディオ、アクティブノイズキャンセリング、ロードノイズキャンセリングを実現するとともに、省エネにも貢献できるとしている。まだカーオーディオへのGaNアンプの採用には至っていないというものの、電動化などにより車室内の音はかなり重要視されてきているため、採用はそこまで遠い未来の話ではないのかもしれない。車両にGaNアンプが搭載された暁には、カーオーディオの飛躍的な進化が起きるのではないかと期待している。
なお、GaNの採用コストについても、GaN自体の価格が以前よりは下がっていること、Si MOSFETと比較するとシステム自体を小型化できるため部品数を減らせることなどの観点から、Si MOSFETと比較しても大きな違いはなく、GaNの方が安価になる場合もあるのではないかと本田氏は語った。
また、本田氏はSiの代わりにSiCを用いたMOSFETも実用化されていると紹介。SiC MOSFETはSi MOSFETに似た構造でありながら、Si MOSFETの最大の弱点であったスイッチングのノイズが大幅に低減されているという特徴がある。また、高電圧にも対応でき、高温環境でも抵抗値が安定しており、高電圧で大出力を連続で出力しても安定した温度で動作するとしている。
加えて、SiC MOSFETはハイインピーダンスとローインピーダンスの共用が可能といい、これまで別々のアンプ製品を用意する必要があったものが、SiC MOSFET搭載アンプであれば、両方のシステムを駆動できるという。本田氏は「これはブレークスルーで、シリコンでは絶対にできなかったこと。われわれもちょっと興奮しております」と話した。
これらのSi MOSFETとGaN、SiCは競合するものではなく、それぞれの得意分野を活かして明確に使い分けが可能とのこと。GaNは超広帯域と低歪みを実現でき、小型化も可能なことから、ハイファイオーディオや車載オーディオなどに最適であり、SiCは大出力に対応し、過酷な環境での耐久性があることから、業務用途に最適であるとのこと。Si MOSFETはコストと性能のバランスがよく、すでに広く普及している基盤技術であることから、一般的なオーディオや従来のプロオーディオ向けに最適とした。

























