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ホンダ・レーシング 徃西友宏 四輪レース部LPLが語る、プレリュードGT初優勝&1-2フィニッシュの要因
2026年8月3日 11:32
8月2日、富士スピードウェイで今シーズン3戦目となるスーパーGT第4戦富士 300kmレースの決勝が行なわれた。この決勝レースでは、序盤に3台が絡むクラッシュから64号車 Modulo HRC PRELUDE-GTが宙を舞うアクシデントがあるなど混乱もあったが、300kmを走りきってのレース結果は100号車 STANLEY HRC PRELUDE-GT(山本尚貴/牧野任祐)、8号車 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(太田格之進/大津弘樹)が1-2フィニッシュとなり、HRC(ホンダ・レーシング)が2026年シーズンから投入した新マシンであるプレリュードGTの初優勝となった。
レース後、HRC 徃西友宏 四輪レース部LPL(ラージプロジェクトリーダー)、同 長谷川彰大 レース運営室チーフエンジニアが参加した囲み取材があり、プレリュードGT初優勝&1-2フィニッシュの要因などが語られた。
冒頭、徃西氏は64号車のアクシデントについて説明。チームからはドライバーであるイゴール・オオムラ・フラガ選手について無事であるとの連絡を受けていると説明(その後、NAKAJIMA RACINGからはフラガ選手について「検査の結果、異常はないことを確認しました。
ご心配をおかけいたしました」とのコメントがSNSで発信されている)。その上で、クラッシュした64号車については、さまざまな確認が必要なものの次の第5戦鈴鹿(8月22日、23日開催)までになんとか間に合うのではないかとの見通しを語った。
決勝後コメントです📝
— NAKAJIMA RACING (@nakajimaracing)August 2, 2026
フラガは検査の結果、異常はないことを確認しました。⁰ご心配をおかけいたしました。
※フラガのコメントは現時点では割愛させていただきます。#SUPERGT#Modulo64pic.twitter.com/MgTDD8kDse
今回、HRCにとってプレリュードGTの優勝は、新マシンの投入から3戦目という早期での優勝となり、プレリュードGTのポテンシャルの高さを示すものとなっている。スーパーGTでは、ここ数年36号車 au TOM'S GR Supraが3連覇するなどGRスープラ勢の強さが目立っており、プレリュードGTはHRCが単に勝利するだけでなく、チャンピオン獲得を目指してスーパーGTに送り込んだ新マシンになる。
ただ、それだけ期待を込めて作り上げたマシンだったが、第1戦岡山では最高6位、第2戦富士では最高5位とGRスープラ勢やZの壁は厚く、表彰台にも届かない結果となっていた。しかしながら、5月4日の富士戦以来の3か月間、第1戦、第2戦のデータを参考に、ドライバーやメカニックの声を聞きながらクルマを作り込む、要素を見直すことが今回の結果につながったという。
スーパーGTにおいて開発範囲は制限されているものの,セッティングなど細かい部分では作り込む余地があり、タイヤを活かす(機能する)形での作り込みが行なわれた模様だ。
徃西氏が指摘するのはタイヤピックアップの問題で、第1戦、第2戦で最上位となった16号車ではタイヤピックアップの問題が小さかったという。タイヤピックアップとは、クルマが走っている間にコース状のタイヤカスなどを拾って表面が凸凹になり、結果として振動問題や接地面積の減少が起きて能力を発揮できなくなる問題。グリップ力の強大なGT500用タイヤで起きがちな現象で、ホンダはNSX-GTなどでも、タイヤピックアップに起因する問題が起きがちだった。
今回は、16号車のデータを見直すことでそのタイヤピックアップ問題に取り組み、結果として1位となった100号車、2位となった8号車にはタイヤピックアップに起因する問題が見られず、それを大きな勝因として挙げていた。
また、100号車と8号車では同じブリヂストンではあるもののタイヤ選択が異なっており、それがレース序盤のペースと後半のペースの違いにもつながっているとのこと。
さらに、今回の取り組みで大きな結果となって現われたのは、ブレーキの効きだという。特にドライバーからは富士の第3セクター(ダンロップコーナーから最終コーナーにかけての区間)におけるブレーキの効きがよいとのコメントが出ているとのことで、ブレーキという点ではダンロップコーナーでの感触がよくなっていると思われる。
ブレーキが効くということは、セッティング範囲でいえばサスペンションをきちんと機能させて、タイヤをきちんと接地させていることになる。ここについて特別なアイテムの存在などを確認してみたが、そういうことはなくタイヤとのセッティングとのことで、地道な努力の積み重ねを感じさせる。
この第4戦は富士ということで、空力にも配慮したとのこと。ここでいう空力は、ダウンフォースをよくするということよりも、空気抵抗となるドラッグを減らすことを重視しているようで、細かな作り込みが行なわれたことを示唆する。例えば、表面加工を変化させる、隙間を減らすみたいなことでも乱流の発生は減り、ある一定のダウンフォースを得る際の抵抗値は減る。何らかの取り組みは行なわれたようで、結果から見てもプレリュードGT全体の底上げは実施されたのだろう。
ただ、他車とのパフォーマンスについては、80kgのサクセスウェイトを搭載した36号車 au TOM'S GR Supraが4位に入ったことと、終盤に17号車 Astemo HRC PRELUDE-GTがその36号車にかわされたことを挙げ、まだ追い付いていないとの認識。まだまだやるべきことがあるようだ。
今回の1-2フィニッシュにおいては、プレリュードGT全体の底上げに加え、サクセスウェイトが有利に働いているという分析で、満足はしていない様子。しかしながら、ドライバーやチームのパフォーマンスで新マシンの初勝利&1-2フィニッシュを実現できたことに感謝の言葉を口にしていた。
次戦は、ホンダの地元となる鈴鹿。鈴鹿はテクニカルコースと言われるが、徃西氏は「2本のストレートがある」とし、今回の施策がよい方向に働くとの見通しを示す。さらに鈴鹿用の作り込みもあるようで、今回の勝利でサクセスウェイトでの貯金は小さくなるものの、鈴鹿に向けての強い意気込みを語ってくれた。


