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HRC US、新型「ホンダ・パスポート・バハ・スペック」公開 1300HP超ハイブリッドパワートレーン搭載

2026年10月30日(現地時間)公開
新型「ホンダ・パスポート・バハ・スペック」

 本田技研工業の北米モータースポーツ統括会社HRC US(ホンダ・レーシング・コーポレーションUSA)は10月29日(現地時間)、メキシコのバハ・カリフォルニア半島で毎年11月に行なわれるデザートレース「バハ1000」のトロフィートラッククラスに参戦する新型レーシングマシン「ホンダ・パスポート・バハ・スペック(Honda Passport Baja Spec)」を公開した。

 ホンダ・パスポート・バハ・スペックは、SCOREワールドデザートチャンピオンシップの最高峰カテゴリーである「トロフィートラッククラス」にて、史上初となるハイブリッドシステムを搭載したレーシングマシン。最高峰耐久レースで培われたV型6気筒2.4リッターツインターボエンジンに、新開発の800V高電圧ハイブリッドシステムを組み合わせ、システム総合出力1300HP以上を発生。

新型「ホンダ・パスポート・バハ・スペック」

 マシン製作およびシャシーは、南カリフォルニアのメイソン・モータースポーツ(Mason Motorsports)と共同で開発。ステアリングを握るのは「バハ1000」で2度の優勝実績を誇るブライス・メンジーズ選手。メンジーズ・モータースポーツとの提携のもと、実戦デビューは2027年6月2日~6日に開催される「バハ500」を予定で、2027年で60周年を迎える「バハ1000」での総合優勝を狙う。

 なお、一般向けの実車初公開は、11月3日~6日(現地時間)に米国ラスベガスで開催される「2026 SEMAショー」のHRCブース(ブース番号:24789)にて行なわれる。会場では新型「ホンダ・パスポート・トレイルスポーツ・バハチェイス・トラック」を含む、計10台のHRCコンセプトモデルやレース車両とともに展示される予定。

新型「ホンダ・パスポート・バハ・スペック」は2026 SEMAショーで初披露される予定

アキュラARX-06のエンジン技術を移植、巨大V8を凌駕する1300HP超ハイブリッド

 ホンダ・パスポート・バハ・スペックの心臓部には、キャブ後方にミッドシップマウントしたV型6気筒2.4リッターツインターボエンジンを採用。オールアルミ製ユニットで、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でデイトナ24時間やセブリング12時間を制したGTPプロトタイプマシン「アキュラ ARX-06」のパワーユニットをベースに開発されたもの。

フロントのホンダ「H」マークは最新ロゴになっている

 これにHRC USが自社開発したオリジナルの800V高電圧ハイブリッド電気アーキテクチャを組み合わせることで、システム最高出力は1300HP以上を発揮。従来のトップカテゴリーマシンに搭載されてきたV型8気筒9.0リッター自然吸気エンジンを凌駕するパワーとレスポンスを獲得した。

 駆動系には、メイソン・モータースポーツ製の「マソマティック(MasonMatic)・ツインアングルドライブ5速トランスミッション」を搭載。独自のAWDトランスアクスルは、従来のリングギヤとピニオンギヤに代わり、デュアルリアドライブシャフトを介して各ホイールの角度付きハイピニオン・スパイラル・ベベルギヤにトルクを配分。

フロントまわりのシャシー

 また、キャンバー角やトー角の自由度を確保しつつ、グラウンドクリアランスと強度を両立させた。さらにフロント側にはディファレンシャルから、フロントの各ホイールハブに備わるポータルギヤセットを介して駆動を伝達し、最低地上高を極限まで高めている。

F1やインディカーの知見を結集させた「SDV(ソフトウェア定義車両)」

 ハイブリッドシステムの中核となるバッテリパックは、HRC USの社内エンジニアが設計・開発・製造を担当。カリフォルニア州サンタクラリタのHRC US本社に新設された専用クリーンルームで組み立てられる。軽量カーボンファイバー製ケースの中には、旧世代F1スタイルのパウチ型セルが収められている。

新型「ホンダ・パスポート・バハ・スペック」のインテリア
新型「ホンダ・パスポート・バハ・スペック」のインテリア
ステアリング
シート

 さらに電子制御システムも一新され、トロフィートラッククラス初となる「デュアルアクスル・ブレーキ・バイ・ワイヤ」「アダプティブ・トラクション・コントロール」「AIパワー・デプロイメント(AI電力配分)」などの最先端統合制御を搭載。F1、インディカー、IMSAなどのグローバルモータースポーツで培われた技術が惜しみなく投入されている。

CFD解析による空力ボディと「完全なバランス」を追求した特注シャシー

 カーボンファイバー製の外装パーツは、過酷な砂漠走行での高速安定性と冷却効率を両立するため、高度な数値流体力学(CFD)解析によって最適化。フロントホイール後方には空気抵抗を低減するディープサイドチャンネルを配置。

新型「ホンダ・パスポート・バハ・スペック」の外装パーツはカーボンファイバー製
新型「ホンダ・パスポート・バハ・スペック」の外装パーツはカーボンファイバー製
新型「ホンダ・パスポート・バハ・スペック」の外装パーツはカーボンファイバー製

 コックピット後方のハイマウントエキゾースト部には、排気流を整流してダウンフォースや気流をコントロールする一体型エアロフィンが組み込まれている。また、キャブトンネル構造によって走行風を車体後方・低位置にマウントされたクーラー群へと導くことで、低重心化と前後重量配分の適正化を達成している。

シャシーはメイソン・モータースポーツの「第2世代AWDシャシー」をベースに、HRCのハイブリッド機構に合わせた専用リアフレームを新設計
コックピット後方のハイマウントエキゾースト部には、排気流を整流してダウンフォースや気流をコントロールする一体型エアロフィンが組み込まれている

 シャシーは、SCOREオリジナル・トラック・シャシー・メーカー・オブ・ザ・イヤーを5年連続で受賞しているメイソン・モータースポーツの「第2世代AWDシャシー」をベースに、HRCのハイブリッド機構に合わせた専用リアフレームを新設計。「パーフェクト・バランス」を設計思想に掲げ、145ガロン(約549L)の大容量カーボンケブラー製安全燃料タンクをキャブ中央に配置。燃料残量に関わらず前後重量配分の変化を最小限に抑え、常にリニアなハンドリングを維持するという。

 足まわりには、各輪にデュアルFOXレーシングショックを備えたロングトラベルサスペンションとTOYO TIREを組み合わせ、砂漠のあらゆるギャップやジャンプ着地時にもトラクションを逃さない強靭な走破性を備えている。

フロントサスペンションまわり
リアサスペンションまわり
装着タイヤはTOYO TIRE

1962年から続くホンダとバハの歴史

 ホンダとバハ・カリフォルニアの関わりは、1967年に第1回バハ1000が開催される以前にさかのぼる。1962年、デイブ・エキンス氏とビル・ロバートソン・ジュニア氏が2台のホンダ「CL72」で、ティファナ~ラパス間を39時間56分で走破した記録が、後のバハ1000創設の引き金になったという。

 ホンダはすでに、二輪カテゴリーでは、歴代最多となるバハ1000総合優勝22回を記録。四輪カテゴリーでも2015年以降、バハ1000で4勝、バハ500で5勝を含む計17回のクラス優勝を飾っている。

 今回発表したホンダ・パスポート・バハ・スペックは、伝統あるバハレースの歴史に「ハイブリッドによる総合優勝」という新たな1ページを刻むための意欲作として位置づけられている。

 HRC US社長のケルビン・フー氏は、「ホンダ・パスポート・バハ・スペックは、本質的に“ソフトウェア定義型の車両(Software-Defined Vehicle)”です。独自のHRCソフトウェアによって、パワートレーン、シャシー、エネルギーマネジメントが統合された1つのプラットフォームとして機能します。レース中であっても継続的にアップグレードが可能で、ドライバーの好みや路面状況、レースの展開に合わせて自在に特性を適応させることができます」と先進性を強調している。