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トヨタ、全社直轄組織「トヨタロボティクス」を立ち上げてモビリティカンパニーへのモデルチェンジ 外販も視野にロボティクスに取り組む
2026年11月8日 05:35
全社直轄組織「トヨタロボティクス」を新設したトヨタ
トヨタ自動車は11月5日、2027年1月付けの組織改正を発表し、技術・事業開発機能の実行力強化として全社直轄組織「トヨタロボティクス」を新設することを発表した。
このトヨタロボティクスでは、「自動車事業で培った技術や現場力を土台に、その時代に求められるもの、必要とされるものを創り続けるため、ロボットを将来の重要な事業の柱と位置付けます。ロボットを、人の仕事を奪う存在ではなく、人に寄り添い、人の可能性を広げるパートナーとして社会実装していくことを目指します」としており、執行役員兼Chief Production Officerでありモノづくり技術本部(本部長)の志賀武文氏が組織長を兼務する。
同日開催された2027年3月期 第2四半期決算(2026年4月~9月、6か月累計)の決算会見において、同社代表取締役副社長 宮崎洋一氏は全社直轄組織であるトヨタロボティクス設立の背景を語った。
トヨタは2018年1月のCES2018の基調講演において豊田章男社長(当時)がクルマ会社からモビリティカンパニーへのモデルチェンジを宣言。コネクティッドサービスの拡充、ウーブンシティの発表など数々の事業分野の変革を図ってきた。
宮崎副社長は、「新車バリューチェーンの既存事業でのさらなる成長を図るとともに、クルマ作りで培ってきた強みを活かし、ロボティクスなど新たな事業領域として進出をしてまいります」と説明。TPS(トヨタ生産方式)などに代表されるトヨタ生産ノウハウをロボットに組み込んでいくという。
これらは、ソフトウェア面でも実施。ロボットではトヨタ生産方式の上位レイヤーとして、トヨタならでは信頼性のあるハードウェアを規定。その上に、ロボットのコントロールプラットフォームとして、自動運転にも用いられるソフトウェアプラットフォーム「Arene(アリーン)」を置く。
このアリーンの上に、トヨタが培ってきた匠の技や、ジャストイン生産システムなどのアプリケーションを置き、これまでの生産ロボットとは異なる進化したロボットにするという。
これらはトヨタ生産方式のデジタル化と自働化を意味すると宮崎副社長は語り、ロボットの導入台数はトヨタグループ全体で累計40万台、老朽更新投資に年1兆円を投資額としていく。この投資額、ロボット導入でトヨタ製のロボットを徹底的に鍛え上げ、事業を本格化させていく。
特にトヨタの強みとして挙げていたのが、TPSがあることだという。「徹底的に無駄をなくした上で自動化することでロボティクスの実装の1丁目1番地につながっていきます」(宮崎副社長)と語り、トヨタのノウハウを活かしていく。
ロボットをトヨタの新たな事業の柱に
宮崎副社長はトヨタの新たな事業の柱としての具体例としてロボティクスを挙げたが、トヨタはロボティクスを事業化できるのだろうか。宮崎副社長は「今後、トヨタのサプライチェーン全体で大規模なFA投資が見込まれています。累計40万台規模のロボット導入ニーズ、年間1兆円規模の老朽更新ニーズコストを新たな事業を育てるオポチュニティに転換させていきます」といい、トヨタグループの更新ニーズをロボティクス事業の立ち上げの一助にしていく。
そこで培った学びやコストコントロールをロボティクス事業に活かし、外販も視野に取り組んでいくという。
宮崎副社長はロボティクス事業における外販であるとし、ロボットという最終製品を販売するのはもちろん、アリーンなどのロボット基盤モデルの提供への含みも残す。例えば、現在溶接ロボなどを製造しているメーカーであれば、トヨタの溶接の匠のノウハウだけほしいというニーズもあるかもしれない。そのためには、ソフトウェア基盤であるアリーンの導入が必要になるかもしれないが、それ以上のメリットがあるのであれば自社のロボットにトヨタのノウハウを組み入れての販売もありだろう。
それには、ロボット市場が巨大であることが望ましいが、現在のAIロボットブームを作り出したNVIDIA ジェンスン・フアンCEOは7月の来日時に、「次の製造業はおそらくロボット産業、それまでは自動車が世界最大の産業」と語っている。
フアンCEOは自動車産業全般について語り、「ご存じのとおり自動車産業は世界最大の製造業です。次世代はロボティクスになることを期待していますよね? (自動車を運転する)人口はせいぜい10億人しかおらず、誰もがクルマを運転する必要はないので、製造すべき自動車は1億台程度になります。しかし、ロボットの数はもっと多くてもおかしくありません。家庭にも多くのロボットがあり、職場にも多くのロボットがあり、工場にはさらに数え切れないほどのロボットが存在します。ですから、次の製造業は恐らくロボット産業になるでしょう。そうですね?」と、ロジカルにロボット産業のボリュームを指摘。
トヨタについても、「(ロボットが最大の産業になるためには)AIの問題、つまりフィジカルAIの問題を解決しなければなりませんし、私たちはそれを成し遂げるでしょう。しかしそれまでは自動車産業が世界最大の産業であり続けます。鉄鋼の使用量も膨大ですし、そうでしょう? 重機や重装備、そして膨大な計算能力が必要で、多くのデザイナーやマーケティング担当者、非常に多くの人材が関わっています。つまり、自動車産業はこれほど巨大な産業であり、今後もその地位を維持し続けるでしょう。私がトヨタと協業する際、トヨタ社内で、トヨタのデザイン部門やシミュレーション部門と、車内や製造現場など、実にさまざまな形で協業できると考えています」と、協業の背景を語っていた。
その際には、「Toyoda-san is, Toyoda-san is pretty incredible」(豊田さんは、本当にすごい)と語り、トヨタ自動車の豊田章男会長との親交を示しており、この段階でトヨタのロボティクス産業進出に関して何らかの話し合いがあったのかもしれない。
世界最大級の自動車生産メーカーであるトヨタが、ロボットにおいても世界的にリードする企業になれるのか。モビリティカンパニーへのモデルチェンジで大きな要素を占めるトヨタのロボティクスの取り組みは、今後本格化していく。







