奥川浩彦の「F1流し撮り講座 2009」 第4回 鈴鹿の撮影ポイントを紹介【西コース編】 |
最終回は鈴鹿サーキットの西コースの撮影ポイントを具体的に紹介していこう。西コースはデグナーからヘアピン、スプーンを回ってバックストレッチ、130Rからシケイン手前までとなる。西コースは仮設スタンドが多く、どのように撮れるかについては、推測の部分が多くなってしまうことをご了承いただきたい。ではコースに沿って紹介していこう。
F1日本グランプリ観戦エリア |
●エキストラ・ビューエリアF
まず西コースの最初のポイントはデグナーのアウト側にあるエキストラ・ビューエリアだ。指定席にFがないので、エキストラ・ビューエリアFと呼んでみた。この場所は西ストレートゲート、南コース方面に行く道路を挟んだ外側の土手で、コースからはそこそこ離れている。最上段からはデグナー1つ目から短いストレートの途中までがかろうじて金網を避けられるが、その先は金網に遮られてしまう。かなり長めのレンズでデグナー1つ目を正面から撮ることが可能。その先も少し流し撮りができる。だが場所的に行きにくいことを考えると撮影ポイントとしてはあまりお勧めはできない。
エキストラ・ビューエリアFの中段からの風景。この高さでは完全に金網に遮られる | 最上段からデグナーを見るとこんな感じ。1つ目は金網を避けられる |
レース時には撮影に行けなかったので、F1に向け準備中の様子を撮影。300mm(480mm相当)のレンズでデグナー1つ目を撮るとこの程度に写る | デグナー1つ目と2つ目の中間。同じく300mm(480mm相当)のレンズで撮影。一応流し撮りもできそうだ |
●G席
G席は立体交差を抜けてヘアピンに向かう側の席と、130Rからシケインに向かう側の席が2つに分かれ、直角に位置する感じだ。2つのスタンドの角の部分は席がない。まずヘアピンに向かう側の席から見ていこう。
下段は常設席で、大改修によって新たに用意されたスタンドだ。上段には仮設スタンドが用意される。金網は低め、マシンも進行方向左側のラインを通るので、常設席の上段、仮設スタンドは金網は避けられそうだ。コースも近いので200mm(320mm相当)程度のレンズで十分だと思われる。絵的には流し撮りだけとなり、やや単調になるのは否めない。少々気になるのは電線だ。元々観戦エリアではなかったので、この部分は目の前に電柱と電線がある。実際に撮影する位置に立ってみて、電線が避けられなければ撮影は難しいかもしれない。
ヘアピンから見たG席。立体交差を抜けたマシンが目の前を通過する | G席常設スタンド上段からヘアピン方向の景色。 |
G席の130Rからシケインに向かう側も下段が常設席で、上段には仮設スタンドが用意される。仮設スタンドは25列ありかなりの高さになると思われる。この130Rの立ち上がりは昔から撮影ポイントとなっている。ここには高い金網があるので、スタンド左側では130Rを抜けてアウト側の縁石付近が撮影ポイントとなる。右側の端まで行くとバックストレッチも見ることができる。クリッピングポイント付近もギリギリ撮れそうだ。下段は金網が避けられないので、仮設スタンドでないと撮影は厳しそうだ。
ここは鈴鹿の撮影ポイントとしては、もっとも車速の速い場所だろう。見下ろす角度で撮影するので、背景もシンプルとなりシャッター速度は速めに設定しても「速く見える」絵が撮れる。だが、ここも絵的には単調になってしまう。
この席の撮影の難しさは、右端の席以外はコーナーがブラインドになっているため、どのマシンが来るのかが分からないことだ。例えばフェラーリを撮りたいと思っていても、目の前に来たマクラーレンを撮るとすぐ後ろにフェラーリが来て撮り逃してしまうことがある。デグナーへ進入するマシンも見えるので、そこで順位を記憶して、「マクラーレンの次がフェラーリ」と心の準備をして撮ることが必要だ。もちろん西コースで順位が入れ替わることもあるので、展開の予測も重要だ。
130Rからシケインに向かう部分のパノラマ写真。この高さであれば金網が避けられる。130Rに進入するマシンが見えないので、マシンを確認してからシャッターを切るまで1秒以下となる(クリックすると3400×1080ピクセルの画像が開きます) |
常設席の上段からシケイン方向の景色。常設席では金網が避けられない | 建設中の仮設スタンド。この高さなら金網の上から撮ることができる | 青矢印は流し撮り |
200mm(320mm相当)のレンズで撮影。シャッター速度は1/250秒 | トリミングしてフォトギャラリーに掲載した画像(クリックすると1920×1080ピクセルの画像が開きます) |
・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/g.pdf
●エキストラ・ビューエリアH
G席とH席の間にエキストラ・ビューエリアが設置されている。正確な場所が分からないが、予測1はG席のH席側、土手の上のスペース。予測2はH席のG席側の造成した部分だ。予測1の場合金網にへばりついた十数人がチラッとマシンが見えるだけの場所で撮影以前の場所になりそうだ。
H席の座席表を見るとわずか4ブロックと、幅の狭いスタンドとなっている。その割に造成された面積は広い。おそらく造成された斜面の半分しか仮設スタンドが設置されないのだろう。なので、予測2は、もしかすると余った造成部分がエキストラ・ビューエリアになるかも、と期待している。となるとH席とほぼ同じ条件で撮影できるかもしれない。可能性は低そうだが、予測2になることを期待してエキストラ・ビューエリアHと呼んでみた。
予測1はこの辺り。コンマ何秒かマシンが見えるだけ | 低い金網越しにコースを見るとこんな感じ。これでは撮影以前の問題 |
●H席
H席は新たに新設された席で、ヘアピンへの進入部分が目の前となる。実際に仮設スタンドに立ってみないと、どう撮れるかは分からないが、コースまでの近さや角度から予測すると面白そうな席だ。造成した斜面に仮設スタンドが建つので金網は避けられそうな気がする。マシンの走行ラインは手前になるのでギリギリ大丈夫そうな感じだ。ここにも電線があるが、コースが近いので電線の下と金網の上に丁度コースが見えると思われる。
レンズは200mm(320mm相当)以下の短いレンズで十分だろう。絵的には流し撮りだけなので単調になりそうだが、今までなかった撮影ポイントなので個人的にはF1開催以降も撮影できる場所にしてほしいと思っている。スタンドの右側ではブラインドコーナーになるので、どのマシンが来るかが分かりにくい。焦点距離の短いレンズで機敏に対応できる様にするのがよいだろう。
ヘアピン側から見たH席。ここに仮設スタンドが設置される | H席のすぐ目の前がコース。手前側が走行ラインだが、金網は低いのでギリギリ避けられそうだ | 8月末のSUPER GTの時に、仮設スタンドの設置が始まった |
・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/h.pdf
●I席
I席はヘアピンの進入正面付近から立ち上がりまで3つのブロックで構成されている。進入を見る位置からクリッピングポイントを立ち上がるマシンを正面に見る位置までが仮設スタンド。その先立ち上がり部分が常設スタンド。さらに200R側に仮設スタンドが用意される。各ブロック間の移動ができるか否かは不明だ。
筆者の予想では常設スタンドが最も撮影に適していて、次に正面の仮設スタンド、200R側の仮設スタンドは撮ってみないと分からない、と言ったところだろう。
ヘアピンの常設スタンドは西コースで最もカメラマンが集まる場所で、正面、斜め前からの流し撮り、横からの流し撮り、斜め後ろからの流し撮りとバリエーションのある絵が撮れるお勧めのポイントだ。左右に幅があるので、スタンド内で立ち位置を変えると違った絵を撮ることができる。
常設スタンドの左側ではクリッピングポイント付近を正面から撮ることができる。席に座って撮ることができるので、決勝でも撮影は可能だ。レンズは300mm(480mm相当)程度で十分だろう。高速シャッターで撮るなら初心者でも比較的簡単に撮影が可能だ。
同じ位置で進入、立ち上がりをスローシャッターで撮ることも可能だ。ヘアピンへブレーキングして入ってくるマシンを右から左へ流し撮りができる。立ち上がっていくマシンを斜め後ろから撮ることもできる。右向き、左向きの流し撮りが同じ場所で撮れるのは貴重だ。
常設スタンドの右側に移動すると、立ち上がってきたマシンを望遠レンズで斜め前から撮ることができる。焦点距離の短いレンズで真横から流し撮りもできる。このスタンドは金網が低いこともあり十分撮影を楽しめる。
ヘアピン正面の仮設スタンドの左側は進入するマシンを前面から撮ることができる。インに飛び込んだマシンとサイド・バイ・サイドになることもあるので決勝も楽しみな席だ。クリッピングポイント付近を流し撮りすることも可能だし、立ち上がりを後ろから狙うこともできる。スタンドの位置が少々高めなのは気になるがそこそこ楽しめそうな席だ。
200R側の仮設スタンドは立ち上がって加速してくるマシンを斜め前から狙うのと、横から流し撮りができそうだ。走行ラインが進行方向左側によるので金網に遮られることもないだろう。常設スタンドと比べるとバリエーションが限られそうだが、普段は撮れない席なので面白い絵が撮れるかもしれない。
余談だが、H席からI席までの、ヘアピン進入側は普段はそれなりに撮影ポイントとなっている。常設スタンドの正面は大型スクリーンの設置場所になりそうだが、そこから仮設スタンドの間は脚立があれば撮れるかもしれない。
ヘアピン常設スタンドからパノラマ撮影。左端ではクリッピングポイントを正面から、右端では立ち上がってくるマシンを撮ることができる(クリックすると2514×1080ピクセルの画像が開きます) |
・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/i.pdf
●エキストラ・ビューエリアJ
ヘアピンからスプーン方向に少し歩くとエキストラ・ビューエリアJがある。J席の正面なのでエキストラ・ビューエリアJと呼んでみた。ここは2輪用のシケインがある位置で金網にカメラホールが3つ開いている。脚立があるとどの位置でも撮れるので、場所取りをする必要もない。
絵的には単調で流し撮りだけとなる。レンズは200mm(320mm相当)以下で十分だ。1時間半のセッションをここで撮り続けるほどの場所ではないと思うので、ここで撮ってヘアピンに移動とか、近くの席とセットで考えればよいだろう。
こんな感じの広場になっていて、カメラホールが左側に2つ、右側に1つか2つある。脚立があればどの位置からでも撮影できる | コースの向こう側、右手の整地された場所にJ席の仮設スタンドが用意される | カメラホールからはこんな感じで見える |
青矢印は流し撮り | 200mm(320mm相当)のレンズでこれくらい | トリミングしてフォトギャラリーに掲載した画像(クリックすると1920×1080ピクセルの画像が開きます) |
●J席
ヘアピンからスプーンに向かう200Rのアウト側がJ席だ。かなり以前にI席として設置されたことがあり、久々の復活となる。当時はヘアピン側からトンネルを抜けたすぐ横に細い通路があったと記憶しているが、今回は大きな階段が用意された。この席はヘアピンから立ち上がってくるマシンを正面から撮れそうだ。この部分から金網が低くなるので、正面から撮影する場合は金網の影響は受けないだろう。流し撮りもできそうだが、マシンはコースの中央付近を通ると思うので、もしかすると金網が遮るかもしれない。
当時も仮設スタンドで、どんな景色か見に行ったことがある。最上段の席は後ろにバックストレッチをチラッと見ることができたが、撮影するほどではなかったと思う。ヘアピンから向かってくるマシンを比較的低い角度から撮れそうなので、面白い絵が撮れるかもしれない。エキストラ・ビューエリアJはすぐ目の前だが、階段の段数があるので、思ったより移動には時間がかかりそうだ。体力的にもこの階段はきつそうな気がする。だが両方で流し撮りをすれば、右向き、左向きの絵が撮れるのでセットで撮影ポイントと考えると悪くはない。
G席付近から見たJ席 | エキストラ・ビューエリアJから見たJ席。ガンガン加速していく場所なので、音も楽しめそうだ |
・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/j.pdf
●エキストラ・ビューエリアL
スプーンコーナーの入り口にもエキストラ・ビューエリアが用意されていて、コース図ではL席の手前となっている。ここも正確な場所がよく分からない。スプーンコーナーの手前は少し高台になっていて、L席はその先の斜面に設置される。エキストラ・ビューエリアLが高台の部分に限定されるなら、撮影ポイントとしては面白くない。
L席の仮設スタンドのすぐ横まで自由に入れるなら金網付近まで降りて、低い位置からも流し撮りができそうだ。その上の土手部分からもスプーン1つ目を後ろから狙えるかもしれない。東コースからスプーンまで歩くと時間的にも体力的にもきつい。撮れると思って行って撮れないとショックが大きいので、セッション間近ではなく、早めに行ってNGならほかの位置へ移動するくらいのゆとりがほしい。
●L席
スプーンカーブは進入側にL席、中間にM席、立ち上がり側にN席の仮設スタンドが用意されている。L席はスプーン進入のブレーキングからスプーン1つ目が目の前となる。ブレーキングとコーナリングの流し撮りに加え、後ろからの撮影も可能だ。設置中の仮設スタンドを見ると、最前列でも金網に遮られることはなさそうだ。ヘアピン寄りのスタンド左側ではブレーキングの流し撮りができる。脚立なしでエキストラ・ビューエリアLとほぼ同じ感じで撮れるだろう。右側に移動するとコーナーリングするマシンを流し撮りできる。レンズは100mm~300mm(160mm~480mm相当)くらいで十分だろう。
L席の右端中段くらいからパノラマ撮影。金網はそれほど高くないので撮影は可能だ |
・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/l.pdf
●M席
M席はスプーン1つ目から2つ目の先までの横に長いエリアに仮設スタンドが設置されている。分割されている仮設スタンドの間の移動ができるか否かは不明だ。同じM席でも位置によって見え方も違うし、撮影の向き不向きがある。スプーン進入側からスプーン2つ目の間はどこでも撮影は可能だ。少し離れてスプーン2つ目の曲がり込む辺りにある高台のスタンドはあまり期待できない感じがする。
8月のSUPER GTで、このM席は仮設スタンドでは唯一開放されていた。スタンド左端ではスプーンに進入してくるマシンを前面から撮ることができる。決勝ではパッシングの可能性もあるので貴重なシーンが撮れるかもしれない。この位置ではスプーン1つ目に入るマシンを流し撮り、立ち上がったマシンを斜め後ろからも流し撮りができる。
スプーン1つ目と2つ目の中間付近まで移動すると、スプーン1つ目を前面から、その先で流し撮り、2つ目を後ろから狙うことができる。もし仮設スタンドを自由に行き来できるなら、いろいろな角度から撮影できるだろう。
M席のここに写っているスタンドならどこでも撮影ができる | ここはN席だと思っていたが、座席表を見るとここもM席。ここはコースからかなり高い位置にあり、観戦にはよいが撮影には不向きかも | 一部のスタンドの下段は金網に遮られそうだが、ほとんどの席は問題なさそうだ |
スプーン2つ目よりの位置からパノラマ撮影。正面、流し撮り、後ろからの撮影が可能だ(クリックすると2680×1080ピクセルの画像が開きます) |
・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/m.pdf
●N席
スプーンの2つ目からバックストレッチにつながるところにN席はある。筆者は20年以上鈴鹿に通っているが、N席の位置まで行ったのは1、2度しかない。M席の位置までは何度も行っているが、残り200m程度が妙に遠い。この先は行き止まりなので、鈴鹿サーキットの最果ての地という印象だ。国内のレースでも、ここまで行く人はほんのわずか、撮影している人も見た記憶がない。位置的にはスプーンの2つ目を正面から撮ることが可能だ。立ち上がったマシンを流し撮りできるかもしれない。スタンドの高さがあるので金網は避けられそうだが、コースに対してもかなり高めの位置なので、見下ろす感じの絵になりそうだ。
N席。コースに対してかなり高めの位置となる。見通しはよさそうなのだが…… |
・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/n.pdf
●O席
O席はバックストレッチが目の前となる。筆者はF1のときは車を遠くに駐め、自転車でサーキットに入るのだが、西コースに行くときは西ストレートゲートの前に自転車を駐めて入場する。そのゲートを入るとすぐ横がO席となる。よく通った場所なのだが、N席ほどではないが、O席もほとんど立ち寄ることはなかった。理由はやはり金網だ。O席からは残念ながら金網を避けることができない。鈴鹿で最もスピードが出る場所なので、マシンパワーを実感できる場所だ。観戦と割り切ったほうがよいだろう。
O席とエキストラ・ビューエリアの丸印の位置 | 席には入れなかったので隣からコースを撮影。この金網は避けられない | 同じ位置からスプーン方面を撮影 |
・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/o.pdf
●エキストラ・ビューエリアO
O席の隣にエキストラ・ビューエリアが設置されている。その場所は、資料によってO席の右側だったり左側だったりする。現地で確認したところO席の左側、スプーン側の可能性が高い。O席同様金網を避けることができないので、お勧めの撮影ポイントとは言えない。
O席左側のこの場所がエキストラ・ビューエリアOだと思われる |
観戦エリアのご案内(この地図の位置が正しいと思われる)
http://www.suzukacircuit.jp/f1/view/
●P席
130Rとシケインの間がP席だ。ここの位置も普段は金網があるため撮影ポイントとしては不向きだ。仮設スタンドの上段なら金網の上から撮れる可能性もあるが、あまり期待できないだろう。
P席の仮設スタンド。もしかすると上段なら金網が避けられるかも |
・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/p.pdf
●エキストラ・ビューエリアP
P席のシケイン側にもエキストラ・ビューエリアが用意されるが、仮設スタンドのような高さもないので、確実に金網に遮られるだろう。撮影ポイントとしてはここも不向きだろう。
以上で西コースの撮影ポイントの紹介は終了だ。東コースも含め、予想で書いている部分が多いので、実際に行ってみると期待を裏切ることもあるだろう。特にエキストラ・ビューエリアは場所が違う可能性もあることをご了承いただきたい。今回紹介した西コースのヘアピン、スプーンは撮影ポイントが豊富だ。グランドスタンドから20~30分かかるが、F1に限らず国内レースでも足を運んでいただきたい。
来年以降も鈴鹿サーキットでF1日本グランプリは開催される。おそらくすべての仮設スタンドで撮ったことのある方はいないだろう。読者の方は各スタンドで撮った画像を感想を添えて編集部に送っていただきたい。沢山集まれば来年はさらに正確な情報がお伝えできると思う。
サーキットに通って、いろいろな場所を歩き回って撮るのが上達への近道だとは思うが、それ以外でも上達の助けになることはある。それは他人の撮った写真を見ることだ。レース雑誌やサーキットのパンフレットに掲載されたプロ中のプロの方々が撮った写真は参考になることが多々ある。モータースポーツの写真に関する掲示板なども、参考になることが多い。筆者も定期的にチェックして、「このコーナーでこんな風に撮れるのか」と撮影ポイントや撮り方の参考にしている。
先日、サーキットで70歳代と思われるお婆ちゃんが撮影していたのでお話しを聞かせてもらった。「20年前は鈴鹿でセナも撮ったのよ。ロングビーチやフェニックスにも行ったわ」と懐かしそうに話してくれた。「EOS Kissが物足りなくてEOS 30Dに変えたけど、重いからLUMIXに買い替えた」とカメラの話もしてくれた。レース写真は長く付き合える趣味になるので、国内レースも含め、ぜひサーキットに通っていただきたい。今年は4回に分けて紹介したが、レースが好きでこれからデジタル一眼レフを買う方や、レースの撮影を始めたばかりの方の参考になればと思っている。いざ鈴鹿へ。
(奥川浩彦、著者撮影:奥川彰吾)
2009年 9月 29日