F1日本グランプリ直前企画
奥川浩彦の「F1流し撮り講座 2009」

第3回 鈴鹿の撮影ポイントを紹介【東コース編】


 第3回目からは、鈴鹿サーキット撮影ポイントを具体的に紹介していこう。最初は東コースから。東コースとは最終コーナーからグランドスタンド、1~2コーナーを回ってS字、逆バンク、ダンロップまで。西コースはデグナーからヘアピン、スプーンを回って裏のストレート、130Rとなる。微妙なのがシケインだが、今回はシケインは東コースとした。

 昨年F1が開催された富士スピードウェイと、鈴鹿サーキットを比較すると、一般観客席からは鈴鹿のほうが撮影しやすい。鈴鹿は撮影ポイントが多く、比較的短い焦点距離のレンズでも撮れるポイントが多い。レンズの焦点距離に関しては、本文中に「○○mmのレンズ」と記載しておく。35mmフィルム換算値も入れておいた。なお、F1開催当日に席から見える風景が異なってしまう可能性もあるので、その点についてはあらかじめご了承いただきたい。

 最初にサーキットの方角を確認しておく。下図を見ていただきたい。真上が北なので、メインストレートは北西から南東に向かっている。図に書いた矢印は1時間ごとの太陽の方向だ。赤で書いた11の線が11時、14の線は14時の太陽の方向を示している。

11は時刻が11時、14は14時の太陽の向き

 F1のスケジュールも確認しておこう。

日付時間プログラム
10月2日10時~11時30分フリー走行1
14時~15時フリー走行2
10月3日11時~12時フリー走行3
14時~15時頃予選
10月4日14時~(15時30分頃)決勝レース

 午前中は10時と11時から、午後は3日間とも14時に走行が開始される。午前と午後の走行時間にあわせて、11時と14時だけ太陽の方向を赤く示した。

 例えば、午前のセッションは2コーナーB1/B2スタンドは順光、Eスタンドから逆バンクを見ると逆光、ヘアピンの進入側からクリッピングポイントを見ると順光、Mスタンドからスプーンの進入を見ると逆光となる。午後は2コーナーからS字、逆バンクを流し撮りするならほぼ順光、ヘアピンのブレーキングポイントを前面から撮ろうと思うと逆光、ヘアピン立ち上がりは順光となる。逆光がダメというわけではないが、撮影スケジュールを立てるときの参考にしていただきたい。もちろん、曇りや雨になれば太陽の向きは関係なくなる。

 今年のF1日本グランプリは全席指定となっている。正直、我々レース撮影を楽しむ者にとっては嬉しくない販売方式だ。エキストラ・ビューエリアがあるとはいえ、限られた場所でしか撮影できない可能性が高い。

 筆者は1987年から2006年まで20年間、金、土、日と皆勤賞で鈴鹿のF1を見てきた。記憶では1990年前後のピーク時にはスプーンにも指定席があったように思うが、ピークを過ぎてからはS字の一部、逆バンク、ダンロップ、ヘアピン正面、スプーン、130Rあたりは自由席で、そこそこ撮影ポイントが確保できていた。全席指定とはいえ、3日間同じ席で観戦する人も少ないと思うので、エキストラ・ビューエリアが混雑するか否かも蓋を開けてみないと分からない。個人的には金曜日はグランドスタンド等一部のスタンド以外は自由席としてほしかった。

 観客数はセッションごとに増えていく。遠方から電車で来られる方は金曜日の朝に家を出ても10時にたどり着けないこともあるからだ。観客数の増加とともに撮影ポイントの自由度はどんどん下がっていく。指定席によっては、金曜日の朝は人もまばらでエリア内ならどこでも撮れる可能性があるが、決勝の時は自分の席から移動することは難しいと予想される。筆者も金曜日、土曜日の午前までは撮影、予選、決勝は観戦を基本スタイルとしてきた。

 新装された鈴鹿サーキット。観客席も大幅にリニューアルし、販売方式も刷新。8月末のSUPER GTの段階でまだ完成していなかった仮設スタンドなど、予想のつかない部分はあるが、筆者の感覚で撮影ポイントを解説していきたい。

 まず、ざっくりと撮影ポイントを、コースに沿って確認してみよう。メインストレートはあまり撮影には向かない。1~2コーナーからS字、逆バンク、ダンロップまでは撮影ポイントが豊富だ。西コースではヘアピンから200R、スプーンまで撮影ポイントが点在している。裏のストレートは撮影には不向き、130Rは立ち上がりをイン側から撮ることができる。シケインから最終コーナーの間も撮影には不向きだと思っている。

 次の表では各スタンドの撮影しやすさを、筆者の感覚で★印で表してみた。もちろん仮設のスタンドは実際に見ていないので予想の領域だし、持っている機材や、撮影のテクニック、想像力によっては、筆者が知らない素晴らしい撮影ポイントもあるだろう。ついでに価格とチケットの販売状況も記載しておいた。販売状況は鈴鹿サーキットのホームページで最新の情報が確認できる。チケットセンター系、コンビニ系を含め11カ所の販売状況の一覧も定期的に更新されている(http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/images/ticket.pdf)。表の販売状況の印は鈴鹿F1チケットセンターは完売でも他の10カ所が売っていれば○というようにアバウトな表記となっている。ちなみに9月21日の状況では、完売となったのはG席、H席、J席、L席、M席、N席、Q1席、逆にどのチケットセンターにも在庫があるのはV1席、D席、E席、I席、O席、R席となっている。

F1日本グランプリ観戦エリア

スタンド名撮影ポイント価格チケット状況
V16万2000円
V27万2000円
A14万1000円
A2★?4万7000円
B14万3000円
B2★★★5万7000円
C1★★★★★3万2000円
C2★★★3万7000円
D★★★★★3万7000円
E★★3万5000円
G★★1万1000円×
H★★?1万1000円×
I★★★★★3万5000円
J★★?1万1000円×
L★★★1万8000円×
M★★★★1万8000円×
N1万8000円×
O3万0000円
P3万2000円
Q12万9000円×
Q25万8000円
R-?4万4000円
S3万7000円

 筆者が5つ星を付けたのは、2コーナーからS字に向かう「C1席」、その先、S字から逆バンクと続く「D席」、ヘアピン立ち上がり側の「I席」だ。これらのスタンドは流し撮りも前面からの撮影も可能だ。エキストラ・ビューエリアは、図を見ただけでは正確な位置が分かりにくい箇所もあるが、C1席とD席の間は5つ星、ヘアピンからスプーンへ向かう200Rは2つ星、それ以外は撮影する視点ではあまり期待できないと思われる。取材時にはまだ完成していないスタンドもあり、すべては網羅できないが、各スタンドの撮影ポイントを紹介したい。

メインスタンドのV1/V2席からコースに沿って紹介

●V1/V2席
 ここは大改修の目玉とも言える立派なスタンドだ。スタートシーン、ゴールシーン、ピット作業などが目の前で見られる。椅子もベンチシートではなく快適だ。加えてピットビルの上に設置された大型モニターは仮設(移動式)のモニターよりはるかに高解像度でよく見える。だが、撮影ポイントとしては目の前に金網がありお勧めできない。マシンの動きも右から左へ真っ直ぐ抜けていく。迫力のある走行音&エンジン音、緊迫したピット作業など、レースを見て楽しむ場所となる。

新装されたVスタンド(クリックすると2052×600ピクセルの画像が開きます)
Vスタンドからの景色(クリックすると3557×600ピクセルの画像が開きます)
スタンド下段は完全に金網越しとなる中段、上段でもレコードラインは金網を避けられない

・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/v1.pdf
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/v2.pdf

●A1/A2席
 ここはピットアウトする位置からストレートエンドまでで、1コーナーでのオーバーテイクを目の前で見ることができる。A2の仮設スタンドは取材時には建設中でスタンドからの様子は確認できていない。常設スタンドのA1は最上段でも金網が入るので撮影ポイントとしては期待できない。A2に関しては、工事途中の様子を見ると、1コーナーよりのスタンドは、かなり高さもありコースを見下ろす感じになりそうだ。マシンのコース取りもイン側に寄るので、金網に遮られることもなさそうだ。

A1席最上段。ここも金網が避けられない建設中のA2席。A1よりの席はA1席とあまり高さが変わらないA2席の1コーナーより。かなり高いので金網は避けられそうだ

・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/a1.pdf
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/a2.pdf

●B1/B2席
 ここはストレートエンドから1~2コーナーのバトル、その後S字に向かっていくマシンを見ることができる。特にB2の1コーナー側の中2階は、個人的には鈴鹿の最高の観戦席だと思っている。

 B1席は、金網が張り巡らされていてほとんどの席が撮影には不向きだ。一部ポスト部分に切れ目がありそこから1コーナーを撮ることができる。

 B2は高さのあるスタンドなので、金網の影響は受けない。半面、上から見下ろす感じとなるので、絵的にはあまり面白くないかもしれない。ただし、1コーナーよりの中2階はそこそこ低い位置からの撮影が可能だ。ストレートエンドから1コーナー進入のサイド・バイ・サイドのバトルも撮ることができる。

B1席は金網越しとなるコースマーシャルがいる部分だけ金網が切れている赤矢印はマシン前面からの撮影
その切れ間から200mm(320mm相当)で撮るとこんな感じ同じ場所から300mm(480mm相当)で撮るとこんな感じ2階のB2席からの景色。レース観戦には最適な席だ
2階からスタート直後の1コーナーを撮影。85mm(136mm相当)なので標準ズームでこんな感じに撮れる24mm(38.4mm相当)で1/30秒のスローシャッターを切ってみたB2席1コーナー側の中2階。最も1コーナーよりの席ではストレートの奥まで見える
中2階の真ん中付近はこんな感じ赤矢印はマシン前面からの撮影。青矢印は流し撮り中2階から1コーナーを200mm(320mm相当)で撮るとこんな感じ
流し撮りも可能。200mm(320mm相当)のレンズを使用

・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/b1.pdf
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/b2.pdf

常設スタンドの後ろに仮設スタンドが用意される。常設スタンドの通路より上段と仮設スタンドがC2席となる

●C1/C2席
 C1席は常設スタンドの通路より下段、C2席は通路より上段と仮設スタンドとなる。座席表を見ると、C1席にはC2席の階段を降りて行くしかないので、C1、C2は空いてる金曜日は自由に行き来できる可能性がある。他のV1/V2、Q1/Q2などは席の入り口や、建物が構造的に異なっているので全く別の席となるが、このC1/C2席だけは特別な感じだ。C席は2コーナーからS字の入り口が目の前となる。左右に広いスタンドなので撮影ポイントは豊富だ。コースに沿って説明しよう。

 最初は2コーナーのクリッピングポイントが正面に見える位置だ。ここもコースマーシャルのポストのところに金網の切れ間がある。国内レースでも望遠レンズを持った人が集まる撮影ポイントだ。300mm(480mm相当)のレンズでは少々足りない感じだが、トリミングをすれば使えないことはない。通路付近の高さならポストの建物の上から撮影可能。一番下まで降りると金網越しの撮影となる。ここの金網は緑色で、午後のセッションでは順光となるため、金網自体が反射して写りこみしやすくなる。過去にこの席の下のほうで観戦したことがあるが、晴れると金網が妙に光ってマシンや大型ビジョンが見辛かった記憶がある。金網の一部が黒くなっているのは、写らないように誰かが塗ったのだろう。余談だが、筆者はサーキットの金網を黒のつや消しで塗って欲しいと思うことがある。シャッター速度を遅くして、コーナーの進入、立ち上がりを流し撮りする場合は金網より高い位置で撮ることをお勧めする。

金網の切れ間から2コーナーが正面に見える赤矢印はマシン前面からの撮影
300mm(480mm相当)のレンズではこれくらいになる1.4倍のコンバーターを付け420mm(768mm相当)にするとこれくらいだ。シャッター速度1/200秒で、立ち上がりを少し流してみた

 S字方面に移動すると、2重の金網から解放される。ここからも2コーナーを撮ることができるが少々遠いので、アップで撮りたい場合は焦点距離が長めの望遠が欲しい。このあたりからC席S字側までは広い範囲で流し撮りができる。レンズは下段のほうは200mm(300mm相当)くらい、上段では300mm(480mm相当)くらいが丁度よいだろう。S字側まで移動するとS字に切り込むマシンをコーナーイン側の位置から撮ることができる。C席は前面からの撮影、ストレートの流し撮り、コーナーイン側からの流し撮りとバリエーションのある撮影が可能だ。

2重金網が終了した少し先の位置から2コーナー方面赤矢印はマシン前面からの撮影その位置から420mm(768mm相当)で撮影。マシンを少し低い角度で撮ることができる。画面いっぱいに撮りたい場合はかなり焦点距離の長いレンズが必要
200mm(320mm相当)を使い縦位置で撮ればこんな感じとなる。F1で満員となる観客席は背景として見栄えがするはずS字まで広い範囲で流し撮りができる青矢印は流し撮り
200mm(320mm相当)のレンズだとこれくらいに写るトリミングしてフォトギャラリーに掲載した画像(クリックすると1920×1080ピクセルの画像が開きます)C2席となる常設スタンドの最上段からはこんな感じに見える
金網ギリギリまで降りるとこんな感じ。ここはC1席となる最上段からは200mm(320mm相当)のレンズでは少し小さくなる青矢印は流し撮り
C席のS字側へ移動すると、S字1つ目のコーナーイン側の位置で撮影可能

・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/c1.pdf
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/c2.pdf

●エキストラ・ビューエリアC
 D席を紹介する前にC席の隣のエキストラ・ビューエリアにふれておく。C席の隣なのでエキストラ・ビューエリアCとしたが、もちろん正式名称ではない。エキストラ・ビューエリアCはエキストラ・ビューエリアの中で最も撮影に適したエリアだと思われる。場所はS字の1つ目で、流し撮りと斜め前からの撮影、後ろからの撮影もできる。

 エキストラ・ビューエリアCのC席側はS字に進入するマシンをコーナーイン側の位置から撮影できる。そのままステアリングを右に切り返しS字1つ目を斜め後ろから、さらにS字2つ目に向かうマシンを真後ろから狙うことも可能だ。レンズはどの位置を主に狙うかで異なるが、200mm~300mm(320mm相当~480mm相当)のレンズでもそこそこ撮れる。

エキストラ・ビューエリアCのC席寄りの風景(クリックすると2379×600ピクセルの画像が開きます)
下のほうから見るとこんな感じ上のほうから見るとこんな感じ赤矢印はマシン後方からの撮影。青矢印は流し撮り
200mm(320mm相当)のレンズで、S字に進入するマシンをイン側から撮影切り返すところを200mm(320mm相当)のレンズで撮影。この位置が一番近くなるので、立ち位置によっては300mm(480mm相当)のレンズだとフレームアウトするかもトリミングしてフォトギャラリーに掲載した画像(クリックすると1920×1080ピクセルの画像が開きます)
S字一つ目のインに寄ったマシンを斜め後ろから撮影。これも200mmのレンズだ300mm(480mm相当)のレンズで、S字2つ目に向かうマシンを後ろから撮影

 撮影場所をD席側に移すとS字に進入するマシンを斜め前面から撮ることができる。S字1つ目のクリッピングポイントへ向かうマシンを流し撮りすることも可能だ。エキストラ・ビューエリアCはコーナーに対しエリア内で上下左右に撮影ポジションの移動ができるので、探せば面白い絵が撮れる可能性が高い。

赤矢印はマシン前面からの撮影。青矢印は流し撮りエキストラ・ビューエリアCのD席側から、S字に進入するマシンを斜め前から撮影。300mm(480mm相当)のレンズでは少し遠い
トリミングするとこんな絵になる同じくD席側の位置で、S字1つ目のクリッピングポイントへ向かうマシンを流し撮り。レンズは200mm(320mm相当)

●D席
 D席はS字から逆バンクまでで、コースに沿って曲がりくねったスタンドなので、座席位置によりサーキットの見え方がまったく異なるスタンドだ。スタンドの構造もC席側の小さなエリアと、S字2つ目から逆バンクまでの細長いエリアに分割されている。D席の指定券を持った人が2つのエリアに出入りできるか否かは不明だ。今回はD席を3つの区域に分けて紹介したい。

 1つ目はC席側のブロック、S字1つ目が目の前に見える。ストレートエンドからS字まで見渡せ、レース観戦に適している。レースの展開が分かりやすいので、ブラインドコーナーの様に、撮りたいマシンを見逃すことはない。撮影できるのはS字1つ目のクリッピングポイントからS字2つ目に向かう部分だ。S字1つ目のクリッピングポイントを前面から撮ることができるが、撮影位置はやや高めで見下ろす角度となる。S字1つ目から2つ目に向かう部分で流し撮りもできる。

D席のC席側のブロックの景色。ストレートエンドからS字まで見渡せ、レース観戦には適している(クリックすると3347×600ピクセルの画像が開きます)
赤矢印はマシン前面からの撮影。青矢印は流し撮りS字1つ目で前面から200mm(320mm相当)のレンズで撮影。300mm(480mm相当)以上だとそこそこアップとなる
S字1つ目から2つ目に向かうマシンを流し撮りで撮影。レンズは200mm(320mm相当)を使用S字2つ目に近い、下段の席からはこんな風に見える

 2つ目の区域はS字2つ目から逆バンクまでの細長く曲がったエリアのS字側だ。この位置まではストレートエンドからS字までが一望できる。旧Gスタンドに近い位置でS字2つ目のクリッピングポイントが目の前となる。旧スタンドの時代から流し撮りの定番ポイントでマシンを上から見下ろす感じで撮影できる。鈴鹿では数少ないコーナーのイン側から撮影が可能なポイントだ。この撮影ポイントはスタンドの上下左右に意外と広範囲で撮影ができる。

パノラマ写真ではコースが真っ直ぐに見えるが、足元のスタンドもコースも180度を超えて回り込んでいる。この付近ではストレートエンドからS字、ダンロップまで見え、レースを堪能することができる(クリックすると3334×600ピクセルの画像が開きます)
中段の通路付近で、撮影位置を逆バンク側から2コーナー側へ左右方向に移動。スタンドの角度があるので上下左右に撮影範囲が広い
赤矢印はマシン前面からの撮影。青矢印は流し撮り200mm(320mm相当)のレンズで撮るとこれくらいトリミングしてフォトギャラリーに掲載した画像(クリックすると1920×1080ピクセルの画像が開きます)

 3つ目の区域は逆バンクだ。パノラマ写真を見ていただこう。ここは逆バンクしか見えないので、レース観戦のポイントとしては少々寂しい。同じD席でも位置によってかなり差があることが分かるだろう。同じ写真のポスト付近の金網にカメラホールと呼ばれる金網のない個所があるのが分かるだろうか。観客席の最下段から見ると、金網越しにカメラホールを通してマシンを撮ることができる。1つのカメラホールに対し、2~3人しか撮るスペースがないので、混雑すると撮影は難しい。この場所はマシンを前面から低い角度で撮影が可能だ。マシンの下面から後方が抜けて見える貴重なポイントとなっている。

逆バンクのパノラマ写真。観戦にはやや不向き。カメラホールを通して前面から撮ることもできるし、ダンロップ側に移動すると金網が低くなるので前面からの撮影と流し撮りができる(クリックすると2668×600ピクセルの画像が開きます)
左側のカメラホールを金網越しに見るとこんな感じ2つ目のカメラホールからはこんな感じ。トイレが少々邪魔となる
左側のカメラホールを通して撮影。上の黒いのは金網の枠トリミングしてフォトギャラリーに掲載した画像(クリックすると1920×1080ピクセルの画像が開きます)

 逆バンクの定番の撮影ポイントはダンロップコーナー側の上段の席となる。パノラマ写真の左端に観客が集まっているのが分かるだろうか。自由席だった頃からダンロップコーナー側の最上段付近は望遠レンズを持った観客が多く集まっていた。金網が低くなる位置から立ち上がりまでを、上段の席なら金網の上からマシンを撮ることが可能だ。逆バンクのクリッピングポイントを前面から撮ることもできるし、立ち上がりを流し撮りすることもできる。

2005年のF1日本グランプリ。D席ダンロップコーナー側から撮影。300mmに1.4倍のコンバーターを使用して420mm(672mm相当)として撮影

 この様にD席、とくに逆バンク側の細長いエリアは前面、流し撮りと撮影ポイントは多い。S字2つ目と逆バンク立ち上がりでは、見下ろす角度が違うので、同じ流し撮りでも雰囲気の異なる絵となる。比較的空いている金曜日なら、スタンド内を移動して、いろいろな角度から撮っていただきたい。余談だが、筆者の決勝観戦席はこのスタンドのS字2つ目付近だ。

・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/d.pdf

●E席
 E席は逆バンクの立ち上がりからダンロップコーナーが目の前となる。このスタンドも回り込む形状なので場所により景色が異なる。だが、公開されている座席配置図を見ると左右の席数が少なめな感がある。スタンドの構造は回り込んでいるが、実際に指定席として販売されるのは逆バンクが見える範囲までかもしれない。

 そうなるとデグナー側の半分がエキストラ・ビューエリアとなる可能性がある。エキストラ・ビューエリアの丸印を見るとスタンド横の空き地の様な気もするが詳細は不明だ。

 E席の逆バンク側の上段からは正面に逆バンクが見える。逆バンクからダンロップへの下って上る部分では流し撮りが可能だ。金網はダンロップ側に行くにしたがって高くなるが、コースを遮るギリギリの高さとなっている。ダンロップのクリッピングポイント付近からデグナー側は金網がコースを遮るようになる。よって撮影するなら逆バンクが見える範囲の上段が無難だろう。ダンロップのクリッピングポイントも脚立があれば金網の上から流し撮りができそうだ。

逆バンク側の最上段からパノラマ撮影。逆バンクでマシン前面が見え、ダンロップへ向かう部分で流し撮りが可能(クリックすると2309×600ピクセルの画像が開きます)
回り込む頂点部分。左右に見える通路もグルッと回り込んでいる。この辺りまでが指定席かもしれない。ダンロップコーナーのクリッピングポイントからデグナー側は金網がレコードラインを遮る(クリックすると3916×600ピクセルの画像が開きます)
デグナー側の端。逆バンクは見えなくなり、目の前のダンロップからデグナーに向かう部分とシケインからメインストレートに向かう部分を遠くに見ることができる。左端の空き地がエキストラ・ビューエリアと思われたが、もしかするとスタンドのこの付近はエキストラ・ビューエリアになるかもしれない(クリックすると3250×600ピクセルの画像が開きます)
青矢印は流し撮り逆バンクから立ち上がるマシンを流し撮りできる。200mm(320mm相当)のレンズで撮影。トリミングするか、300mm(480mm)のレンズを使用すればマシンをフレームいっぱいに撮ることができる
ダンロップへの上り部分ダンロップのイン側によると金網がギリギリとなる。

・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/e.pdf

●エキストラ・ビューエリアE
 E席のデグナー側にエキストラ・ビューエリアが設置されている。図では写真のスタンド横の空き地に見えるが、もしかするとE席の常設スタンドのデグナー側半分かもしれない。観戦ポイントとしては横の空き地とスタンドでは雲泥の差だが、撮影ポイントとしてはどちらも金網を避けることができないので期待できない。

●Q1/Q2席
 ダンロップコーナーから西コースに向かい、130Rを抜けて再び東コースに戻って来たところにあるのがQ2席だ。巨大なスタンドが新設され、設置場所の高さにスタンドの高さが加わり、鈴鹿で一番高い位置から東コースを一望できる。130Rの立ち上がりからマシンが見え、パッシングポイントであるシケインが目の前となる。ダンロップからデグナーの進入までも見ることができ、観戦ポイントとしては魅力的なスタンドだ。スタンドは3分割されていて、その間の行き来は自由だが、見え方は場所によって異なってくる。130R側のスタンドは130Rからシケイン進入のバトルを見られ、最終コーナー側のスタンドは東コース全体を見渡せる。

 パノラマ写真はQ2席の130R側の最上段、真ん中のスタンドの中央最上段、最終コーナー側の最上段で撮影した。撮影に適しているのは最終コーナー側のスタンドであろう。どの席も背の高い金網があるので、シケイン進入を撮るのは難しい。ピンポイントでシケイン進入のサイド・バイ・サイドを前面から撮影できる場所はあるが、かなり焦点距離の長い望遠レンズが必要になるのと、決勝日は運よくその席に座らない限り撮影は困難だと思われる。

 シケインの中間からシケインを抜け立ち上がるマシンを流し撮りするなら、最終コーナー側の広い範囲で撮影が可能だ。レンズも200mm(320mm相当)程度で十分撮れる。シケイン2つ目のコーナーはアクシデントの多いポイントなので、2台並んで進入してきたら、シャッター速度を速くして、決定的瞬間を狙うこともできるかもしれない。

 Q1席はQ2席の最終コーナー側の下にある。目の前に高い金網があるので撮影よりは観戦に適した席だと思われる。

Q2席、130R側の最上段。シケイン進入は目の前だが、東コースはあまり見えない。金網が高いので撮影には不向き(クリックすると1903×600ピクセルの画像が開きます)
Q2席、中央の最上段。シケイン2つ目が目の前に来る。130R、デグナーも見えるし、2コーナーも遠くに見える。ここから最終コーナー側の席なら、シケイン立ち上がりを流し撮りできる(クリックすると2240×600ピクセルの画像が開きます)
Q2席、最終コーナー側の最上段。メインストレートもかなり奥まで見える。1コーナーはピットビルに隠れるが、2コーナー、逆バンクもチラっと見えレース展開を追うにはよい席だ。130Rは遠くになるが、シケインからの立ち上がりは広い範囲で撮影ができる。左側の手すり越しに見えるのがQ1席(クリックすると2271×600ピクセルの画像が開きます)
青矢印は流し撮りシケインを立ち上がり、2輪用シケインのところにある白線を越えた辺り。200mm(320mm相当)のレンズで十分だろう
さらに加速して最終コーナーへ向かうマシン。そのまま200mm(320mm相当)のレンズで撮ればちょうどよいQ1席は最上段でも目の前を金網に遮られる。シケイン出口がほんの少しだけ撮れる程度だ

・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/q1.pdf
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/q2.pdf

●R席
 R席は最終コーナーが目の前に見える。パノラマ写真は中段から撮ったものだが、ここも金網があるので撮影には不向きだ。スタートシーンやストレートを立ち上がるマシンを真後ろから撮ることはできる。常設スタンドの後方にかなり大きな仮設スタンドが用意されるので、仮設スタンドからは金網越しに撮れるかもしれない。

R席中段の通路からパノラマ撮影。シケイン進入は席の位置が低いので見えない。シケイン立ち上がりから1コーナー進入を遠くに見ることができる。仮設スタンドからの景色は不明。左側の観覧車の前にあるのがS席(クリックすると2247×600ピクセルの画像が開きます)
常設スタンドの後方に仮設スタンドを設置中。最大33列なので、かなり大きなスタンドになりそうだ

・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/r.pdf

●S席

 普通はS席と聞けば一番よい席だと思うが、鈴鹿ではV席が一番上位となる。だがV席の隣なのでピットインするマシンなどは見やすい。目の前に高い金網があるので撮影には不向き。だが座席表を見ると少しだけ仮設スタンドが用意される感じだ。段数が少ないので、それほど高さのあるスタンドにはならないだろう。スタンドのすぐ裏に売店があるので、飲食の調達には一番近い席だろう。

E席から見たS席。金網の高さがあるので撮影には不向きだと思うが、座席表を見ると左右に仮設スタンドが用意されるようだS席の後方から撮影。目の前の金網は避けられない。右端のシャッターが売店。サーキットで売店に一番近い席だ

・座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2009/f1/seat_pdf/s.pdf

 以上で東コースの紹介は終了だ。総じてメインストレート側は観戦向き、撮影に適しているのは1~2コーナーからS字、逆バンク側となる。鈴鹿サーキットに長年通っている方には定番のポイントばかりだが、初心者の方は参考にしていただきたい。紹介した撮影ポイント以外にも、持っている機材やアイデアによって筆者が気付いていないポイントもあるだろう。次回、最終回は西コースを紹介したい。

(奥川浩彦)
2009年 9月 28日