GMアジア・パシフィック・ジャパン、新型「カマロ」の詳細を発表 |
ゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック・ジャパン(GMAPJ)は11月18日、神奈川県横浜赤レンガ倉庫で新型「シボレー・カマロ」の発表会を開催した。
新型カマロは、米国で2008年7月に発表され、2009年3月に発売された4シータースポーツクーペ。1967年の初代カマロから数えて5代目となるが、4代目は2002年に生産を終えており、実に7年ぶりの復活となる。
横浜赤レンガ倉庫の発表会場には歴代カマロが並べられた。 | 初代カマロ |
日本では12月5日に発売されるが、すでに予約を受け付けている。これまで明らかになっているカマロ日本仕様の主要諸元は次のとおり。
カマロ LT RS | カマロ SS RS | |
価格 | 430万円 | 535万円 |
ステアリング | 左 | |
乗車定員 | 4名 | |
サイズ(全長×全幅×全高)[mm] | 4840×1915×1380 | |
ホイールベース[mm] | 2855 | |
トレッド(前/後)[mm] | 1620/1620 | |
重量 (カッコ内はサンルーフ装着時)[kg] | 1710(1730) | 1780(1800) |
エンジン | LLT 3.6リッター V型6気筒DOHC | L99 6.2リッター V型8気筒OHV |
ボア×ストローク[mm] | 94.0×85.6 | 103.2×92.0 |
最高出力[kW(PS)/rpm] | 227(308)/6400 | 298(405)/5900 |
最大トルク[Nm(kgm)/rpm] | 370(37.7)/5200 | 556(56.7)/4300 |
使用ガソリン | レギュラー | ハイオク |
トランスミッション | 6速AT(タップシフト付き) | |
タイヤ(前/後) | 245/45 R20/275/40 R20 |
発表会場に並べられた日本仕様のカマロ。フロントグリル上部にスリットが入っているのがV8搭載のSS RS。左から2台目のSS RSはオプションの21インチホイールを履いている。また右端の黄色いLT RSはやはりオプションのラリーストライプキット(黒いストライプ)を装着 |
20インチホイールは、本国では「RSパッケージ」としてHIDヘッドライト、リアスポイラー、RS専用テールランプ・バッジとセットでオプション設定されているもの。日本ではRSパッケージが標準で装備される。
このほか、雨滴除去ヒーター付き可倒式電動リモコンドアミラー、リモートスタート機能付きキーレスエントリー、クルーズコントロール、シートヒーター付きレザーアポインテッドシート、運転席6ウェイパワーシート、マニュアルエアコン、Boston Acoustics製プレミアム・オーディオシステム(9スピーカー、245W)、MP3対応CDレシーバー、USB/AUX端子などがLT、SSともに標準で装備される。電動サンルーフはメーカーオプション、HDDカーナビ(7インチディスプレイ、地デジチューナー、DVD)とポータブルカーナビ(5.2インチディスプレイ、ジャイロセンサー、FM多重VICS、ワンセグチューナー、バックカメラ)がディーラーオプションで用意される。
■グローバルな開発体制
GMAPJの中野哲プロダクト・プランニングマネージャーによる、新型カマロの概要説明によれば、新型カマロは初代カマロをモチーフとしたスタイリングを持つ、21世紀のスポーツカーとして開発された。
その開発・生産体制は、スタイリングが北米、開発・設計がオーストラリア(ホールデン)と北米の共同作業、生産がカナダのオシャワ工場、ワールドワイドでの実証実験と、GMのグローバルネットワークを活用したものになっている。
エンジンは諸元表のとおりだが、V6には可変バルブタイミングシステム、V8には「Active Fuel Management」技術と可変バルブタイミングの採用などにより、燃費を改善。米国基準のハイウェイ燃費がV6は12.3km/L、V8は10.6km/Lとなっている。
そのV8エンジンは、同社のフラッグシップスポーツカー「シボレー・コルベット」に積まれている高性能ユニット「LS3」をベースとしたもの。Active Fuel Managementにより、低負荷時は半数のシリンダーの動作を止め、燃費を改善している。
■2つのチューン、V8はサーキット走行も視野に
サスペンション形式はフロントがストラット、リアがマルチリンク。LTには「FE2」、SSには「FE3」と名付けられたチューンのサスペンションが搭載されている。FE2とFE3の違いはダンパー、ブッシュ、スプリングレート、スタビライザーにあり、加えてFE3にのみLSDが装備される。FE3は「そのままサーキットを走行できるハードなチューニング」(中野氏)と言う。
FE2(LT/V6) | FE3(SS/V8) | |
前スタビライザー[mm] | 22.2.×4.0 | 22.6×4.8 |
後スタビライザー[mm] | 21.7×3.0 | 23.0×3.0 |
スプリングレート(前/後)[N/mm] | 25/53 | 27/66 |
またブレーキもLTとSSで異なるところで、どちらも前後ベンチレーテッドとなるものの、ローター径やキャリパーが異なり、SSにはブレンボ製のシステムが奢られる。また標準装着のアルミホイールはLTがペイントなのに対し、SSはポリッシュとなる。タイヤはピレリP-Zero。
LT(V6) | SS(V8) | |
ローター径(前/後)[mm] | 321×30/315×23 | 355×32/365×28 |
前キャリパー | 鋳鉄製1ピストン | アルミ製4ピストン |
後キャリパー | アルミ製1ピストン | アルミ製4ピストン |
安全装備は現代の車両らしくフロントにデュアルステージ・エアバッグとサイド・エアバッグ、さらにヘッドカーテン・サイド・エアバッグを装備し、フロントのシートベルトはロードリミッターとプリテンショナーが付く。ABS、トラクションコントロール、「スタビリトラック」と呼ばれる電子制御アンチスピン・デバイスなどのアクティブ・セーフティ機能も付くが、これらをすべてカットするスポーツ走行モード「コンペティティブ・スポーツモード」も備える。
ボディー設計は軽量・高剛性を基本としつつ、音対策や組み立て精度にこだわったもの。アメリカン・スポーツらしい排気音のチューニングもされている。
ブラウン社長 |
■新生GMの象徴
中野マネージャーの説明に先立ってスピーチしたGMAPJのリック・ブラウン社長は「カマロは本国ですでに4万8千台が販売され、月間ベースでこれだけ売れているのは、GMでも希な状況」と好調なことを明かし、カマロを「新生GMの回復の象徴」とした。
この人気ぶりのため、輸出分は各国インポーターの取り合いとなり、日本でも初回は130台を確保するのがやっとだったと言う。この130台はすべて、ディーラーの受注が入っており、「実車があまりない時期に、紙の上だけで我々を信じてオーダーしてくれた」と、GMAPJとディーラーの信頼関係をアピールした。
また「エコカーなどが話題のときに、どうしてGMはカマロのような車を売っているんだということになるのかもしれないが、内燃機関の燃費向上に努力してきたし、カマロの燃費も改善されている。楽しい車でも環境に貢献できるよう努力していく」と付け加えた。
【お詫びと訂正】記事初出時、SS RSの最大トルクを誤って記述しておりました。お詫びして訂正させていただきます。
(編集部:田中真一郎)
2009年 11月 19日